『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』感想②(エデロ編後半)
・見つけてくれたね、叶えてくれたね、7つの夜明け愛にも似た……
今回はこの感想からの続き、エーデルローズ生の後半になっております。いったい彼らはどのような輝きを見せてくれるのか……
・6話「鷹梁ミナト 心は大っきな太平洋」
5話は別の所で話すとして…ということでまずは水色担当の鷹梁ミナトといこう。メンバー内で一番の大柄でみんなのお兄ちゃんといわんばかりに基本的に優しく(そして時に厳しく)そして彼を語るに欠かさないのは料理の腕前。バイプリキンプリそしてシュワロ以外の各回で振る舞われるハイクラスな一品!もはやプロに並び立つ程のそれだ!
そんなミナト先輩だが…自分の中でふと気になるものがあった。腕相撲しないじゃん彼に対するイメージがプリズムスタァより料理の方ばかりであることを。そもそも彼みたいな人間がなぜプリズムショーをしてるのかすら謎な程に……という疑問を実は抱き続けていたのだが今回にてついに明かされる。それは彼の地元・静岡にてオバレの出張ライブを妹・翼が見たいとのことで家族総出で見に行ったことから始まり……
「もう……食べられません……///」
神浜コウジが繰り出した静岡名産料理とプリズムジャンプの合わせ技が彼の煌めきの始まりだった。これが!?いやRL時代から男子のプリズムジャンプってたまにカブトボーグみたいな技になるよなと思ってたけど……これはもう完全に龍昇ケンのチャイナクックマーベラスの系統じゃん!いやでもあんちゃんのスイーツ絡みのプリズムジャンプがあるんだし、なんならまんま食べ物テーマにしてそうなプリズムショーしてる娘がいる世界だし料理上手なコウジのこれも一般的な技なんだろう……
「どうして……どうしてこんなに美味しい料理が作れるんですか?美味しすぎるんです……なんていうか…僕の心を、胃袋を鷲掴みにするんです…どうして……」
「それは今まで君が、とてもとても心の籠もった料理を食べてきたからだね。そして君もきっと、そんな料理を作ってる。君はきっと素晴らしいプリズムスタァになれるよ」
料理もプリズムショーも受け取る相手が喜んでほしいと愛を込めるのは一緒、そう思えばミナトがプリズムスタァの道へ進んだのも納得いくだろう。しかし彼は悩んでいた……自分は他のみんなに比べてそこまでスタァの才能に秀でてないことに。これについては正直他のみんなと比べてちょい特殊な魅入られ方で入門したからというのありそうだし、特に前回キンプラでヒロさんが泣くほど感動して食べていたのはコウジさんのカレーだったくらいだし(なんかプリズムショーと料理の腕前の話がすり替わってるような気がするが、彼からすれば地続きなのだ)そのため母のぎっくり腰を機にやはり自分は地元に帰るべきなのかと、大家族である鷹梁家の港にならなくてはならないのかと思っていたのだが……
父・洋(ヒロシ)は迷う息子に今のままでも輝いていると告げる。そしてみんなが彼のことを待っている……旅路から帰り、おいしい料理で心をも満たし、安らぎの場になる“港”の光…水平線から覗かせる朝日のような優しき光を。その光を求めてる人のために、鷹梁ミナトは再び飛ぶ……地上の星として。
(BGM『Sailing』)
「僕はみんなを受け入れ送り出す、大きな“港”でありたい!」
「お腹が空いたら、僕の所へ戻っておいで。心の荷物をいっぱい積んで、また世界に飛び出そう!」
鷹梁ミナト、彼が煌めきに魅入られた経緯は他のプリズムスタァよりちょっと特殊かもしれないし、そんな彼から放たれる輝きもまた他のとは一味違うものであろう。しかしその地に咲く光は彼だからこそ放てるもの……優しき彼を象徴するかのような暖かな光だった。きっと君も誰かの心打った立派なプリズムスタァに既になっているだろう……(ところで血の繋がってない妹が兄のこと「男性」として見てるのはどうなるんだろ…)
・7話「西園寺レオ 心の花を咲かせましょう♡」
続いてはピンク担当の西園寺レオくん。彼……いや彼でいいんだよな?そう見紛う程に彼は女の子みたいな容貌であり、性格や仕草もかなり女の子だし、当然のようにかわいいもの好きな、かわいいかわいい男の子。男のみのメンバー内でこういう裏技じみた形でこういう子を出してきおった。彼だけ女児アニ文脈から現れた的な(元が女児向けアニメだろ!)(余談だが声を担当した永塚拓馬氏をこれで初めて知ったので別キャラで普通に男性ボイスしてるので心底ビビった。ここからこれを!?)
