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フジロック2024 覚え書き(おもに菊地成孔とルーファス・ウェインライト)


FRF2024

 7月28日(日)

・5年ぶり19回目のフジロックは、最終日のみ参加。いやぁ、久々だ。お目当てはもちろんルーファス氏♡
・7:22に越後湯沢駅着。即シャトルバス乗れた!→リストバンド交換もすぐ!→場外で朝カレー☆→9:00のゲートオープンと共に入場→あちこちに飾られたアートを楽しみながらズンズン奥地へ向かい、ハンモックでまったり読書。
そして……

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール(Heaven 11:40〜)

お名前はよく目にしていたけれど、きちんと音を聴いたことはなく、"インテリ×シニカル×饒舌なジャズ方面の人”となんとなくイメージしていた菊地氏。今回、ゴージャスな編成でのご出演だと知り、フジロック予習期間にSpotifyで試聴してみたところ、最初に流れたのが↑この曲「戦前と戦後」。
「うわ、この声好き♡♡♡」「え?! ご本人が歌っているの?!」 
いろいろ聴きすすめると、タンゴ、ラテンをはじめ多彩な音楽を自在に織り込み、しかも変態チックに展開する曲(←ここ大事!!)が多く、さらにノスタルジックな退廃や官能がたっぷりまぶされているではありませんか! 一気に期待度ナンバー1のアクトになりました。あぁ、早く、この甘い歌声を生で浴びたい……。
注)予習は音源のみ。ビジュアルはまったくのノーチェック

サウンドチェック中。
夜のムードが漂いますが、まだお昼前です

開演40分前にHeavenに行ったら、サウンドチェック中。さすがにまだお客さんはまばら。ゆえに最前列で見物。
おぉ、この方が(私の中で話題沸騰中の)菊地さんかぁ。
編成は菊地氏(T.&A.サックス、Vo、鳴り物♪)に加え、バイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、ピアノ、バンドネオン、パーカッション×2の総勢11名(←たぶん。私の位置からだとステージ後方がよく見えず)。
「こういう楽器編成だと(準備の関係で)この出番になるそう。こんな時間、リハーサルだってしたことないですw」などなど、準備しながらカジュアルにお喋り。そして「あ、本番始まったらオツを気取って一言も喋りませんので……。今のうちにお客さんたちと仲良くなっておこう♪」みたいな謎の宣言(しかしこの宣言は結果的に反故に=本番、いっぱい喋ったw)。

さて、本番。
1曲目から、およそ日曜午前中には似つかわしくない"不穏な旋律と複雑怪奇なリズム"のスリリングな応酬!! バンドのみなさんのソリッドかつ情熱的な演奏はまさに予想通り。格好いい!!(↑は5年前のライブ映像)
一方、まったく想定外だったのが、菊地氏のパフォーマンス(歌唱/演奏/コンダクト/エアボウイング※/ときおり見せるいわくありげな微笑☆)。
もうねぇ、片時も目が離せないほど素敵なんですよ。あの妖しく混沌とした音楽のもとで観る男(ひと)は、"ゲレンデマジック×吊り橋効果"により、ことさら魅惑的に見えるのかもしれないけれど、それにしてもヤバい色香。ほかのメンバーの演奏だって見たいのに、本当に参りました(実際には、おそらく9割方、菊地氏を凝視していた>わたし)。
※エアボウイング=ロックバンドのVoが、ギタリストのソロ中に演るエアギターに相当する"バイオリンしぐさ "。

もちろん私は、ゆらゆら踊りながらの鑑賞。ああいう一筋縄ではいかないリズムの音楽では"最適解=どの拍に合わせて揺れるのがいちばん好事家っぽいか"を探るのも楽しい。が、忙しさも増すw
あと、50分間のステージ中に何度か「雨がぱらついたり、陽がさしたり」が繰り返され、その対応も楽しく、忙しい。
"はじめてのひと(音楽家)"に、こんなふうに心がメロメロになったのは、たぶん2017年に同じくHeavenで観たFather John Misty以来のこと。まさに夢をみているような時間でした。
サウンドチェックでの「僕のはカチッカチに硬い音にしてください」とのリクエストにより、「甘い歌声のシャワー」を浴びることは叶わなかったけれど、それはまたいつか、夜にどこかで。

<セットリスト>
killing time
Wuthering Heights
京マチ子の夜
色悪
ルペ・べレスの葬儀

Rufus Wainwright(Green 13:00〜)

1998年の初来日以降、2008、2010、2013、2015、2019……、彼の来日公演は大阪・名古屋も含めてほぼすべて拝見。いずれも会場はホールやライブハウスで、それが彼の音楽にはふさわしいのでしょうが、何かのおりに、NYセントラルパーク"サマーステージ"でのライブ(↑上の動画がそれ)のことを知って以来、「フジロックの昼のグリーンでルーファスが観たい!!」とずっと思ってきました。
それがついに実現!!となったフジロック2020(ルーファスの出演はかなり早い時点で発表)が、6月初旬に中止決定。。。コロナめ。。。
「もはやこれまで……」と思っていましたが、ちゃんと呼んでくれました、サンキューSMASH!!

