フェチの原体験
こんにちは。
にくこと申します。
グラフィックデザイナーです。
マエデという、コミュニティに所属しておりまして、マエデ内でアドベントカレンダーやろうぜ!!という企画が突如勃発し、以前から書きたいテーマもあったので参加させていただきました。
本日12/15がわたしの担当の日です。
他のメンバーの方々も面白いnoteを書いてますので、ぜひチェックしてみてください!
フェチを極めろ
突然ですが、みなさん、フェチってありますか?
わたしはあります。
フェチについては昨年、一度じっくり考える機会がありまして。
その機会というのが、宣伝会議さんの講座「アートとコピー」での授業の中ででした。
アートとコピーを受講した感想なんかも過去にnoteでまとめてるのでこちらもぜひ。
アートとコピーでは、マエデの室長である前田高志さんが授業をされた回がありました。
「フェチをテーマにした作品をSNSで発表する」という課題でした。
なぜフェチなのかと言いますと、前田さんは以前から、フェチがあるデザイナーが強い説を提唱していらっしゃるんですね。
前田さんの著書「勝てるデザイン」の中でも、
「自分のフェチがあってそれを追求している人ほど、これからの時代のデザイナーとして生き残れる」
と仰っています。
ここ数年、イラレやフォトショなどのデザインツールやAIが発達し、さほど知識がなくても、それなりのデザインが作れてしまう時代になってきました。
そんな時代においてAIに勝るもの、それは人の感情を揺さぶる要素や強い思考、つまりフェチであると。
フェチを極めることで、作るものにもフェチが滲み出る、既視感のあるものにならない、だから強い。
というようなことを、前田さんは勝てるデザインの中で仰っています。
つまり、フェチを極めることで、個性が確立するということなんですね。
そこで、自分のフェチについてじっくり考えたのですが、
考えた結果、わたしは少女漫画のキラキラおめめがフェチであることに気がつきました。
わたしはミーティング中や電話中、気がつくとキラキラおめめの女の子を描いていることが非常に多いです。
こちらは実際のわたしの落書きです。
気がつくとなぜかキラキラおめめの女の子を描いています。
幼少期の頃は漫画家になりたいという夢を持っていたので、その名残でもあると思いますが、気がつくとやっている、これはフェチと言えるのではないか?と思いました。
そこでわたしたちのチームはキラキラおめめをテーマに作品を作ることに決めました。
それで生まれたのが、KIRAKIRA UMAという作品です。
普段、不気味に描かれることの多いUMAを、ポップでキュートなキラキラフェイスにした作品です。
よーく見るとおめめの中に、UMAの名前が入ってます。
キラキラおめめを描く時が一番楽しかったので、やっぱりわたしのフェチはキラキラおめめなんだな〜と思いました。
しかし、わたしはなぜこんなにもキラキラおめめに惹かれるのか。
先日、ふと幼少期のとあるできごとを思い出しました。
フェチの原体験
前置きが長くなりましたが、今回の本題はなぜわたしがキラキラおめめが好きなのか、その原体験を振り返ることです。
ここからは、その原体験を語りたいと思います。
(キラキラおめめだけに、少女漫画タッチでお送りします。
少女漫画タッチのイラストは全てイラストACさんです。)
絵を描くのが大好きだった幼少期
わたしは物心がついた頃から絵を描くのが大好きでした。
家でも学校でも友達の家でも、とにかく絵を描いていたような気がします。
きっかけはセーラームーンのイラスト
小学校低学年の頃、親友Kちゃんのおうちで、セーラームーンのイラストを描いていました。
セーラームーンは毎日のように描いていたので、もはや何も見ずとも描けるようになっていました。
その日もKちゃんの前で得意になってサラサラっとセーラームーンを描きました。
「Kちゃん、できたよ。」
とちょっとドヤ顔でセーラームーンを見せたと思います。
Kちゃんに絵を見せると、大概、「にくちゃん上手〜!!もっと描いて〜!!」と言われることが多かったので、今回も、まあそんな反応だろう、と思いながら見せました。
ところがかえってきた返事が予想外のものだったんですね。
「にくちゃん、なんで目がパンチしてるの?」
…え? 目がパンチ? Kちゃん何を言ってるの…?
と思いつつ、
「もう〜Kちゃんってば!目がパンチってどういうこと〜?」
などと少々おどけながら尋ねました。
するとKちゃんはわたしが描いたセーラームーンの目の中を指差し、
「ほら、ここパンチしてるよね?」と言うのです。
こちら、わたしが幼少期に描いたセーラームーンを、記憶を頼りに再現したものです。
ちなみに本家のセーラームーンの目はこんな感じです。
おそらく当時のわたしは、上記のイラストの赤丸部分を少し見間違えて、パンチのような形で描いていたんだと思います。
Kちゃんの鋭い質問に対し
「Kちゃん違うよ!!パンチじゃないよ!目の中にパンチなんてあるわけないじゃん!セーラームーンの目がたしかこうなってたんだよ…」
と説明しました。
Kちゃんは
「じゃあこれはなんなの?人間の目で言うとどこ?」
とさらに厳しい質問を重ねてきます。
セーラームーンの目について、そんな深いところまで考えたこともなかったので、Kちゃんの質問になんと答えればいいのかわかりませんでした。
「Kちゃんはそんなに絵描かないからわからないかもしれないけどさ、漫画の目っていうのは大体こんな感じなんだよ!Kちゃんはイラストってものを全然わかってないね!」
などと、だいぶ無理のある力技でねじ伏せました。
Kちゃんは納得いかないような顔をしていたと思います。
しかしそんなKちゃんの鋭い質問から、
「そういや、漫画の目ってやたら丸とかいっぱいあったりするけど、あれってなんなんだろ…?」
という疑問が生まれました。
目の構造を考える
その日から、少女漫画の目をよく見るようになりました。
家にあった”りぼん”などの少女漫画雑誌を見ると、作家さんごとに目の書き方が違います。
いろんな目の描き方があるけど大体共通している点があることに気がつきました。
目の真ん中に黒い丸があることです。
あれ?大体の絵が、黒い丸が真ん中にあることが多いな…と思ったわたしは、自分の目を鏡で見ました。
自分の目の真ん中にも黒い丸(瞳孔)があります。
あ〜!これか!と気がつきました。
瞳孔の黒い丸に気がつくと、漫画の目の構造がわかるようになっていきます。
そうか、これは黒目の部分で、これが白目なんだ!
そして、やたらとある白い丸の部分は光が反射してる部分なんだ!と、理解しました。
これでもうKちゃんから厳しい質問を投げかけられても大丈夫です。
ここは光が反射してキラキラしてる部分なんだよ。と答えられます。
理解できると尚更描くのが楽しくなって、そこからやたらとキラキラしたおめめをたくさん描くようになったと思います。
これがわたしのキラキラおめめフェチ原体験です。
みなさんもフェチについて考えてみてはいかがでしょうか?
きっとあなたにしか作れない作品が生まれるはずです。