『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』感想①(エデロ編前半)
・見せてあげるよ!世界は輝いてるって
女児向けアニメ『プリティーリズム レインボーライブ』の続編スピンオフである『KING OF PRISM』シリーズ、そんなキンプリの『by PrettyRhythm』(バイプリ)や『PRIDE the HERO』(キンプラ)がYouTubeで無料配信されたのもあって自分はそれを視聴し、感想をここnoteに書いてきた。
そして今回はそれらの続きの話…テレビアニメとして放送された『Shiny Seven Stars』(スッスッス)を見ることにしたのだ。なんかキンプラの感想から数ヶ月ほど開いてるのは申し訳ないが、それでもなんとしてでも見たい気持ちはあった……オバレだけでなく新たに輝く7人の、シンだけでなく初登場から3年かけてようやく作られた6人のCGモデルによるプリズムショーを。3年!?そんなに!?というか上層部から「男子メインの続編作るなら1作だけで終わらせろ」言われたのに知るかと言わんばかりに大量の新キャラ出した(その1作目で顔見せ程度の出演だし)の改めて考えても怖すぎる。1作目で終わったら本当にコイツらなんだったんだレベルだったんですよ。しかしこうやってちゃんと彼らを深掘りする話が出来たのだから結果的には大成功であろう。
そんなキンプリシリーズだがこのSSSをまとめつつ新規映像を追加した総集編として数年ぶりにシリーズが再スタートする。『KING OF PRISM -Dramatic Prism.1-』(キンドラ)だ。今作の感想を書いてる途中で既にこの映画の感想を書いてしまったが(こういうのは勢いが肝心なので)このSSSはいわばキンドラでは映されなかったスタァたちの「実はこういうのがあったんだよ」な物語……映画から初めて見た人がもしこの感想を読むのなら是非とも本編を見てからにしてほしい。君の感想は君だけのものだから。それではまずは7人の星の煌めきについて………
(そういや深夜アニメ自ら見るのって昔NHKでやってた『SAMURAI7』以来だな……あれ2004年!?)
・1話「速水ヒロ 神浜コウジ 仁科カヅキ 虹を超えたその先に」
といってもまずはやっぱりとばかりにエデロから卒業し独立したOver the Rainbowことオバレの3人のプリズムショーから始まる。ということはアレだ、なんか恒例になってる夢女シチュ体験プリズムジャンプだ。今回は飲み過ぎて終電乗り遅れて例のボロアパートで泊まらせてもらうシチュ。いやなんかその未成年相手に介抱されるのは情けなくないか……?しかも3回もボロアパート導入を見せられる天丼ネタをされてマジで酒に酔いすぎて変な幻覚見てるような気分になってきた。その中でも特にアレなのは……神浜コウジ!
ヒィッ!!!!!(マジで背筋が凍りついた)
いやお前………お前!!!前作序盤で久々に見せてきたヒロがもう気持ち悪くならないからって………お前!!!!!!!なんでこう女児向けアニメ出身のイケメンからこう「やってる」みたいなの出してくるの!?当時レインボーライブ見てた元女児が見ている可能性だってあるんやぞ!!!!???これ言っていいかな?コウジ、お前もういとちゃんと
