『祓除』の感想:考察ってほどではないけど色々考えて怖くなったこと~これって「観る前の自分には戻れない」やつでは~
【1】祓除とは
テレビ東京の大森P、梨さん、背筋さん、寺内康太郎さんという、新進ホラー作家のヤングアベンジャーズみたいな布陣で作成された、テレ東開局60周年記念のホラーコンテンツです。
事前番組+本編のリアルイベント(有料配信もあり)+事後番組の三部作として構成されています。
公式では以下のような説明がされています。
■事前番組
■本編リアルイベントの有料配信
※販売期間:2023/10/13(金)17:00 ~ 2023/12/2(土)19:00
配信終了:2023/12/2(土)23:59
※販売期間:2023/10/13(金)17:00 ~ 2023/12/17(日)19:00
配信終了:2023/12/17(日)23:59
延長されたようです。
さっき気付きましたが、マウスのホイール操作で映像が拡大できますね。
親切~。
■事後番組
【2】『祓除』のヤバかったと思うポイント
▼フェイクドキュメンタリーのフェイクドキュメンタリー
事後番組によると、祓除師として本編に現れたよしぴよさんは、役者としてオファーされて、台本を渡されて演じていただけのようです。
本編のフェイクドキュメンタリー+フェイクドキュメンタリーを作る側のフェイクドキュメンタリーみたいな二重構造でしたね。
「フェイクドキュメンタリーを作る」という構造ゆえに、本編で取り上げられた映像にも明らかなフェイクが混じっているのではと思いました。
中継の交通事故の映像のビデオのやつとかは、よしぴよさんがあからさまに台本を読んでいる感じがします。
謎の光を追って山に登るやつは、映像内と同じアンテナがリアルイベントのセットにあったので、作りっぽい感じがします。
撮影で使ったものをそのまま持ってきて置いている感…。
▼複製は変質する
今回の怪異には、「複製は変質する」という特性があるようです。
事前番組の再放送が「祓除事前番組(1)のコピー」というタイトルで放送されましたが、内容が若干変わっていたようです。
(これは観られませんでした…)事後番組で映ったよしぴよさんのPCには「null.wmv」というファイルと合わせて「nulll - コピー.wmv」というファイルがあり、意味深です。内容若干変質しているのでは?と思ってしまいます。
ちょっと『リング』亜種みたいな感じがして嫌ですね…。
▼霊が見えるようになる…
事後番組の冒頭で、客席に白い人形のようなものが見えた、演者に知らせずに悪趣味な仕込みをしていたのではないかと、よしぴよさんがキレています。
事後番組を観ればだいたい分かりますが、よしぴよさんが祓除のお祓いっぽい演技の元ネタとして使ったのが、通信販売で買ったというUSBメモリ(霊が見えるようになる映像)のようです。
そして、その映像をテレビ東京に送って、映像のコピーがイベントの場で流されたようです。
よしぴよさんの著作権意識は一体どうなっているのか。
(それはどうでもいい)
普段からあの映像で訓練していたよしぴよさんが、コピーで凶悪にブーストされた映像を見て、「霊が見えるようになる能力」に覚醒したようです。
しかし、よしぴよさんはその場ではそれに気づかず、白い人形?が見えるのは仕込みだと思ってキレました。それだけにとどまらず、その後の生活でも霊が見えてしまっていて、それが原因で引きこもっているのかもしれません。
また、「複製は変質する」という意味では、よしぴよさんのモノマネ儀式演技も、元ネタから変質してより凶悪化している可能性はありますね…。
よしぴよさんほど訓練していない我々はまだ完全に覚醒しきっていないかもしれませんが、同じ映像や儀式を観た我々もいずれ「霊が見えるようになる能力」に覚醒するかもしれないですね…。
▼霊はどこにでもいる…
地味に嫌だなと思ったのは、心霊スポットとかに行かなくても、そこらに霊はいるんだよ~ということを匂わしてくることです。
心霊スポットでもなんでもない赤レンガ倉庫のイベントスペースに、よしぴよさんからは霊らしきものが見えています。