そんなレオくんは北海道が札幌でファンシーなデザイナー同士の両親から生まれ(家がまことちゃんハウスみたいで笑った。一時期景観問題になったまことちゃんハウスの実物ひさびさに見たらこっちの方がもっとすごかった。北海道の広大な大地だから許されるやつだ)………かわいいものに囲まれ、双子の姉と仲良く遊び、物心つくまで自分が男と意識しない程に、獅子のように勇ましい心を持ってほしいと名付けられた「レオ」なる雄々しい名前からそぐわぬような生き方だった……
………しかし、そんな女の子みたいな彼に待っていたものは……
小学5年生となると男女共に異性という意識が強く芽生え、男女別々に遊ぶようになってくる年頃……そんな彼ら彼女らは自分たちの中に「女みたいな男」という異物がいたことに気付き、理解不能の気持ち悪い存在として虐げた……童心から発する悪辣な仕打ちにレオ少年は苦しみ、姉たちは自分たちのせいで女の子みたいになったと負い目を抱いてしまった。大好きなお姉さま達を悲しませまいと男らしくせねばと振る舞うも無理が祟り……ついには不登校になってしまった。
男なのに。女みたい。彼にとってはそれが普通だったのに。そのせいで周囲からいじめられ、自分そのものを圧し殺し続けねばならぬまで追い込まれた状況は想像を絶する苦しみだったであろう……そんなうつむく彼にも“救い”が、前を向いて見つめたくなるような煌めきがあった。それは………彼女のプリズムショーだった。
彼に煌めきを与えたのは………小鳥遊おとはだった。レインボーライブを見た人ならご存知だろうがこの小鳥遊おとは、当初は臆病で思ったことを言えず親友相手にすら萎縮し続けていた程だった……そんな彼女だが抱き続けていた本心は確かに存在し、様々な人のおかげでその強い想いをちゃんと伝えられるようになり、その大切な人々を助けるために強き心を持って支えることができた。そんな自分自身を正直に貫くようになれた彼女の心の煌めきが、自分自身を抑え込まねばならぬと悩み苦しんでいた彼の心に光を差してくれた。まさかそう繋げるとは……レオくんが彼女と関係あるというのは聞いていたがここまでとは………小鳥遊おとは……涼野いとだけでなく己の知らぬ所で一人の少年を救っていたんだな………すげぇや……(感涙)
この一件もあり彼は姉と共に上京しエーデルローズに入学した。寮のみんなは女の子みたいにかわいい自分を受け入れてくれ、特に女形もやってるユキ様はよく理解してくれた。そのおかげで自分らしさを取り戻せるようになった(なんなら現在は学園内でファンクラブ設立してるくらいだ)………そして今、大好きなお姉さま達が現実の辛さにぶつかり「なりたい自分」という夢を諦めそうになっている。だからこそ、彼は伝える為に心を飛躍させる!