そんなこんなで進級したエデロ在校生に新しい校舎ができる(受付があるのではしゃぐシンで笑っちゃった。なるちゃんでもギリギリ言わなそう)し聖さんの借金返済も順調……と思っていたら法月仁の手駒である真田常務の謀略で借入先の銀行が一千万の負債を背負い倒産寸前に!またもエデロは火の車!もう仁が聖に嫌がらせする導入で無限に話作れるだろと思わなくないが仁は真正面から叩き潰してやると賞金1000億円をダシに「PRISM.1」を開催する!不正にまみれたプリズムキングなど空位の玉座みたいに抜かしてるがお前が一番不正にまみれてるのは禁句。あいも変わらずノリノリで悪事をこなしておる……
毎度のように敗北許されぬ背水の陣状態、しかし今回はオバレのみんなの力は借りれぬ……それでもいつもの寮に戻ったエーデルローズの7人は勝つために各々のベストを尽くす!ついに見れるんだぜ……シンだけじゃなく他6人のプリズムショーが!!期待と今後の展開に胸が膨らむぜ!そう……もうひとつの「今後の展開」にも……
・弐話「太刀花ユキノジョウ いざ、参る!」
さて始まりましたなPRISM.1のエデロ側のトップバッターを飾るのは赤髪ながらも青担当の太刀花ユキノジョウ。300年の歴史続く名だたる歌舞伎の一門・国立屋の後継ぎである彼だが、自分としてはキンプリ見る前での新キャラの中では一番印象が薄かった(他が濃いやつばかりなのもあるが申し訳ない)。しかし同時に彼の単独掘り下げには期待をしていた……プリティーリズムレインボーライブといえば家族間のいざこざから生まれるドラマ、そんな作品の続編において歌舞伎座という「いかにも」な家系のキャラならば間違いなく描かれるだろうから。
出た!レインボーライブ名物・分からず屋の親!いや求めるな。プリズムショーと歌舞伎、共に人前で舞う演技というのは一緒であるとはいえ二足の草鞋という訳にはいかず……父・菊右衛門にとって息子が享楽に現を抜かし歌舞伎を疎かにするようにしか見えなかった。これまで様々な面倒な親が出てきたが、今回ばかりは理由の「重み」が違う。なんせ歌舞伎の大家は「血」を重んじるから、その一族に男子として生まれてしまったから。
国立屋の一人息子として生を受けたユキノジョウ、彼も小さい頃は両親の愛と共に普通の子として育っていった……将来の道が歌舞伎役者として決定づけられてる以外は。300年続く伝統舞踊の歴史を絶やしてはならぬプレッシャーはすさまじく、だからこそ父は今度共演する連獅子のように子を谷に突き落とすかの勢いで厳しく接する。そうなるのもさもありなんなのだ。その逃れられぬ道を課せられながらもプリズムショーの道も進んでる息子ユキノジョウは……前作キンプラにおいてプリズムキングカップ出場という花道をシンに譲った。表向きは「俺たちに煌めきを思い出したシンのショーが見たい」と後輩たちに言っていたが、本心は……
「そうだ!俺は逃げたんだ!歌舞伎からも、プリズムショーからも!プリズムショーを始めたのも……歌舞伎から逃れる為だったかもしれない……!」
ミナトとカケルという同い年メンバー(まだ高2なのにおっさん組はいかんぜよ)の前でユキノジョウはついに漏らす……年相応の青さを、弱さを。彼もまだ齢17…己に流れる「血」の重みに苦しみ、醜く藻掻いてる自分が存在していた。この弱さを吐露できた仲間と出会えたプリズムショーも所詮はその「血」の宿命から逃げる為の口上ではないかと思ってしまう程に……
しかしそもそも父・菊右衛門は元々は別の屋号の者であり、それが努力を積み婿養子として国立屋を襲名し、歴代史上最高の演者となった過去がある。「血」を重んじる文化においては異端かもしれない……けれど彼がそこまで辿り着けたのは先代・雪翁の演技を見て「感動」が、「魂」を震わせたからであった……サムネでもあるように後に息子が氷室聖のプリズムショーで魅せた「魂」に惹かれてエーデルローズの門を叩いたのと全く同じ理由だった(あの電飾ゴテゴテ超特急で!?)
