今日は世界気象の日
登場モノ
蒸気湯気子:薬缶の湯気
海野水道:海の蒸気
蒸気湯気子(じょうきゆげこ)が荒々しいモノにぶつかりそうになりよろける。それを支えた海野水道(うみのみずみち)
水道:おっと、危ない、大丈夫ですか?あいつ、随分とはしゃいじゃって、右も左も見ていないんだな。
湯気子:ありがとうございます。枝が折れてしまうところでした。
水道:ああ、なんて君はきれいな樹枝六花なんだろう。
湯気子:まぁ、困ります。きれいなんて…平凡なだけですよ。
水道:だって、キラキラしているから、まぶしくって見られないほどさ。
湯気子:あなただって、どっしりとした角板じゃありませんか。どちらでお生まれになったら、そんなにピシッとなるんです?
水道:僕?僕はね、海の生まれなんだ。だだっ広い海をユラユラしていて、何だか暖かいなあとウトウトしていたらいつの間にか空に舞い上がってたんだ。君は?君のことを聞かせてよ。
湯気子:私はお台所の薬缶の中から吐き出されて、空に飛んだんですよ。そして換気扇の羽でクルクル回って青い空を見ました。初めて見る広い世界でしたから、嬉しかったです。はしゃぐモノの気持ちは分かりますよ。
水道:はしゃぎ回りたい気持ちが僕にも移ったかな?ねぇ、君、僕たち手をつないで踊りながら、もっと高い空を飛んでみない?
湯気子:もっと高くですか?私、行けるかしら?
水道:僕はね、君を見ていると希望しか見えないよ。君とならどこへでも行けるさ。
なんだ、笑わないでよ。僕は真剣なんだから。
湯気子:笑うなんて、違いますよ。嬉しいだけです。あなたと踊りながら上空を目指すなんて、思ってもしませんでしたから。
水道:さぁ、手をつないで。こうして二人で一つだね。
湯気子:そうですね、こうして抱き合っているとまた、暖かさが戻ってきますね。
ほら、見て下さいよ、お日様がキラキラと私たちを祝福してくれているみたいです。
水道:ああ、だけど、二人だと重たくって空には飛んで行かれそうにないね。僕たち、落ちているよ。
湯気子:ああ、本当にそうですね。そこに絶望しかないとしても私、あなたとサヨナラすることは出来ません。
だってあなたは私をワクワクさせるんですから。
水道:君、聞こえるかい?お日様が僕らに話しかけているよ。
※耳を傾ける湯気子。
湯気子:ええ、ええ、聞こえます。
水道:やっぱり君は希望の道しるべ。
湯気子:あなたこそ、希望の光。
水道、湯気子:僕たち、私たち、二人で雨になり、世界の何処かで希望の虹になるんだね。
大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!