『KING OF PRISM-Shiny Seven Stars-』感想③〜シュワロ編+あとがき〜
・なにこれ?きになる!もしかして……やっぱり!
全国8000万人のシュワルツのファンの皆さま方、お待たせしました。『KING OF PRISM-Shiny Seven Stars-』感想にてようやくシュワルツローズ側のターンに入りました。エデロ編を前半と後半に分け、その間に入るジョージの話を置いといて、ついにです。輝いてるのは7つ星だけじゃねぇ!Coolな夜空もみせたるジョイ!ということで……プリズムの煌めきを、あなたに。始まるよ……
・第9話「大和アレクサンダー THE CHARISMA OF STREET」
……ってまたジョージのは置いとくんかい!?いやだってこっち先に触れた方が都合いい部分あるんで……ということでバイプリ時代から登場している我らがアレクこと大和アレクサンダー。ストリート系を尊びチャラチャラしたアカデミー系が謳歌する現状のプリズムショーを憎み…特に同じストリート系の筈なのに女に媚び売って堕落しきった仁科カヅキを敵視し、彼や弟分タイガと死闘を繰り広げた男だ。「プリズムショーの破壊者」の名は伊達でなく、その暴力的なプリズムジャンプから本当にスタジアムを破壊した(キンプリ知らない友人にそのこと話したらホビアニあるあるな過剰演出だろと疑われた。マジで壊してるんだなコレが)というとんでもねぇ奴でもあったりする。
そんなアレクも今作にて過去の話が明かされる……自衛官だろう父と元プロレスラー現スナックのママの母の間に生まれたアレクサンダー君だったが、なんとそこに衝撃の事実があった……まず地肌は母由来のコーカソイド系で、あのいかにもなストリート系の褐色っぷりは日サロ通いの賜物だったし(逆に仁科カヅキや黒川冷の褐色肌一族がやけにストリート系に集結してるのも謎だが)さらには幼い頃は体が弱く、地元が横須賀の治安の悪さに為す術もなく怯えるだけの貧弱ボーイだったのだ!
そんなか弱き少年に絡んでくる悪党どもを薙ぎ払い助けてくれたのが……ストリートのカリスマと当時から呼ばれた黒川冷だったってワケだ。そして大黒埠頭の倉庫でのダンスバトル(物理)で相手を荒々しくも美しく吹き飛ばす冷にアレクサンダーは魅せられ……そんな素晴らしきストリート系を評価せず、氷室聖との対戦叶わずという形で結果的に冷を表舞台から去らせた当時のプリズムショー界隈への怒りも抱いた。だから彼は変わった……決して泣かない強さを持つ男になり、かつての冷のように「ストリートのカリスマ」に君臨せんと決めた……ストリート系を穢すチャラチャラした仁科カヅキみたいなのを叩きのめす為に憎き存在だろう法月仁の元に就こうとも。
「君のショー、すごくCOOLだったよ。でも一般人にはちょっと刺激が強すぎたかな?」
「まるで昔の俺を見てるようだった……きっと君は、全力でぶつかり合える誰かを必死に追い求めていたんだろうな」
……かつての黒川冷もモモさんと出会いプリズムショーに導かれたての頃は不良の延長とばかりの攻撃的な技ばかり用いてた。しかしそんな彼も氷室聖の(電飾ゴテゴテ特急が出てくる)プリズムジャンプに衝撃走り、彼をライバルと認め同じ壇上にて戦えるような「魅せるプリズムショー」へと変わっていった。そしてアレクも冷のように変わりつつある……チャラチャラしてると形容していた筈の仁科カヅキの己貫くプリズムショーを見て心煌めいてしまったから。その先にある気持ちを見抜いていた冷に背中を押され、ストリートのカリスマを目指す少年が見せるプリズムショーは……ストリート系の世界を新しく魅せるものだった。
「見ていてください…っ!」
アレクが出した答え、それはストリート系特有のダンスバトルをそのまま活かしつつエンターテイメントとして昇華させることだった。仁科カヅキや香賀美タイガといったアカデミー系をも合わさったのとはまた違う、あくまでも純粋なストリート系に拘る彼が進化させたプリズムショーの新たなる道筋である。あの頃助けた少年が今はこんな立派になったと気付く冷を背に受け、次はお前との勝負だとカヅキを指差し、彼はストリートのカリスマへと目指し続ける……
