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しじみの日
ここは国防省免疫軍参謀本部のある腋窩リンパ節の関所、リンパ小節。樹状巡査部長は肺胞村からはるばる徒歩でやって来た。
しかしいつもの通り軍服姿のエリート面したモノたちはせせこましく働いているばかりで労いの言葉さえない。
そして自分の眼の前にいるのはノラリクラリした返答を続けているヘルパーT司令官。樹状巡査部長は侵入者の生皮を提示するも、
曖昧に、それは〜、本当に侵入者ですかねぇ、などと悠長なことを言っては分厚い台帳をひっくり返している。
樹状巡査部長は疲れもあって頭がボンヤリとして、この時が、永遠に続くのではと寒気がしてくる。
フッとマックロファージ巡査ののほほんとした表情が思い起こされ、自分も現地採用の派遣が良かったか?などと弱気になる。こんな時こそ、しじみ成分配合のチョメチョメだなと思う。
そして目の前にいるのは頭、悪そうなのに胸腺大学をソコソコの成績でご卒業され、出世街道まっしぐらのヘルパーT司令官。
ため息に次ぐため息しかないけれど報告だけはキッチリしないと気が済まない性分。
部長
こちらに提示します生皮は亜種のディアボロ、のようですがいかがされますか?
ヘルパーT
エッ〜、だって、ディアボロたちはつい1週間前に科学部のB大佐が新しい武器を作って制圧したばかりじゃん?あの人、
自分で武器を作って攻撃までしちやうんだからバイタリティーあるね!!大卒じゃないのが惜しいけどさ、僕なんか、戦場なんて怖くって、アハッ。
ヘルパーT司令官の他人事のような言い方に、樹状巡査部長は、はらわた煮え返る思いがしたがぐっと堪えて笑顔を作った。
つづく
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