エッフェル塔の日
キラーの首根っこを押さえつけた米子だったが、足に冷たい感触を覚え、そしてそれがキラーの股間から流れ出ていると分かり、その手を緩めた。
米子
チョットぉ〜〜〜。敵も味方も区別つかないお漏らし野郎がなんで巡査?
オッタマゲーション!!アンタ、正真正銘マックロファージ巡査なの?
婆
うんニャ、違う、
この男はマックロファージ巡査じゃあない。
マタマタ、余所者…なんて呪われた日なんじゃ〜〜〜、
ゲホゲホ〜
身体が自由になったキラーはそのスキを見逃さず、ハイ・ホー婆に光線を向けた。婆は心臓を射抜かれ、その場に倒れた。
その姿はあらゆる物質を浸食し、破壊してしまう新型ウイルス“ナノマイト”により崩壊したエッフェル塔子の最期のようだった。
米子
ば、ば、
婆〜さん!!
米子はハイ・ホー婆さんを助け起こそうとしたけれど、婆さんは涙を流してその手を振り払った。
婆
あ〜、アンタ、意地悪言って、ゴメンして、この一連の出来事は全て、
身体を壊し、孤独に負けた婆の心の弱さの責任じゃ
こうして手を合わせます。
ゴメンナサイよぅ、ゴメンナサイよぅ…
ハイ・ホー婆さんは虚空に節くれ立って、しわくちゃの小さい手を合わせた。米子は必死でその手を握りしめた。
米子
ハイ・ホー婆さん、馬鹿なことを言わないで!!
病気に罹ったのはロクデナシのずんぐりむっくりのせいだし、
相性の良いモノとの出会いの結果は裏切りだっただけ、
婆さんになんの科もありはしないわ。しっかりして、
また、明日になれば素敵な出会いがあるかもしれないじゃない。
それは生きていなければ証明出来ないのよ!!
婆〜さ〜ん、婆さ〜ん〜
米子はハイ・ホー婆さんの名を呼び続けたが、ハイ・ホー婆は、己の舌を噛み切った。しばし、米子は呆然としたが、必死で口を開けさせようと血だらけの唇に触れると、
それは氷のように冷たく固くなっていた。虚空を拝んでいたその手も力を失い、地に落ちてもはや婆は骸となっていた。
米子はキラーを睨みつけた。
米子
アンタ、ハイ・ホー婆さんに、なにをしたの!!
ただ、ただ、一生懸命に主の為に働いて、
その主から煙害をうけて身体を壊した。
悪い男に恋した。
そんな善良な婆さんが、なんで謝りながら死ななけりゃあ、ならないのよ!!
なんとかいいなさい。
涙でクシャクシャの米子の顔は一部ふやけ、それでも米子はキラーに非難の言葉を浴びせた。
つづく
大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!