・第5話「Theシャッフル ジョージの唄」
ついに、ついについにおまたせしました。ようやく高田馬場ジョージです。長かった……本当に長かったわ…………ということでジョージの物語…の前に自分が今作を見る前に思ってた「そもそもジョージが所属してるTheシャッフルってなに?」という不粋じみた疑問があったのでここで整理しておきたい。
まずそもそもシュワルツローズにはYMT29と山手線の駅名を冠するイケメン集団が存在し、その中で一番人気があるのが「Theシャッフル」というメンバー…ハートを大量卸売センター・五反田ココロ、ちょっぴり妖艶な文學界のダイヤ・鶯谷モンド、蕎麦に三つ葉は欠かせない・神田ミツバ、剣先スルメはアメ横で大安売り・御徒町ツルギ(みんなふざけた二つ名だけど彼らも現実で一定のファンがいるくらい人気がある。正直ビフチキちゃん達くらいだと思ってた…)そして毎日行っても飽きないアニメ界の4番のエース・池袋エィスのトランプのスート+Aという構成でデビューする筈だったのだが……なんとそのリーダーであるエィスのポジションがデビュー寸前に法月総帥の采配によりジョーカー枠こと高田馬場ジョージが担当することになり、肝心のエィスは歌唱力に難あるジョージ(cv杉田智和)の代わりにゴーストシンガーとして歌わせるという、かつて神浜コウジを速水ヒロのゴーストライター送りにしようとした再来とも言える仕打ちを受けている(一応「きゅんきゅんキラキラBaby's」というユニットも兼任してるそうだが…全く触れられない程度にはパッとしない)そして葛藤があり続けたヒロと違いジョージは堂々と壇上で口パクしながら歌ったフリしてる……おかげでエィスは(なんなら他4人も)ジョージのことを普通に嫌ってるし、リーダーの座を取り戻すためにジョージを失脚させたがってるし、なんなら今できるせいいっぱいの嫌がらせとばかりに彼の楽屋の弁当を盗み食いしている始末である。
そして肝心のThシャッフルがリーダーの高田馬場ジョージだが……まさに杉田智和さんのふざけた演技が似合うたわけた野郎だ!法月総帥にいっつもゴマすりしてるわ女遊びもしょっちゅうで裏で総帥が何度も揉み消してるらしいわ一応高校生という設定でアイドルしてるが普通に成人らしく自動車免許も豪勢なマイカーも所持してるめちゃくちゃすぎる奴!そりゃキンプラでも普通に3連続ジャンプしてるしエィスの座を押しのける程の実力は備えてるだろうけど……それにしてもルヰほどじゃないが総帥の贔屓すさまじいし、なんならこんな体たらくの割に現実世界にも彼のファンはTwitter上で多数存在する。自分はこの5話を見るまで彼の人気っぷりを疑りかかってた節すらあるくらいだ。
そんな高田馬場ジョージの……いや、彼の本名である本川則之がプリズムスタァへの道へと進むキッカケはまさかのものだった。岡山県の小さな製糸工場を営む家で生まれた則之は小学生時代はふとっちょでダサく周囲からノリマキ呼ばわりされてた少年で……歳下ながらもしっかりしている幼馴染の津山ミヨちゃんにいつも面倒かけてたくらいだ。そんな彼がまだ知名度低かったプリズムショーを知り魅入られたスタァこそがキングに君臨した法月仁…完璧で正確な演技をこなし、汚ねぇ手を使ってでも(証拠が掴めなかっただけで当時から既に黒い噂は立ち込めてたんだな…)勝つという容赦なさに魅了されていた。鈍臭いからこそそういう狡猾なスマートさに憧れると考えると共感するっちゃするんだよな……
