まる、せいかく、あかく、
貴方が誰か、僕は一生知らないのだと思う。
まるで手紙のように書き記されたそれに、皆沼は首を傾げるしか出来なかった。貴方、それが指すものの定義から始めなくてはいけない。これが例えば手紙であったのなら、その貴方は間違いようもなく皆沼のことだろう。手紙、とはそういうものだった。誤配、というのが起こらなければ、の話ではあったが。びゅお、と風が吹いていく。しかしながらこれは手紙ではない。寂れたホームの、それでも利用する人間がそこそこいるから未だ現役であるホームの、落書きだった。誰か