ゲームと指殺人と戦争と。ちょっとマジメな話し。
夫が「プレステーション5」
を抱えて居間に入ってきた。
「買う権利」を抽選する応募に当たったらしい。
仕事の帰宅時間をやりくりし、いつもより早く帰った夫は、「買う権利」が失効する前に、それを買ってきたという。
夫もわたしもゲームなんてしたことはなかった。
なのに何を思ったか、ゲームを買った夫。
「ソフトは、何がオススメ?」
と家族ラインでたずねる。
息子3人、娘ひとり、それぞれゲーム世代の中を生きてきた年齢である。
『ほにゃらら』『なになに』『まるまる』とありとあらゆるゲームソフトの名前が家族ラインのトークルームを飛び交ったが、わたしには、いやたぶん夫も何がなんだか意味不なゲーム名だ。
わたしは、大人気アニメ「鬼滅の刃」を観る。言わずと知れた心優しき炭治郎が家族を愛し、人間を重んじ、人食い鬼をやっつけるというアニメ。観ると必ず流れるCMに『鬼滅の刃ヒノカミ血風譚』というソフトがある。
ゲームソフトはそれしか知らんから、それを推した。
そしたら次の日、血風譚がひょこんと置いてあった。
そして、
わたしは50を過ぎて
はじめてゲームに触ることになる。
主人公の「炭治郎」はわたし自身がもつコントローラーで動く。
山道を走るはずの炭治郎は、くるくるその場を回るだけで走らん。
まっすぐ進まん。行きたい方向に行かん。
崖にぶち当たってもなお走る動作をエンドレスに繰り返すから笑ってましまう。
子ども達が同居でもしていたらやり方を教われるだろうが、それは叶うはずもない。
そういやわたしも夫も、子ども達が中高生の頃、携帯ゲームの類いを禁止したことはない。勉強を強要したこともないが、自分達なりに時間に制限をかけ、やるべきこともやり、うまいこと生きていった。
子ども達は次々に巣立ち、全員それぞれの場所にいる。今わたしは四国の田舎にいる実母と同居し、夫が単身でいる関西に、たまに戻ったりの二重生活をしている。
わたしが関西に戻っている間の週末は、炭治郎をこの指で動かす。
行く先々で「鬼」を倒す炭治郎(…に扮するわたし)。
テレビアニメの描写では、鬼を倒すと首が飛ぶ。血がでる。マジでヤバイ。それをわたしはコントローラーでやってる。
わたしの手のひらひとつで首が飛ぶんだ。
スイッチひとつで相手に血がでるんだ。
これでいいのか…
と白心がつぶやくが、
ゲームさ、ただのゲームさ、
と黒心が唆す。
オンラインで見知らぬ相手との決戦なんてのもゲームの魅力なんだろう。
…。これはゲームの世界だが、
現実に起こっている深刻な問題もある。
画面の向こうの相手を傷つけるといえば、
『指殺人』
指殺人とは
SNSに誹謗中傷などを書き込み
相手を自殺に追い込むこと。
指をつかって書き込み、相手を死に追い込むことから「指殺人」と言われている。
わたしもネットの世界では、相手に自分の気持ちがうまく伝わらないというのもしばしばあり、相手を傷つけてしまったんじゃないかと不安になったりする。
先日、知人とゲームの話しをしていて、
「戦争」の話しになった。
今後起こりうる「戦争」は
「サイバー戦争」
だとテレビで言っていたという。
サイバー戦争とは
ウキペディアより引用
スイッチ、ボタンひとつで破壊する。
ひと昔前まではフィクションに過ぎなかったサイバー戦争は、技術の進歩により現実のものになるという
しかし、
ゲームはただのゲームだ。
ゲームは現実の人に危害を加えたりしない。
でもゲームに飲まれることのないよう、
自分を見失うことなく、
ボタンを押さなければならない。
人間には理性がある。
だからゲームをする。
日頃の鬱憤やストレスを取り除くべく、
人は、
ゲームで
やつを
ぶったぎるんだ。