だからこそのり君は「勝つためならなんだってする」と仁が示したようにでーれー努力してダイエットやイメチェンし……両親を説得し上京し憧れの仁の元に就いた。その仁にどれだけ過酷なレッスンや鞭でしばかれる等の理不尽な仕打ちを受けようとも、なんとしてでも彼みたいに頂点に立ってやる。実力だっていくらでも磨き上げるしプライド捨てて媚び諂ってやる。どれだけ仕事が忙しくても平気な顔を維持してやる。誰かの立場を奪い取る非道を勧められたら喜んでやってやる。そうやってYMT29がトップアイドル・高田馬場ジョージは完成した……チャラチャラの化身みたいな顔と素振りの裏にはとてつもない研鑽と努力、己の手を汚そうとも成り上がらんとする覚悟が隠れていた。そして女がチヤホヤ寄ってくる中で彼の本心は一人の女性・ダサい頃を含めた自分を信じてくれたミヨに対して一途な想いを抱いてた……地元を捨て掴んだ栄光においても唯一つ離したくなかった故郷に残した恋心、だったのに……
裁縫上手な則之くんが刺繍を施し、あの頃ミヨちゃんに渡したハンカチ…タイトルの「ジョージの唄」は、往年の名曲『木綿のハンカチーフ』そのものであった。プリズムジャンプは心の飛躍…かつて涼野いとが想いを寄せていたコウジに裏切られたと勘違いした際に心が乱れプリズムジャンプが跳べなかったならば、今のジョージの心境ではとてもじゃないがトップアイドルの演技なぞ……
池袋エィス、彼はミヨちゃんの東京訪問の際にジョージに連れてかれ「靴裏のガム」と相変わらずぞんざいな扱いをされていた。なぜこんな良い娘を故郷にほったらかすカスのことを、せっかく東京に来たなら2人だけの時間の方がいいだろうに寄ってきたファンの娘たちの相手に夢中になってるスケコマシ野郎になんで怒りを覚えないのか……彼女はのり君がどれだけ頑張ってここまで来たかを知ってるし、その想いに応えるかのように彼は来てくれた。そんな大切に想ってくれる幼馴染を前になんてザマ晒してるんだと叱咤するエィス…あれだけ彼の失脚を望んでいた筈なのに。その言葉を受けシュワルツローズがトップスタァは、ファンが観客が待ち望む「完成されたアイドル」は己の傷を隠し笑顔で立ち上がるのだ。
「おい補欠!俺を誰だと思ってる!?」
「俺はTheシャッフルのリーダー、高田馬場ジョージだ!」
レインボーライブ含め今作において彼女ら彼らの人生がそのままプリズムショーに影響してきたことは多々あったし、だからこそ描いてきた物語に重なり合い多大なる感動を引き起こした……しかし逆に「己の人生を重ねない、高得点を取り勝つためだけのプリズムショー」だって存在する…それこそがこの高田馬場ジョージの、本川則之としての人生を一切見せぬまま最高の演技を舞うプリズムショーだった。大勢の観客は彼が舞台裏で何があったのかなど露知れず(特にキンドラにおいて我々もそれを擬似体験できたの画期的だった)彼はこれからも道化師として笑顔を装い続けるだろう………彼の物語は我々とエィス達、そしてミヨちゃんだけが知っていればいいのだ……正直今回の話で自分が一番心打たれたのがこのジョージの話だった。そりゃ人気キャラなのも納得だ……
・第10話「如月ルヰ プリズムの使者」
……とうとうここまで来てしまったか……今作の世界観設定に大きく関わる存在・プリズムの使者。その一人である如月ルヰ、そして……もう一人にて一条シンの中に潜んでいた「シャイン」と呼ばれる男。バイプリキンプラで謎が引っ張られていた存在だった彼らの正体が、ついに明かされたのだった………
まず前作プリティーリズムレインボーライブでも触れていたが今作における異世界プリズムワールドは人々から放たれたプリズムの煌めきによって維持されており、それをより輝かせる為に定期的に「プリズムの使者」というのが派遣されている……それらプリズムワールドの管理やプリズムの使者を生成する実質的統治者が、7枚の意思持ったモノリス状の存在G.o.dであったのが明かされた。
かつては「そなたプログラム」というプリズムの使者が活動していたそうだが(ここらへんはオーロラドリームの設定らしい)ここからさらなる発展をしてほしい為に新たなプリズムの使者が開発された……F型プログラム「りんね」と…M型プログラム「シャイン」という男女二種のプリズム使者を。これからは女子だけでなく男子のプリズムショーも発展させようという意気込みを感じる名案だとは思うし、実際そのシャインが「響ワタル」として顕現し山田リョウを結果的にキングへと導いた実績があるのもまた事実である。