母からその事実を知り、ユキノジョウは決意する。これが最後の舞台になるやもしれぬ、けれど自分が出した答えを……己に流れる歌舞伎の「血」とプリズムショーに魅入られし「魂」を併せた舞いを皆に見せると舞台に立つ。
(BGM『百花繚乱』)
「逃れられぬ国立屋の血、もはや逃げぬ!私は生きる!太刀花ユキノジョウとして!」
「もうなにも怖くない!弱み、悲しみ、醜さも、全て舞台で曝け出す!」
「プリズムショーは心の煌めき、プリズムジャンプは心の飛躍」ユキノジョウの舞いを見て自分はこの言葉を思い出した。エンタメは人の心に感動を、魂に煌めきを引き起こす演技であり、その煌めきはその人を高く飛ぶようにすることだって出来る……己の歩む人生と合わさり更に輝くことだって。彼が「弱さ」と捉えてもいたプリズムショーという道は、魂見初められし舞台は決して逃げ道ではないと己に定められた歌舞伎の道と合わせることによって力強く証明した。父もその勇姿を見届け、考えを改めたのであった……
先陣を切った太刀花ユキノジョウ回、それはまさしく「え!!1話の枠でRL各キャラが歩んできたストーリーを濃縮してまとめろ!?出来らぁっ!」と先陣を切るに相応しい話だった。ここから他の各キャラもしっかり満足度高いストーリーやってくからよろしくな!とスタッフにグーパンで伝えられるかのように……否が応でも期待が高まる今作、はてさて次はどうなるやら……
・3話「香賀美タイガ 祭りなら!俺の中にある!」
続いては緑担当の香賀美タイガ。なにかとカヅキ先輩と関係ある人物だったのもあり他キャラより出番が多かった彼であり、なんならプリズムキングカップで出場推薦される実力者で強敵アレクといい勝負していた程だ。ストリート系列らしく喧嘩っ早くてつっけんどんでお祭り大好き野郎でもあるが顔は端正で童顔寄りでかわいい系、そんな彼はどんな話を……
やはり彼を語るうえで欠かさないのは仁科カヅキの存在だろう。女相手に媚びるようなプリズムショーに穏やかじゃない気持ちになったり真に観客を楽しませたい心意気に感動していたタイガきゅん、自分は「オバレで活躍してるカヅキ先輩のかっけぇプリズムショー見てエデロ入ったのかな」と思っていた……しかし実際のファーストインプレッションはもっと昔で……
なんとタイガは以前に少年カヅキと会ってた!あんなバリバリの青森ボーイなのにどうやってと思ったら「父の仕事(物産展関係)の都合で一ヶ月ほど東京に滞在してた」という手法だった……そんなタイガ少年は(ノリノリな姉と違って)東京の生活は不満でぶつくさぶらついていたら例の高架下で彼のバーニングスプラッシュを見て……裸になりつつその炎に「祭り」を感じ、魂を揺さぶられ、彼の東京生活は煌めきに溢れ始めた。
カヅキ先輩の元での練習もあって他校ゲストとして例の発表会(RL22〜23話のアレ)に出る予定もあったが地元に台風直撃もあって約束をブッチしてしまう形になって幾星霜、後にオバレが青森に出張した際に再びカヅキ先輩に会えると来てみたら………
「あんたは俺の知ってるカヅキさんじゃねえ!!!」
うん……そりゃバイプリでああなるわな。あの複雑な心中察する。しかしそんな回想の中に確かに存在する事実もある……今タイガがプリズムショーしているのはカヅキ先輩の熱さだけでなく、彼の優しさや懐の広さがあってこそなのだと。その優しさの延長線上にそれまで快く思ってなかったチャラチャラした部分、つまり「ストリート系もアカデミー系も関係なく観客を喜ばせたいという気持ち」が存在しており、そしてキンプラにて彼の優しき想いをありったけ込めたプリズムショーを受け感服した……それもまた事実なのだ。
そんな彼が魅せてくれるプリズムショーは……彼自身の憧れの人への「答え」でもあった。
(BGM「fly in the sky」)
「今日は俺の地元の祭りに来てくれてありがとう」
『祭りだワッショイ!フォーチュンボーイに花束を!』
「みんな……ダイスキ。」
あのタイガがカヅキ先輩みたいなアツいファンサービスを!?自分はここで心底驚き、同時に彼の成長を感じ取った……尊敬する人の受け付け難かった部分の真意を理解し、そして自分もそうなろうと心を飛躍させてこその画面越しキス。香賀美タイガ……正直お前顔かわいいしそういうの向いてるよ……これからもカヅキ先輩みてぇなスタァを目指していけよな!……
