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嘘みたいに静かな午後だった。太陽の光がふわりとリボンのように降り注いで、その先にいるメ…
死んでしまえば良いと思った。 夏の暑い日で、きみは蟻を見つめていた。麦わら帽子がやけ…
馬鹿馬鹿しいよな、と君が言うのばかりを聞いていた。そんなことを言う君の方こそ馬鹿馬鹿し…
死んでしまおうと思っていたのとは違うのだと思う。 わたしは、そのひとを初めて見たとき…
少し欠けているものを判断するのに必要なのは一体何なのだろう、そんなことを思う。雑踏の中…
がりがりがりがり、と手首を掻いている。発疹も何もない、痒い訳でもない。ただ、掻いている…
美しい物語なんてものは何処にもない。 砂浜に木の棒で絵を描きながら君は言う。それがいつ波によって消されてしまうのかも分からずに、君は言うのだ。どうしようもない言葉を積み上げて、本当は崩されるのを待っているかのように。 「マゾヒスティックと言うのではないの」 だから問うて見る。君の手には木の棒が馴染んでいる。あまりにいい感じの棒だった。途中で二股に割れた名残があって、その先には一つ、あおあおとした葉が飛び出ている。取り残されたような〝いい感じ〟だった。都合が良すぎるようなそ
首が、転がっていた。これは必要なものだ、そう思う。これがあれば殺したい相手を傷付けるこ…
貴方が誰か、僕は一生知らないのだと思う。 まるで手紙のように書き記されたそれに、皆沼…