今日はカツラの日
私はスカルプです。弱い生き物です。夏の暑さ、冬の寒さ、ストレスにも弱かったので、あの黒髪さんを支えることはできませんでした。
もう、誰も、あの海原を黒髪さんを取り戻せはしないのです。黒髪さんはそのままで十分に輝いていたのに、茶髪だ、ウエーブだと、翻弄し傷つけました。
黒髪さんの草原が風になびいていた頃を、黒髪さんのフサフサしていた頃を嘆いても仕方はありません。それよりも強さを見つけたい。後に残った、残された原っぱさんの中にある強さを…
ああ、それにしてもふと涙がこぼれそうになる強風、私を暖めてくれた黒髪さんはいない。叫んでも、叫んでもあなたはもどらない。
けれど私には残ってくれた、残された原っぱさんがいる。泣くもんか、泣くもんか。
私は冷たい風を受けてまた、涙がこぼれそうになるけれど、今、涙を隠して一人行けばやがてチクチクの毛糸帽さんに覆われるだろう。
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大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!