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【昭和の北海道 マンガ】目が見えないふりをして


*おことわり 祖父が徴兵検査を受けた年代については3年くらい後だったかもしれません。家長や長男が徴兵されるようになったのは、太平洋戦争末期のことですから。細かい部分での正確性に欠けることをご了承ください。


終戦から77年たった。戦争を知らない子供達と言われた世代もすでに高齢者。今の若い人達にとって太平洋戦争は、私たちの年代にとっての明治時代になるのかもしれない。というほど、年月が過ぎている。

私の祖父は、私が生まれた時はすでに他界していたので、直接話す機会は無かった。しかし、父を通して当時の様子をうっすらと想像できる。終戦時、父は8才だった。

戦時中に限らず、人々はいろんな社会の影響を受け、右往左往しながら生活をしている。翻弄されているように見えるけれども、けっこうしたたかだったりする。

生きるために最も大切なこと。それは、自分の家族の生活を守ること。国家という目に見えないもののために忠義を尽くすのは建前であって、誰もそんなことを望んではいない。

徴兵をのがれるための詐病はいろいろあったらしい。わざと度のきつい眼鏡をかけて視力を落とすとか、醤油を大量に飲んで血圧を上げる、人差し指を切ることまであったという。

それらの詐病は、戦争に行きたくない、死にたくないという自分の都合ではなく、家族の生活または命を守るためであったことは悲しい事実である。

私がそのような戦争にまつわることについて、より身近に自分に引き寄せて想像できるのは、私の祖父がこのような経験を持ち、父からそれを伝え聞くことができたからだと思う。そして、私の記憶の中の、それらすべての出来事が、私の人生をより豊かにしていることは間違いない。


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