なのだが……この響ワタルことシャイン、なんと使命をほっぽって自分自身がスタァとして表舞台に立ってバリバリに活躍してやがった!問い詰めたら「M型スタァはワガママで自分勝手でファンのことなんか一人も考えちゃいないから、そんな劣ってる奴らより僕が活躍した方がみんな満足するでしょ」と鏡見ろな理由を並べ立てる体たらく…このままじゃプリズムの煌めきが回収できずプリズムワールドが崩壊しちゃうとアイスバーG.o.dは互いに責任押し付けあいながらりんねちゃんにシャイン抹殺指令を下すのだった…
…彼女にも彼に対して“ある感情”を抱いてしまっていた……初めて味わう、禁忌なのに抗えない、耽美な味わいである“恋”を。
Case20080714 Rinne 1.96:“Meguru Kisaki” Forbidden love
酷い男、だけどほっとけない……DV彼氏に依存してる彼女みてぇだりんねは「囁きのルナミスティックヘブン」にて恋心を抱いてしまったシャインと共に心中するつもりだった。しかし彼女だけはver2.10として再起動されていたのだったのだが、その個体にも異変が…
Case20111114 Rinne 2.59:“Ameri Hosho” Love addiction
あのとき引き継いだ記憶に残る「共に逝く」と誓った約束を果たすかの如く、勝手にプログラムの自己消去を繰り返すようになってしまった!直ちにG.o.dは残された記憶が原因と考え、使命を終え世界を移動する度に最低限のメモリ以外を削除するようにしたver3.10へとアップデートしたのだった……これがレインボーライブから存在するプリズムの使者が記憶消去される真実、残酷ながらも元を辿ればシャインという蠱惑を愛してしまったせいでもあった………
case20140329 Rinne 3.17:“June Amou” Triangle of behind love
……りんねver3.10以降は様々な世界でプリズムの煌めきを洗練させていたのだが、またもその個体が重大な問題を発生させていた…出向いた世界でM型スタァを愛してしまうという、消去した筈のシャインが刻んだ“愛”の記憶を再び求めるかのようなエラーが。上記の台詞を言ったレインボーライブの天羽ジュネがまさにその一例であろう…(だから別個体だろうにキンプラでシャイン殺した記憶もセットで蘇ったんですね)(でも聖さんというシャインと真逆な誠実極まる人を愛したのは後付とはいえちょっと笑う)(あとよく見たら三角関係とあって仁もカウントされてた。良かったな仁!)
みなさんご存知の通りこのプリズムの使者の愛の暴走によって世界から煌めきは失われたしでまた手を打たねば、とは言ってもM型はシャインの一件もあり根本的に駄目となればまな板G.o.dは「F型(女性)だから男性と恋愛トラブル起こすなら、表層上つまり体だけM型(男性)に書き換えて顕現させればええやん」と相変わらずな突貫工事で新たな個体…男の姿で顕現したりんねちゃんことLouisプログラム1.01「如月ルヰ」が生まれたのだった。これならもうM型スタァにうつつを抜かさないから大丈夫!シャインへの未練も無くなるだろうしまた変なバグが発生しても困るからとりんね時代から培った記憶メモリも復元して、レインボーライブの舞台にもなった世界・通称エリア4989へと新たな天使は降り立った……
「いま、会いにいくよ。」
……G.o.d達は2つの大きな誤算を起こしていただろう。一つは「M型の体だからもう男性との色恋沙汰は起こさないでしょ」センシティブな話題だがこのルヰ君は現代的に言えばトランスジェンダーそのものであり、いくら体が男性だとしても心としては女性ならば男性を恋愛対象に見ることだって当然あり得る……とまぁ根本的な解決に全然なってないのだ。時代の価値観に合わせてないぜプレパラートどもめ。