……こういう所は反面教師にした方がいいと思う。うん。
・4話「十王院カケル 愛と共に翔ける」
続いてはオレンジ担当の十王院カケルだ。総資産200兆というとんでもない数字を持ちキンドラの劇中挿入CMでこれでもかと影響力を思い知らされた十王院財閥の御曹子でもある一男(本名)、チャラチャラした見た目と言動をしてるがこの歳で専務取締役という会社の一部分を任されてるのでちゃんとシビアな目線を持ってるし、それでも根は友情に熱い男となっているぞ(あとオタク趣味もあるのだが話の都合そこらへんはあんま見せない)
そんな一男だが物語の始まりは財閥内の世襲制を快く思ってない反主流派・九曜会がメンバーの真田泰山の魔の手から逃される為にマダガスカルへ出向され……って前々から森園わかなみたいだと思ってたら森園正みたいな展開になったんだけど!?一男は荷物と一緒にマダガスカルに送ってあげるニャ天然ガス採掘事業として一応の部署はあるが採算の見込みない実質的な島送りに遭った一男だが、そこで彼が見た世界は……
王族の末裔メリナ氏は自国の現状を語る……先進国に資源を搾取される発展途上国の現実だ。ビジネスは武器を使わない戦争とかつて真田も言ってたが、このように領地拡大からの資源搾取はまさに戦争にて得られる恩恵となんら変わらない。富むものはさらに富み、貧しきものはずっと貧しく……。そしてその争いは十王院財閥内でも醜き社内政治として勃発する……他者に損失を擦り付け、無いなら不正をでっち上げ、女性秘書に股を開かせと世襲制に胡座かく者共を挫かんと手段選ばぬ謀略で元が土曜朝に放送してた女児向けアニメなのを忘れるレベルな描写がポンポン出てくる(いや元から女児向けアニメらしくないえぐい展開やってたけど)そんな夢も愛も金で捻じ曲げられる戦火を幼き頃から見続けた一男くんは一時期なんも信じられない状況だったが……
「そんな時にプリズムショーを見たんだ。俺はプリズムシステムを開発する部署の担当役員になった。たまたまプリズムショーのデータを分析したとき……」
「プリズムスタァ達の煌めき、ファンの達の心の動き、『愛』という項目に近いデータで通常では考えられない数値が出たんだ」
プリズムショーなるエンタメは観てくれた人を喜ばせたい為にスタァは全力で心を煌めかせる…それはまさしく児玉さんや祖父が言ってた他者に施す『愛』と呼ばれるものだった。その煌めきに魅入られ十王院一男は……否、十王院カケルはエーデルローズの門扉を叩いた。自分も彼ら彼女らのように翔びたいから翔という芸名を名乗ることにした(単に一男という名前がダサいからじゃなかったんだね)プリズムショー界隈でも相変わらず汚いカネの話ばかりで一度は幻滅しかけたもののシンちゅわんの輝きで煌めきを思い出したカケル、そんな彼がプリズムショーを……今の彼が与えうる限りの『愛』を魅せる!
(BGM「Orange Flamingo」)
「天然ガスが出たーッ!!」
(byメリナ)
(『愛』……少しは届けられたかな……?)
彼がプリズムショーで見せつけた『愛』、その煌めきはメリナが望む自国マダガスカルが夜でも光り輝く都市になること…経済的繁栄をもたらしうる天然ガス発掘という奇跡を起こした。「ビジネスは武器を使わない戦争」というのは確かに競争は発展を生むようにその一面は否定できない……しかし商売の根本は相互利益であり、一方的搾取ではなく相手が欲するものを満たしてこそ……つまりはプリズムショーのように他者への『愛』あってこそ成立するものなのだ。自分も商売やってる身としてこの理念は痛感するものがある(自己利益にしか目が入らずお客さんに愛想尽かされたら一瞬で終わるから)。オレンジのフラミンゴが舞うド派手な煌めきは一見するとトンチキさ強めだが、その実態はまさに愛の正拳突きといわんばかりのものだった。まさしく愛と共に翔ける……
・後半へ続く
まずは序章+3人の感想を書いてみたが、これ以上書くと冗長になって読むのが大変だろうから一旦ここで区切らせてもらいます。執筆だいぶ遅くなっちゃったけどちゃんと全員分書くのでなにとぞ……それでは後編へと参りましょう、
“彼”がそろそろ起きるだろうし……
The sun SHINE again…