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今日はクリーナーの日
毛玉婆は久しぶりに掃除機でも掛けようと思いたった。そして、前回、吸い取りが悪かったことを思いながらごみ袋を取り替えた。
日頃我が物顔で部屋の中を闊歩しているクリーナーが今日は小さく見える。小さくなっている。彼はアクタ姫を前に戸惑っている。
クリーナー:アクタのお姫様どうか私の前から立ち去って下さい。私は仕事に忠実なモノなのです。
あなたを捉えあなたを暗いところに閉じ込める。それが私の仕事です。でも私は今それが出来ない。あなたは光の中、自由に飛び回っている。キラキラと輝いている。
一方私はそんなことのできる定めではありません。そしてそんなことが素晴らしいことだとも美しいことだとも感じないでいました。
ああ、今のこの気持ちを私は何と名付けていいのか分かりません。ただ私はあなたを暗いところに閉じ込めそしてあなたが悲しい思いをするのは嫌なのです。
ですから私にそんな悲しい仕事をさせないでください。どうか私の前から立ち去ってください。
アクタ姫:クリーナーさん掃除機な気持ちをおっしゃってください。あなたにそのスカイブルーのお洋服はとてもお似合いですね。
そして🐘ゾウさんのようなお鼻もとても凛々しいです。私は誰かに捉えられる定めならあなたに捕らえられたいのです。
一目見たときから私はあなたが好きでした。だから私はこうして絨毯の上に落ちているのです。
クリーナー:あなたは何もわかっていないのです。あなたは夢の島に理想を見ているのかもしれませんが、あなたが思うような場所ではないのです。
そこにあなたは延々と閉じ込められあなたはひかりを、自由を失うのです。
アクタ姫:クリーナーさん私は愛のない世界で自由に生きるより愛されたという記憶の中で不自由でも生きたいのです。
どうか私をひと思いに吸い込んでください。それが私の幸福なのです。
アクタ姫はクリーナーに手を合わせた。
その時、クリーナーは抗えない神の力によってアクタ姫を吸い込みそして大声で泣いた。
毛玉婆は掃除機の吸引が良くなった気がして、やっぱり、袋、だったのねと、一人、ニンマリした。
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