そして二つめは「シャインを愛してた記憶を消去していなかった」もう死んだ男なんざ求めたって意味ないじゃんと考えてしまうが……手にかけたりんねちゃん自身は確信を得ていた。“彼”はまだこの世界にいる。また愛することができる、あの輝かしきプリズムショーをもう一度見れる、あの姿を、あの顔を……
一条シン。エリア4989にて出生したごく普通の男の子。その人間の中にシャインが潜んでいた。なぜシンちゅわんの中にいたのか…人間として転生したのか、それとも両親がプリティーシリーズのシステム的存在てある めがねぇ&めがにぃ っぽいし実はシステム同士の禁断の愛の子だったからとか真相は明かされていないが、とにかくこの世界にシャインはいたのだ(山田さんが響ワタルに会った時期とシン君が生まれた時期が明らかなズレがあるが、千年以上探してたとルヰが言ってるしプリズムワールドと各エリアの時間の流れ方はだいぶ違うのだろう)。そして一条くんが成長し中学三年生、プリズムショーとは無縁で過ごしていた彼をついに……
「見つけたよ…」
シュワルツローズに在籍しつつ(総帥がティンときたのもあり最優等生プリミア枠で寵愛されていた)探し続けた愛しの彼。後はプリズムの使者お得意技である偶然を装った運命的出会いでちょちょいと近付きプリズムショーの道へと進ませればいい……そうすれば才能の開花と共に彼が覚醒する。しかしその算段は案の定G.o.dどもに看過され、今度こそしっかり仕留めろと念を押され、やっぱり記憶所持してるとロクなことないとメモリを全消去し新しい使者を派遣すると容赦ない(けど至極真っ当な)采配を下され、またも同じようにシャインを殺す……宿主である一条シンのプリズムスタァの素質そのものも潰すという悲しい形で。
しかし彼は死んでなかった。羽を毟られてもなお飛ぶことを諦めていなかった。まだ輝きを魅せてくれた。その煌めきをもう消したくない……自分も使者としての役割を投げ棄て、如月ルヰとしてこの世界に居座ることにした。またもプリズムの使者は愛ゆえに道を踏み外した……愛する“彼”と一緒にいたいから。
“彼”と一緒にいる時間を待ち望み、
“彼”の一挙一動にときめき、
“彼”の前なら心から笑顔になれる。
“彼”のためなら……
始めは気が付かなかった…貴方の中には彼の面影ばかり追い求めていた。でも今はハッキリと分かる……
好きよ、シン。あなたのことが。私はあなたのことを永遠に護りたい。
シン……愛してる!
今の如月ルヰはもう、シャインではなく「一条シン」を愛していた。愛してる愛してる言いつつも一方的で結局は自分しか愛してない独り善がりな男よりも、みんなを心から喜ばせたい煌めかせたいと願うことができる優しい“彼”のことが好きになっていた……(これに対してシャインは「F型の気まぐれにもほとほと手を焼く」とのこと。以前から唆した女に結局は逃げられた経験たんまりあるんだろうな……)今回ルヰ君が歌うのは「I know Shangri-La」つまり今この状況こそがルヰの理想郷なのだ。愛するシンがプリズムショーをする限りシャインが覚醒する危険性は常に秘めている……だからこそルヰは彼と彼が愛するこの世界の煌めきを護りたいと誓う。きっと誰も知られない(それこそシンにすらも…)孤独の戦いになるだろうし彼が想いに振り向いてくれるとは限らない、それでも『愛』のために……
「ありがとう、りんね。きみのおかげで僕はこうしてこの世界に戻ってきたんだから」
ルヰの『愛』による心の飛躍は“彼”に…シャインに届き、彼を完全に目覚めさせてしまった。そしてシャインは再び刃向かう彼女に残酷な真実を告げる…自分を殺したら宿主の煌めきだけでなく、自分が覚醒してからの記憶も消える。すなわち君と出会った事から始まった想い出も、君が向ける『愛』も。その事実に動揺し禁忌の翼は砕かれ天使は地に落ち……ご存知の通り太陽が総てを呑み込んだ。プリズムの使者が抱いた『愛』がまたも世界を危機に追いやってしまったのだった……