ステージ上にはグランドピアノとアコースティックギター(+それぞれにペットボトルの水)。あぁ、シンプル。開演までの客入れBGMはおそらくご本人の意向が入った選曲♪
左袖からにこやかに登場し、まずはピアノへ。いでたちは、ジーンズ×ゴージャスなジャケット(on素肌)。
一曲目は「Agnus Dei」!! あの唯一無二の声が、ボリューム感たっぷりにグリーンステージエリアを満たしていきます。やったね、ルーファス!!
※この時点で、私の望みが"自分自身がルーファスのステージを楽しむこと"ではなく、"グリーンのお客さんが、ルーファスのステージに魅せされ、トリコになってしまうのを祈り、見守ること"になっていると再確認。なにそれ?! 彼のお母さんかw
なんと背景にはアートっぽい映像が。現場では「こんなのはじめて♡」とワクワクしていましたが、あとから考えてみたら、アルバム「All Days Are Nights: Songs for Lulu」全曲再現(拍手厳禁)の来日公演(2010年)で、

初演(ロンドン)の写真。黒い衣装は“失意の花嫁”がコンセプトだそうで、裾の長さは5m以上。

↑こんな感じのステージの背景に、↓このビジュアルを使った映像が流れていました。

この目が、すごーくたまに、まばたきするの。あれは、マジで怖かった(汗)

(あらためてサマーステージの動画↑見たら、このときも1曲目は「Agnus Dei」だったのだね)
以降、彼のソロでのライブの基本フォーマットどおり、2〜3曲ピアノ→2〜3曲ギターという流れ。
喉のコンディションは"上々"のさらに上。グリーンの歴代出演者(150組ぐらい?!)の中で歌唱力TOP5に入るのでは?! ←証拠は何もない(キッパリ)
今回、ソロ出演だったことを嘆いている方々がいらっしゃいましたが(本人さんとか)、私は彼のソロライブの現場にいると、"そこで鳴るべき音(たとえば「The Art Teacher」の間奏でのホルンとか「Gay Messiah」の女声コーラスとか……)"が脳内で勝手に再生される特異体質wなので、まったく問題なし。あぁ、リッチな音楽体験♡

グリーンの大スクリーンに映し出されるルーファス氏。夢みていたシチェーション♡ 
私はモッシュピット2列目で、ちゃんと肉眼で拝見しましたよ!

ところで、こんなこと初めてなんだけど(そもそも、ルーファスのライブ直前にほかの音楽家のライブを浴びるという経験が初めてなんだけど)、私の体内(脳内?)に樽かコップのようなものがコツゼンと現れて、芳醇な音楽体験でどんどん満たされていったんですよ。ルーファスのライブが終わる頃には、もうすっかり満杯。"うわ、表面張力!!"という状況。
今こうして思い出しても、幸せだったなぁ、私。満面の笑みでグリーンステージをあとにしたと思う。

……が、しかし。翌日以降、「あのセットリストでよかったの?」「もっと、気ままなお喋りをした方がよかったんじゃないの?」という思いがムクムクとわいてくることに(←もちろん"グリーンや配信のお客さんが、ルーファスのステージに魅せされ、トリコになるかどうか"という観点において、ね)。
その件については、いつか、あらためて書くかも。
(でも、もしかしたらサウンドチェックのときに"気ままなお喋り"をいっぱいしていたのかも。だとしたら、"ルーファスちやほや隊員"として、もっと早くグリーンにいるべきだったのだけれど、どう考えてもあの菊地氏のライブを中座するという選択肢はなかったのです……)

<セットリスト>
Agnus Dei
Montauk
Out of the Game
Gay Messiah
The Art Teacher
Early Morning Madness
Ready for Battle
So Long, Marianne
Poses
Cigarettes and Chocolate Milk
Going to a Town
Hallelujah

