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第十五弾 約20数年ぶりの再開編①(仮名:梨沙20代半ば)

チャット部屋を作ってから一番驚いたのが梨沙のこと。
一度就職したけど数年で辞めてちょっとした引きこもりになってると言っていた。
梨沙は下ネタに興味があるわけでもなくたまたま覗いてみた部屋がアットホームな感じだったので居着いてると言ってた。
タイムライン上でひょんなことから出身地の話になり2人とも葛飾区ということがわかった。
まぁそんなことはあるっちゃあるので驚かなかったのだが梨沙が
「葛飾区のどこ?」
と聞いてきたので答えると町名まで同じ。
しかも〇丁目まで一緒。
改めて年齢を確認すると同い年!
「幼稚園はどこだった?」
と聞いてみたら同じ幼稚園だった。
もう他のメンバーは2人の会話を見ていて大騒ぎ。
これはもう運命だから会うしかないだろと。
タイムラインで
「ちょっとささってくる」
と言ってメイン画面から離脱。
他の人には見えない「ささ」でお互いの本名を教え合って俺はすぐに卒園アルバムを引っ張りだした。
同じ組にはならなかったが顔に見覚えがあった。
残念ながら共通の友だちもいなくて梨沙は卒園と同時に隣町に引っ越してしまい小学校は別だったのでお互いにアルバムを見るまで記憶には残ってなかった。
梨沙も俺の写真を見て覚えていると言ってくれたので嬉しかった。
まさかの再開!
「初恋の相手!」というドラマのような展開ではないが誰でも運命を感じるだろうな。
俺らはメンバーに
「付き合っちゃえ!」
「デート必須だろ!」
などと冷やかされる日々が続いた。
その時のアルの対応が冷たかったのを記憶してる。

懐かしさも手伝い携帯メールでもやり取りをする関係になった。
梨沙は自称引きこもりというだけあって暇らしくメールをするとすぐに返事が返ってくるので話す回数も必然的に多くなった。
俺は会ってみたいと思っているのだがなかなかOKしてくれない。
チャット部屋を開いて自分から本気で会いたいと思ったのは梨沙だけ。
ヤリたいとかじゃなくただ会って話したい。
毎日メールをして1ヶ月が経った頃にやっと会う約束ができた。
マジで嬉しかった。
梨沙は電車に乗ることも好きではないとのことで俺が梨沙の最寄駅まで行ってランチをすることになった。
待ち合わせ場所に来たのは大人しめの服装のスレンダーな梨沙。
幼稚園時代はポチャとした感じだったが今は細身。
顔はアルバムの写真の面影があってすぐにわかった。
梨沙も俺のことを何となく面影があると遠目から気づいていたようだ。
合流した俺らは騒がしい店が嫌いという梨沙の希望で落ち着いた感じの店に入った。

そこで3時間くらい話をしてかなり打ち解けた。
そうなるとやはり大人の2人。
少しくらいアダルトな話もする。
梨沙は高校時代付き合った彼氏と一度しか経験がないと恥ずかしそうに言った。
その時は何にもわからなかったので男性自身を触ったこともないし見ることもなかったと。
オ〇ニー経験もないので自分のどこが気持ち良いのかもわからない。
経験が少なすぎるので何もかもがわからずチャットの会話でも意味がわからないことが多かったらしい。
そんな梨沙に冗談で言ってみた。
「じゃあいろいろ教えてあげようか?w」
もちろん梨沙は必死に拒否した。
俺も本気じゃないので拒否されてもダメージ無し!
その後も少し話をして帰ることに。
初めて会うんだし引きこもりを長く引っ張っても申し訳ないからね。
店を出て駅へ向かう俺の斜め後ろを歩く梨沙。
もう改札の目の前だという時に上着の裾を引っ張られる。
「どうしたの?」
と振り返りながら言うと
「…えてほしい」
よく聞き取れなかったので聞き返すと
「いろいろ教えてほしい」
とハッキリ言った。
しかし意地悪したくなった俺は
「何を?」
ちゃんと言葉にさせようと聞いてみた。
すると梨沙は背伸びをして俺の耳元で
「エッチのこと。普通の恋人はどうやるとか」
と消えそうな声で内緒話をするように言ってきた。
これ以上はたぶん言えないだろうと思ったので俺は
「じゃあこれからホテルに連れてっていいの?部屋に入ったらもう拒否させないよ」
と最終決断をさせた。
梨沙は黙って頷いて俺の手を握ってきた。

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