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今日は蚊の日
女中、菊の立ち振舞いはラブラブにふさわしいものだった。だから誰もが菊をラブラブ出身者だと思っていた。
けれども彼女は遠い国からの出稼ぎだった。それを知っているお女中連中の一部には彼女のことをあまり良く思っていないモノたちもいた。
それまでお殿様に愛されていたよもぎとカヤはお殿様の愛情がすっかり菊の方に移ったことに嫉妬していた。
彼女たちは集まっては菊は生意気だよね。菊は外国人のくせしてね。菊はサボったりもするよね。と、有る事無い事、悪口を言っていた。
とうとうこのモノ達はお菊に意地悪をしてその悲しむ顔を見てやろうと決めた。
彼女たちはこの屋敷の家宝である十枚一組の皿の一枚を菊に渡し、今日からこの皿でお勤めをしなさいと言った。
騙されているとは思わない菊はその皿の上に横たわって仕事をした。この皿にはすすのような跡が残り使い物にならなくなってしまった。
女中の一人がこの皿はもう使い物にならないから壊してしまいなさいと言ったので菊は何も疑わずこの皿を割った。
お殿様は菊が家宝の皿を割ったと知らされ激怒し叱咤した。
菊はたいそう悲しくなり井戸に身を投げた。
その日以来、井戸からは煙が立ちのぼるようになり菊の悲しい声で1枚2枚3枚と皿を数える声が聞こえるようになった。
除虫菊の効果は絶大で蚊も寄り付かないどころか次々と屋敷のモノたちも亡くなった。
この除虫菊が身を投げた井戸は現在もサギ城🏯に残されている。
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