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昭和の北海道で  オリジナル漫画【お月さん】& エッセイ【親ができること】


50年前の北海道。

母方の祖父が直腸がん入院していた隣町の総合病院。
その帰り道は、いつも真っ暗。

厳密に言うと、日はすっかり暮れていたけれども月と星は光っていた。

”月が一緒に走って見えるね~”と姉と話していた。
本当に月が走ってついてくる。

私の実家は農家で、家の周りはほとんど真っ暗。家の明かりが点のように見える場所だ。月や星をさえぎるものは何もない。

病院の帰り道は、子どもの私が思いにふける時間がたっぷりあって誰にも邪魔されなかった。

もし、私が今もなお想像力とか創作したいという気持ちを持ち続けているとしたら、きっとこんな静かな邪魔されない時間が、生活の中にたっぷりあったからだと思う。

両親は農業の仕事が忙しいので、基本的に子どもに干渉する暇などなかった。食べる、着ることには不自由なく、規則正しい生活。両親はそれ以上の世話が必要だとは思っていなかっただろう。もちろん、私は勉強しろ、と言われたことはないし、宿題をやったかと聞かれたこともない。中間期末の試験日など把握しているはずもない。

かろうじて参観日には、母が毎回参加していたが。

時々週末に農作業を手伝わされることがあった。私は勉強を口実に仕事からのがれようとしたが、父は ”そんな一日中勉強できるはずがないだろう、体を使った方が勉強にも身が入る” と問答無用。

今にして思うと、それはもしかしたら最良の子育てだったもかもしれない。そもそも親が子どもにできることは、環境を整えてあげることくらいしかないのだから。

子どもは、邪魔されず、せかされない静かな時間がなくてはならない。そこで子ども自身が培われたものは大人になった時、生きる勇気や行動する意欲、他人への優しさやいたわりの気持ちにつながると私は思う。

子どもにとっての幸せは親が与えることはできない。子どもが自分で生きる道を見つけられること。親はそれを支えるための環境を整えることしかできないと思っている。

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