現地参加された方、すぐそばに霊がいたのかもしれませんね…。事前放送で行った池。フェイクドキュメンタリーの撮影として行っているので、本当に心霊スポットに行く必要はなく、それっぽい適当な場所だと思います。
それなのに、黒い影がいましたね…。
心霊スポットとかに行かなくても、そこらに霊はいるんだよ、『祓除』を観て覚醒してしまったら、いつでもどこでも、不意に霊が見えてしまう事があるかもしれないよ...…というわけですかね。こわ…。
『正欲』のキャッチコピーみたいですが、まさに「観る前の自分には戻れない」やつですね…。
▼大森Pの事後コメントの意味
この節はちょっと別角度です。
大森Pがイベント後に以下のコメントを残していました。
『祓除』は本編のフェイクドキュメンタリー+フェイクドキュメンタリーを作る側のフェイクドキュメンタリーという二重構造であり、劇中の大森Pはフェイクドキュメンタリーを作る人だったはずです。
番組説明通りに「これまでに人々のあいだで穢れや禍とみなされてきた映像や物品を無害化する」つもりなどさらさらなく、ホラーエンタメコンテンツを作ろうとしていたはずです。
よしぴよさんの儀式もフェイクだと思っていたはずです。
では、なぜこんなコメントが出てきたのか…。
以下は、この解釈が正しい!とかそういうわけではないですが、こういう考え方もできるな、こう考えたら怖かったな、というものです。
本編で流されたいくつかの映像、明らかなフェイク(フェイクドキュメンタリーとして作られた創作物)がある一方で、実は本命弾が紛れていたのではないか。普通の番組では流せない映像をこういう機会に流したのではないか…というものです。
中継の交通事故の映像のビデオのやつとか、謎の光を追って山に登るやつとかは上述の通りフェイクっぽい(フェイクドキュメンタリーとして作られた創作物っぽい)ですね。
映像の後でよしぴよさんの挙動が変になったやつは、覚醒しつつあるよしぴよさんには何かが見えていたのかもしれないですね。
(とはいえ、上述の「霊はどこにでもいる…」からすると、フェイクドキュメンタリーとして作られた創作物の中にたまたまそこにいた霊が紛れ込んだという可能性もありますね。本命弾なのかたまたまなのか、切り分けは難しそうです)事後番組の最後のテロップ「祓除の一部はフィクションであり、あくまでフェイクドキュメンタリーです。該当箇所は実際の人物・団体とは一切関係がありません」も意味深です。
普通に考えると、よしぴよさんのリアル生活がノンフィクションでその他がフィクションとなりますが、本当にそうなのか?どこからどこまでがフェイク?と疑問が生じます。境界が分からないのが怖いです…。
本編で流れた映像も、全部がフェイク(フェイクドキュメンタリーとして作られた創作物)なのか?本物が紛れていたのでは?と疑心暗鬼になってしまいます…。あと、大森P作品だとこれまで心霊・人怖みたいなのはありましたが、オカルト系が混ざっているのは珍しかったですね。今回の大森Pはオカルティストで、オカルト映像を広めたかったという解釈…さすがにこれはアクロバットすぎますね…。
【3】小ネタたち
その他の、いろいろ気になった小ネタを挙げていきます。
「複製が変質する」という意味では、もし万が一、『祓除』本編の違法動画がどこかに上がっていたとしたら…。それを観た人はもの凄くひどい目に逢いそうですね。霊的な意味で。
事後番組の中で「プロレス」という言葉がでてきましたね。最近某議員の「プロレス芸」発言で新日本プロレス社長とのいざこざがありましたが、これはそれを受けて取り入れられたネタなのか、それとも偶然なのか…。なかなかに凄いシン=クロニシティです。
梨さんと背筋さんがモザイク状態で並んでいて、なんだか仲良さげな感じでちょっとほっこりしました。
ちなみに梨さんがモザイクなのは顔出しNGだからだと思います。
(我々の見える解像度が低いからで、覚醒したら見えるとかではないです。そのはずです…)
梨さんと大森Pのトークイベントでも梨さんは顔出しNGで分厚い黒い幕の後ろにいました。
では最後に、大森Pの笑顔をどうぞ。