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哲学の日
会議はあっけなく終了した。樹状巡査部長は
奇しくも若く、正義感に溢れているであろうハズの司令官と自分の暗黒な意見が一致したので
安堵のため息が漏れた。後はマックロファージ巡査にみやげの一つでも渡せば今回の不祥事、ああ…そんなものは何もなかったのだと、また、自分に言い聞かせた。
彼は会議室の悪い空気に、自分のどこもかしこも汚染されてしまい、もう二度とこの汚れが落ちない気がして、悲しかった。
そんな事を考えてヨロヨロ薄暗い廊下を歩いていると、肘を掴まれ、空室に引っ張り込まれた。
部長
ウォッ…な、何をする!!
そう言って、顔を上げると、目の前には頭のYの字から火を噴いているB大佐が鼻の穴を膨らませて立っていた。
大佐
チョトチョト、今さぁ、青い顔したキラーと鉢合わせして聞いたんだけど、
司令官が、善良な村人の死をなかったコトにしたって?
あの人、何時からマジシャンに変身したんだ?部長は知らないだろうけど、
まだ新人の青二才で、真面目くさって、なんでもかんでもわずらわしかったよぉ〜、
なのに、タヌキが考えそうなこの解決、おかしくないか?
部長
大佐、お言葉ですがワタクシはなにも申し上げてはおりません。ただ、マックロファージ巡査にはアクシデントなどはなかったと話しました。
それはこの事態が事実ならば、まぁ、事実だったワケですが、派遣の彼に背負わせられる問題ではないからです。
大佐
違う違う、こっちとら、モノを見る目はあるんだぜ、部長が余計な提言したなんて思っちゃいないよ。
オイラが心配しているのは、憑物さぁ。
部長
しっ、司令官に…癌細胞民が取り憑いたのだと?
大佐
うん、あの豹変ぶりは癌の奴らが取り憑いて成りすましているとしか思えねぇ。
部長
ではこれは…
大佐
うん、これは監査官にお会いしなくてはならない案件だろ、部長にも御足労おをお願いしたくてね。
オイラ、目は確かだけどいかんせん胸腺大卒じゃあないからさ、心許ないや…
大佐と部長は、哲学者のような難しい顔をしてお互いの目を見合った。
つづく
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