ついに明かされしキンプリシリーズでのプリズムの使者の話、それはまた愛ゆえに狂い、それでも人として否定しきれない物語だった。如月ルヰの愛はどうなってしまうのか、そして完全覚醒したシャインの前に成すすべなく蹂躙されてしまうのだろうか……それはこの後に……
・あとがき
いかがだっただろうか?今回は各キャラの深堀りもあって三部に渡って書いてきた(遅くなって本当に申し訳ない…)そして今作において自分が真っ先に言わねばならない感想としては最終話「Shiny Seven Stars Forever!」におけるこのシーンを混じえて言いたい。
この『キングオブプリズム』シリーズは本来「レインボーライブのスピンオフとして一作だけで終わらせろ」と上層部からの通達があった。それでも監督の菱田正和親分は知ったことかとガン無視してひとつの上映時間の尺では決して扱いきれないだろう多数の新キャラを出して堂々と続編前提のラストにした。狂気じみた執念にも程があるし、当初は興行収入も芳しくなくこのまま消化不良も程がある幕切れを迎えるはず……だった。
煌めきを絶やしたくない。当時のファンの人たちはその想いを胸に、映画館に何度も足繁く通い収益に貢献しようとし、応援上映という新しい形の映画鑑賞を発展させ、そしてそのファンの……いわばプリズムエリートの方々の功績がSNSで、さらにはTVのニュースになるほど話題になり、その努力が『PRIDE the HERO』という続編として実ったのだ。このキンプリシリーズそのものが映画館、否…会場へと通い詰めた熱心なファンの方々ありきで存在すると言っても過言ではない。
そしてようやくこの3作目SSSにてついに大勢の新キャラ達の物語が描くことができた。まさにこの7人の公演中の出来事のように……シャインの暴力じみた一方的な愛で煌めきを奪われた人たちの心に再びペンライトなる灯火を点け、上層部のお偉いさんG.o.dによって強制的に終了されようとも、みんなと交わした輝ける未来を一緒に歩こうという誓いを信じ、観客それぞれの心の飛躍で世界に煌めきを取り戻し、その声に新たなる女神の誕生という伝説で答えた。まさに当時を支えてきたファン達への最大級の感謝……無事に完結してから一気に見た自分としては当時の苦しみ不安など知らずでそれについて言うのは正直おこがましいと思う。けれど皆さんにはこの場で感謝の気持ちを伝えたい。あなた達のおかげで最高の物語を見ることができました。本当に……ありがとうございました!
そして今作にはまだシリーズそのものの完結は迎えない……むしろユニット結成したセプテントリオンとしての物語はここから始まったばかりだし、なによりジュネが呟いた「もし7人の絆が壊れるようなことがあれば、再び悪魔が復活するように…」との言葉がある……
Sh/nə X Install started.,.
次の話は何が待ち受けるのだろうか、そもそも次は生まれうるのだろうか……この放送からベストテンなる総集編を挟むも数年間は続編の音沙汰なしだった今シリーズ、しかしプリティーリズム・レインボーライブ10周年に合わせ前作RLの無料配信から始まり、そして2024年にシリーズ再始動なる吉報が生まれ、その第一陣として『Dramatic PRISM.1』通称キンドラが上映された。単純に応援上映がどういうものかという興味はもちろんのこと今度こそ自分も未来への一歩に貢献したいという気持ちでキンドラを見てきたのだ。
そして……
未来は確かに繋がった!自分も少しばかしはそれに貢献できたであろうか?そんなことはどうでもいい、とにかく今は喜ぼう。次の物語は果たしてどんなのになるだろうか、SSSとキンドラのエンドロールにて次回予告じみて様々なというか本当にこれやるんか?な嘘くさい未来もちょいちょいあったけど、自分としては特に印象に残ったワード…「最期のプリズムの使者」とは何者なのか非常に気になってしまう。彼らの物語の果てが、そろそろ近いかもしれない……
それでは今回はここまでにさせていただきます!最後にちょいとばかしのオマケを添えて………The Sun Will Shine Forever!
