△があるから安心できる。「虹色のチョーク」のモデルとなった日本理化学工業の工場見学とは?
「虹色のチョーク」のモデル企業
神奈川県川崎市にある日本理化学工業。
チョークやキットパス(窓ガラスや鏡などに書いても水で消せるクレヨン)を製造・販売しています。
障がい者雇用企業としても注目されており、2023年の24時間テレビのドラマ「虹色のチョーク」のモデルとしても話題になりました。
工場見学では、福祉関係者の訪問が多いのですが、一般の方の受け入れも行っています。今回は、実際に工場見学してきた様子をお伝えします!
アクセスは?
最寄り駅は、東急電鉄の二子新町です。ここから徒歩17分ほどの場所にありますが、途中から川沿いを歩いていくのでコンビニなどもありません。飲み物などは、駅周辺で購入しておくことをおすすめします。ちなみに駐車場完備のため、車での訪問もOKです。
こちらが日本理化学工業です。とてもシックな外観ですね!
ガラス窓に大きなゴリラやサイなどが描かれています。従業員の方が定期的にキットパスで描いているそうですが、私は絵心がまるでないので、うらやましい限りです…。
チョーク製造の意外なきっかけ
建物の中には、スリッパに履き替えて入っていきます。夏場は靴下持参がいいかもしれません。
廊下には、会社の歴史やキットパスの紹介展示があります。現在の社長さん
の祖父の代から続いているんですね。
もともと文房具を扱う問屋さんだったのですが、大学病院の先生から「体に優しいチョークを海外から仕入れてほしい」という言葉がきっかけでチョークづくりを始めたとのこと。当時、日本にはなかった炭酸カルシウム製ダストレスチョークを自分たちで作ってしまおうという行動力が今につながっているんですね!
工場見学の始まりは、こちらの会場から。ここには、従業員の方の目標や写真が飾ってあります。
この日は、おそらく関係者団体を中心に20名ほどの見学者がいました。
つまり道枝くん
最初は、社長である大山隆久さん(道枝くんが演じた役の方)のお話と質疑応答が40分ほどありました。40分と聞くと、長く感じるかもしれませんが、会社の歴史から、想い、現在の事業についてなど、興味深い内容ばかりであっという間でした。
日本理化学工業の柱は、チョークとのことですが、オンライン化や少子化などの影響で、なかなか厳しい現状のようです。もう一つの柱であるキットパスは、商品の魅力もバリエーションも豊富で今後海外への進出にも力を入れていきたいとのこと。
水で簡単に落とせるので、私も子どもたちや友人へのプレゼントに購入しようと思っています。フェイスペイントやボディペイントに使える「キットパス あそボディ」というのもあるので、これからの季節はハロウィンにも使えそうですね!
いざ、工場見学へ!
前置きが長くなってしまいましたが、早速、工場見学へと進んでいきます。ガラス越しではなく、実際に製造現場の中に入りながら、説明を聞くことができます。
まずは、1階のチョーク製造エリアから。工場内は、障がい者の方でも安心安全に製造できるように、さまざまな工夫が施されています。
例えば、原料袋のデザイン。通常は、文字で中身や容量が記載されていますが、原料メーカーの協力のもと、角に赤や緑の色付けがされているのみとなっています。
これにより、「投入するのは、赤2緑1」など、誰でも簡単に視覚的に判断できます。ほかにも、重さを量るときも天秤を用いたり、時間を計るときに砂時計を用いたり、数字が苦手な方でもわかりやすいような工夫もされています。
△がある安心感
この日は、ピンク色のチョークが製造されていました。混合された原料が細く抽出され、それを一本ずつきれいに並べていきます。
やわらかいので力加減やタイミングがとても難しいのですが、作業者はきれいに隙間なく、行っており、まさに神業といった感じでした。
そして端が平になるように機械でカットしていくのですが、ここでは安全に行えるよう両手でボタンを押さないと稼働しない仕組みになっています。これは、ほかの工場でもよくある仕組みですが、意識だけでなく、物理的な対策は大切ですよね。
ここから、オーブンで焼いていき、焼きあげたものを検品していきます。〇と×だけでなく、△という項目を設けることで、作業者の判断迷いの負担を減らせるだけでなく、不良品削減にもつながります。
確かに、どんな業務でも、△があると、ちょっと気持ち的に楽になりそうですよね。よくアンケートで「どちらともない」を選びがちな感覚に似ているような似ていないような…。とにかく新しい業務に挑戦するときに必ず訪れる「これ迷うな…」というときの道があるのは安心です。
続いて、箱詰めへと進んでいきますが、チョークがぶら下がっていく様子がかわいい…。
カラーで視覚的にわかるように
2階では、キットパスの製造工程が見学できます。下からムニュムニュッと出てきます。こんな風に作られているとは驚きです!
こちらでは、各製品を箱にセットする工程を行っています。
まとまるくんとコラボした黒板ふきの消しゴムを発見!使っていくと、本物のように角が丸くなっていくようです。
時間割りや電源スイッチなど、ここでも色を使って視覚的にわかりやすいような掲示になっていました。
最後に…
冒頭でも触れたように、障がい者雇用に興味を持って見学に来る方が多く、説明もそういった部分が多かったですが、単純にものづくり現場としても、チョークやキットパスがつくられていく様子に感動しました!
正直、何も聞かされていなければ、わからないほど、安定した生産と穏やかな空気が流れており、ここまでに至る数々の工夫も感じられました。工場見学って、見学者に見られることで作業者の意識向上というメリットもあるのですが、ここでは「見られているから」とかではなく、本当に高い集中力と持続力を持っていることを肌で感じました。
こちらの工場見学に声かけてくれ、予約手配なども行ってくれた友人にも感謝です。(実は「マツコの知らない世界」放送をきっかけにできた友人なんです!)
興味のある方は、是非一度公式HPをチェックしてみてください!最後に少し早いですが、大山社長、お誕生日おめでとうございます!そしてご案内ありがとうございました!