・ふたたび奥地へ向かい、アヴァロンで津田さん、デニーさんたちのトーク(最後の5分)を聴き、NGOビレッジのいくつかのブースを見てから遅めのランチ(ハイジカレー)→いとうせいこう is the poet with 町田康を客エリア(坂)のいちばん後ろで。音響があまりに酷くて数曲で退散(ネットに上がってる動画見たら、問題ない音なので、私のいた場所が悪かったみたい)→そして、ふたたび都会へ(Green〜Red〜オアシスあたりのことを勝手にそう呼んでいます)。"樽が満杯になった私"には、どの歌声も残念ながらまったく響かず、生BGMにさせていただいて、メールチェック等あれこれ。→「こんなに満たされたんだから、もうこのまま帰ってもいいかも」なんて考えつつ、オアシスで手に入れた焼き鳥を手に、当初の予定通りグリーンへ。

RAYE(Green 17:00〜)

予習のSpotify試聴で、「この人、ぜひ聴こう!」と思ってました。唄が表情豊かで、声もいい感じ。

グリーンを横切るメインストリートのすぐ後方に陣取り、まったりと鑑賞スタート。がしかし、ライブが始まったら、期待を遥かに上回るパフォーマンスにがぜん覚醒(アタマだけ。カラダはそのままのんびりリラックス)。
↑当日のライブ(フル)が上がっているので、私がタラタラ書くより、これを観ていただくのがいちばん。
歌唱が素晴らしい+愛らしいお喋り♡、正座でsing♪ 観てよかった!!

・ふらふら散策して、ふたたびHeavenのミーターズ(関連バンド)。間違いないヤツ。格好いい!! がしかし、3曲で中座し都会へ。
・フジロック行きを決めたのが直前だったので新宿行きの深夜バスは既に売り切れで、"レッドかパレスで夜明かし→始発の新幹線で帰宅"を目論んでいたのですが、行きの新幹線車内で急に弱気になって宿をキープ(ほくほく線で越後湯沢から数駅)。終電に間に合うよう移動開始。
・グリーンに達したときのアクトは、ずっと真夜中でいいのに。逆光でなんにも見えないw
・ゲートには来年の開催日が。たぶん来ます! 待ってろ、苗場!! 
・最寄り駅から宿まで徒歩20分弱。ずっと田んぼ道。車1台通らず、聞こえてくるのはカエルの声だけ。なんだか心細くて、ルーファスの曲を歌いながら歩いた。でも宿は快適。でもなかなか眠れず。でも日が出てきたら窓の外がコレ↓で感動。次回もココにしようかな。

そりゃ、カエルも鳴くってw

・せっかくなので、大地の芸術祭開催中の美術館(越後妻有里山現代美術館MonET)へ。前回もこのパターン。でも今回は、なにせ樽が満杯なので、無料エリアだけ巡って、あっさり越後湯沢に戻りました(またあらためて来たい>大地の芸術祭)。

越後妻有里山現代美術館MonET。
晴天でむっちゃ暑かった!!

・久々のフジでいちばん驚いたのが、パレスの場所が道の反対側(苗プリから会場に向かって左側)に移っていたこと。どうやらコロナでいったん廃止になり、2023年に今の場所で復活した模様(間違ってたらごめんなさい)。以前のパレスは背後が山で、「え、ここのぼっていいの?」という小道の先に、秘密めいたバーがあったのですよ♡
・菊地成孔さんのアクトに先がけ、朝イチのステージをいくつかチラ見する計画だったけど、いざ現場についたら、「なんか、今回は欲張らなくていいや」という気分になり、のんきな幕開けに(ハンモックで読書>百年の孤独>テヘw)。結果的に極上体験ができました。あと、ここ数年、小説の世界に浸る集中力が急激に低下していたのだけれど、ハンモックにくるまれながら、ちっちゃな声で音読したら、驚くほど物語に入っていけました。いいことみっけ! 
・twitter上で、「政治家がフジロックに!!」みたいな投稿がいっぱいあったけど、なにをいまさらw 彼は以前にも参加しているし、ほかにも社会課題に対するアピールとか意見交換とか、ずーーーっとやってますから!!(むかしは朝イチのグリーンステージにNGOのアピールタイムがあって、オーランド・ブルームが登場したときもあった>調べたら2006年でした)
・天候に関わらず、ずっと日本野鳥の会の長靴を履いてたけど、来年はアウトドア用の靴にしてみよう(足首の不自由さが、脚の疲れを呼んでる気がする)。
・軽量の折りたたみ椅子+小さなレジャーシートは、ほんと最強。
・めずらしく会場で一人も知り合いと会えず、飲食のオーダー以外、誰とも一言も喋らなかったフジロック2024w こんなに大人になっても恋に落ちることができるとは。きっとずっと忘れられない回になりました♡

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