・おまけ〜法月仁の明日はどっちだ〜
流石にまた一方的に俺の好きな漫画を勧めたりしません。ごめん実は『忍者と極道』とか考えてた。やっぱり今作でど〜しても法月仁のこと話したいなと思ったんですよ。シュワロについてのやつだし機会としてちょうどいいし。ということで始めさせていただきやす…
そもそも今回の決戦場であるPRISM.1は法月仁が主催したものであり、事の発端は憎きエーデルローズ旧校舎(シン達が住んでる寮)を潰す為に四谷周辺を地上げし再開発する計画&忌々しき聖がお世話になってる四谷信金に1000億の負債を抱えさせ賞金1000億の大会開催と実質的な人質作戦で誘き寄せたものと相変わらず起承転結の起担当は任せろな傍若無人ぶり。相も変わらず真田と悪いことしてる(でもキンドラのせいであのCMソング経由から真田と知り合ったのかなとか考えるとちょっと微笑ましくもなる)
しかしここでふと気付くものがある。前回のプリズムキングカップでは130億の負債で『PRIDE』差し押さえ&かつて賄賂渡したのがバレて追放された筈の保守的な審査員を再起用と明確に勝敗要因に干渉していた仁だが、今回はエデロのスタァ達に支障が出る妨害は無し&採点は完全に観客依存という……まさかの試合内容自体はフェアプレーで挑んできている。自分はこれについてふと気付いてしまった……「もしかして速水ヒロのプリズムショーを浴びて変わり始めてきたのでは?」と。かつては友を売る悪事に手を染めたのを正直に告白し、それを乗り越え王として君臨したヒロの清廉潔白なるPRIDEを受けて。仁もその煌めきに感化され、あくまで勝負はシュワルツローズの実力として正々堂々に決着つけるべきと思うようになったのではないか?(あとカヅキのショーの影響もあってか見下してばかりだったストリート系への理解も少しずつ覗かせたりしている)
そしてもう一つ変わった所が……彼からも他者に対する『愛』が見られるようになってきた。具体的にはルヰに対して。元々は在りし日の仁…煌めきを信じれた頃の自分自身を投影して惚れ込んだのもあったが、ジュネの喪失も合わさりさらに依存してる節がちょいちょい見られるようになったし、さらには本気で心配したりと以前の彼ではとてもじゃないが想像つかん行動をするように……
「あの男に……“法月”に似たのね。」
今回は前回以上に彼の家族の掘り下げが行われる……そもそも今回の四谷再開発はかねてより計画されていたのが地元商店街の反対運動で頓挫していたのを復活させたものだが、当時その住民を裏で支えてたのが今や亡き法月皇…彼の父にして息子を歪ませた要因が一人である。本当にコイツ正妻とその間に生まれた息子以外には偽善抜きで幸せにしたいと願う素晴らしき人格者だったんだなと嫌でも伝わり胃がキリキリしてくる。ヴァルキリープロファイルのベリナスそのものだ。
そして彼の母…法月愛も今回にて初登場する。政界に繋がりを持つ有栖之園家の出自で「格」のみを評価する冷徹なる御方で、政略結婚で結ばれた夫はもちろんのこと……自ら腹を痛めて産んだ我が子・仁にすらも全く視線を向けない程に愛情を抱いてなかった。彼女もまた息子をあんなまでに歪ませた要因その2であろう…そんな母がついに息子を見て呟いた言葉がその他者を思い遣る優しさは親父譲りだからななる事実という釘刺しだった。RLみたいにスタァの家族や身近な人達にフューチャーされ結果的にはみんな笑顔で終わる今作だったが、中にはこの法月家みたいに変えることができない家族関係だって当然いるのだ……
明らかにこれまでの冷徹一筋だった頃から変わりつつある仁。彼はかつて今シリーズのテーマである「他者との繋がりによる救済」「本当の愛」に苦しめられここまで歪みきってしまった存在だったが、同時にそれらによって真っ直ぐ前へと向けそうになっているのはなんかしらの因果だろうか?ジョージこと則之くんのように彼の黒に染まったからこその一面に惹かれたと否定しきれぬ所も判明した(そして彼がどんな苦境に遭っても笑顔崩さぬハングリー精神を評価している仁も事実である)が、はたして次の物語で彼は……いや腹違いの弟である聖との物語はどんなのが描かれるのだろうか………
ということで今回はここで本当におしまい!また会いましょう!