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アメリカで店員に笑われるわたしが日本に行ったらどうなるよ。
先日、西海岸から友達が遊びに来た。ほぼ四半世紀前に「日記猿人」で書いていた私のブログ(当時は「ウェブ日記」と呼んだ)の読者だった彼女からメールをもらった。どのくらいやりとりをした後か覚えてないのだが、オフラインミーティング(=「オフミ」)で初めて会ったのが、私が出張でNYに来た某氏と初めて会って、彼の上司と3人で西海岸に出張したときだった。
日記猿人。ジオシティで書いた日記に空メールボタンをつけ、掲示板で読者と会話し、オフラインでも集まったりして。表日記と裏日記なんてことをやっていた日記書きもいた。
四半世紀前に出会ってから、マンハッタンでまた別の読者と3人でオフミとか、私の家に泊まりに来たりとか、彼女の家に泊まりに行ったりとかしたのが合計で5回くらいしかない。お互いに子育てにまみれていた頃、Facebook では常につながっていたけれど、直接話すとかテキストするとかいうことはほとんどないまま、10年以上がたっていた。
連絡が途切れる前に彼女が離婚したのもあって、私も離婚して、連絡しなきゃーとずっと思っていた。
私はマメな人だから、定期的に連絡をとって友達関係を維持することは全然苦じゃないけれど、自分ばっかりがそういう努力をするというのはあまり好きじゃない。でもケンカ別れしたのでなければ、まして Facebook で友達だったらいつ思い立って連絡してもいいわけで、そんなふうに連絡したら、すぐに FaceTime しようってことになった。するするっと会話が始まって、あっという間に2時間とか。
そして。ムスメが大学に行ったから、有り余る時間のなかで、またふと彼女に連絡した。
「ねぇ、一部屋余分にあるから遊びにおいでよ。」
「えー、ほんとにー?いつにしよう?」
「いつでもいいよ。私が10月に日本に行く前においでよ」
「来週とか?」
「いいよー。」
「ほんとに?」
「うん。」
そして、ほんとに翌週末に彼女はやってきた。
呑兵衛の彼女のおすすめのワインを用意し、何を食べさせてあげようかなーとメニューを考え、ランチは回転寿司に行こうと思い立ち、観光しなくていいからどこか公園でも散歩にいきたいなぁというので、私の大好きな森林浴の公園のルートを考えた。
もう20年以上も空手と古武道をやってるボーイッシュな彼女は、すこし白髪が混じっていたけれど、身のこなしは軽く、笑顔も覚えていた通り。丁寧な日本語を話し書く彼女のことを、私は「花柄のワンピースを着ている」イメージをもっていて、初めて会ったときに、こんなに予想が外れた話もないよ、と二人で大笑いした経緯がある。
私は基本的に感情の起伏が激しいから、穏やかな人と合う。弓道をやっていたかのO君もそうだったけど、武道をやっている人はなんか肝がすわっていて、どしんとしたその雰囲気が一緒にいて心地よい。
話し始めたらとまらない。長いことアメリカに住んでいる日本人特有の、日本人とアメリカ人要素の混じり方は人それぞれ違うのだけれど、彼女の反応の一言一言が妙に私のツボにはまって、笑いっぱなしの時間を過ごす。
時差ボケの彼女がシャワーをあびて裸のまま眠ってしまったとかで、早朝に森林浴散歩に行ったあと、回転寿司 Kura Sushi は二人ではしゃぐほど楽しくて、そのあと Hマート(韓国系のスーパー)に行った。
なんか甘いものが食べたいよねー、と私は藻塩味の大福を手に取った。
シュークリームみたいなのが食べたいなぁ、と彼女が言うので、冷凍シュークリームとかあるかもよ、と言ったら、寒いから冷凍のはちょっと、と言うので、私は吹き出した。
あなた、寒いって、外は85F (30C) 超えてるよ?
すばらしく快適な気候な西海岸に住む彼女は、寒がりである。私も寒がりだけれど、そんなレベルじゃないくらいの寒がりで、ムスメが家にいたらまるで冷凍庫になるこの家に呼べたものじゃなかった。
この季節に冷凍シュークリーム食べなかったらいつ食べるのよ?と私は笑いながら、冷凍じゃないシュークリームを探しはじめた。
すると。目の前に、買わなきゃと思っていたビーフンが棚に山積みになっていて、おぉ、ビーフン!と私は両手を上げバンザイして、その棚に突進していった。後ろから、彼女も笑いながらカートを押して走ってくる。
その棚のそばに立っていた若い店員の兄ちゃんが笑いをかみしめているのに気づく。
大笑い状態の私は、聞かれてもいないのに、彼女がね~こんなに暑いのに冷凍シュークリームは食べられないっていうのよと説明すると、彼も一緒に笑いだす。
そして、こういう関係ない人に関係ないことを説明するのはやめろ、とムスメからいつも注意され、他人のフリをされたことを思い出して、それを彼女に話して、また笑う。笑いがとまらない。
その夜。彼女が私の iMac と MacBook Pro の調子がオカシイ理由を調べてくれている間に、私は某氏にテキストしたのだが、あとで言われたのだけど、その直後に間違えて知らないうちに彼に電話かけてしまっていたらしい。
ほんの10秒くらい聞いて、間違いだったってわかったから切ったんだけど、君があんまり楽しそうで。君も彼女も笑いながら話してて、君の声はいつもよりも一オクターブくらい高くってさ。あんなふうに笑ってるの聞いたことなかったから、あぁほんとに楽しいんだなぁって思ったよ。
二泊して彼女は帰っていったのだけれど、これからは最低でも半年毎にお互いに行ったり来たりしようね、と約束する。
彼女の滞在後、私のベースラインの機嫌が格段に良くなった。
水泳ママ友の(彼女の子供に対する)過保護ぶりなテキストがピンピンはいってきても、いつもみたいにイライラしたり呆れることなく、むしろ(相変わらずだなぁ、しょうがないなぁ、ぷぷぷ)みたいな余裕をもって読むことができて、自分でも驚いた。
旅行っていう概念だって。家族で旅行となると、何ヶ月も前から子供たちの休みに合わせて、彼らが楽しめる行く先を決め、フライトとホテルを予約し、せっかく行くのだからとできるだけ長く、予算と相談しながらどのくらい期間にするのかを考える。旅行の準備。当日の飛行場でのセキュリティとフライト。滞在先の食事を何時にどこにするか。私が料理しなくていいだけで、全然「休暇」じゃないんですけど!みたいな旅行しかしてこなかった。
でも。これからは、ぎりぎり直前に購入したほうが安いフライトで、来週西海岸に飛ぼうかなとか、ちょっとオハイオにムスメの顔見にいくかーとか、ムスコのいるボストンへのんびり電車旅するかなーとかってのが、一気に可能になる。一泊二泊だったら、ホテル代だってそんなに高くならない。
What a game changer!!!
さて。今朝、小雨のなか Farmers Market に行ってきた。
いつものおじさんがサングラスをかけていない。
You are not wearing sunglasses today!
No, I am not. とニコリ。
Do I look OK?
You look good! と笑う私。
すると、うしろの老夫婦が「そうだわ、サングラスかけてないね、今日は。声でいつもの人だってわかったけど!」と会話に入ってきて皆で笑った。
こんな私が、アメリカでも店員に笑われる私が、4年ぶりの日本、9年ぶりの東京に足を踏み入れたら、どんなことになるんだろう。
まして、焼津?
イシダテックの皆さん、度肝ぬかれるかもー。
こやまさん、準備よろしく〜。
笑笑笑。
ちなみに。私、イシダテックの #Notethon に参加予定です。
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