「本当の私を見てください!」
(BGM『Twinkle☆Twinkle』)
「プリズムチェーンジ!なりたい自分にプリズムジャンプ!」
「私はかわいいものが大好き。だから、いつもかわいらしくいたい!他人にどう思われたって構わない!私はもう自分に嘘はつきたくない!私は私らしく生きていきたい!」
「心の花を咲かせましょう♡あなた色の花を!みんなと違うことを恐れないで、小さくてもいい、綺麗な色じゃなくてもいい、わたし、あなたのことが大好き!」
プリズムショーは己の生き様の証明、西園寺レオは彼がこれまで生きてきた名・家族・そして己が大好きなものを貫いた。それは姉の心を動かしたようにテレビ越し(それこそ第四の壁を含む)に誰かの心を救ったかもしれない……かつて彼がそうだったように。ありがとう、西園寺レオ。そして……小鳥遊おとは、本当に神。
・8話「涼野ユウ アイアムゼウス☆彡」
そしてついにお待たせしました今回の紫担当にて前作レインボーライブのメインキャラが涼野いとの弟・涼野ユウこと―全知全能の神・ゼウス―……なんてこった、年相応の厨二病を患っておる。まぁ姉が✝クロス✝だったし、そもそも伝説的ロックバンド「Lucky Star」の涼野弦の息子だし患わない方がおかしいってもんよ(なんならその父が遠因らしい)そんな彼は今作において他キャラと違い唯一過去の掘り下げは無い……それについては前作を見れば一目瞭然というものだからだ。姉ちゃんやべるさん、そしてコウジやヒロといった素晴らしきスタァがそばにいたからこそ自分もそうなりたいとエーデルローズへと入学したということである。
ならば彼を通じて描かれた第8話とは?それは……過去のキャラと新しいキャラ双方を見ていた彼だからこそ結び紡げる物語だった。事の始まりはPRISM.1で使うエデロ生自分含めた7人分の曲全てを作曲してやるとユウが豪語したものであり……最初はナハナハと笑う程度に余裕の構えでいたが案の定スランプに陥り「いつもいつも歌考えるときはオレに丸投げしやがって!」と逆ギレする始末。このままではいかんと息抜きにメンバーで沖縄旅行へ洒落込むのだが彼の筆が進む訳ではなく……
7人の中で一番近くでレインボーライブの物語を見てきた彼だからこそ悩む…オバレの3人や姉ちゃん達6人(7人?)という自分の前を往く、星座を描く程に偉大な存在になったみんなは「同い年の仲間たち」がいた。けれど自分周りはみんな年齢もバラバラというか歳上で……その境遇に少なからず不安や寂しさを抱いてた。みんなと違って身近にデカい比較対象がいるし、そしてRLであったように一時期は家族と離れて暮らしてたからそういうのには敏感だろうし当時の姉のようについ強がってしまうものであろう。周りのみんなについカッとなって出てしまい、沖縄の草原で夜空を見上げながら独り歌う……しかしその時に彼の頭に映るのは……
「オレにも……仲間が……」
夜空には7人の星座も浮かんでいた。確かに年齢もバラバラなみんなだが、それでもみんなと過ごす日々はとても煌めいており、彼は独りなんかじゃなかった。自分を探してくれた仲間の前でわんわん泣き、そして彼らの曲という光を書き上げた……青、緑、オレンジ、水色、ピンク、そして………己の紫の光も。涼野結として見てきた全てを注ぎ込んだ曲が。
(BGM『Shiny Stellar』)
「プリズムラーイブッ!!」
「我が力……全てを解放する!」
我は人類に新たな希望を与える……高貴な薔薇の花園から、
悲しみの雨を乗り越え、
虹のシャングリラへ……
その先へ!無限の空を駆ける、新たなる星座を与えよう…!
その名もエーデルローズ・Shiny Seven Stars!
「万物創世!天地創造!アイアムゼウス!」
姉がみんなの「糸」を紡ぎCLOTHを作ったなら、オレは全知全能の神ΖΕΥΣとして煌めく星を線で「結」び星座という新たなる神話を創る!プリズムライブ…ベルローズにハッピーレインにOver the Rainbowのプリズムジャンプ…彼自身がその目で見てきた名だたる伝説をなぞりつつ、それらに並ぶかのようにエーデルローズのみんなの輝く七つ星から生まれた星座北斗七星をプリズムジャンプによって今ここに誕生させた……まさしく前作にも出演した涼野ユウだからこそのプリティーリズムレインボーライブの集大成であった。前作も見て本当に良かったよ……
・そして……
最後に輝くのは一条シン、彼が魅せる赤き星の煌めき………の筈だった。赤き凶星は禍々しい光を放ち始めた。
「僕なら、もっともっと煌めきを放つことができる!」
(BGM「プラトニックソード」)
ユウ「これ…オレが作った歌じゃねえぞ!?」
(これは言った)
……かつてプリズムの煌めきが失われてしまった時、彩瀬なるは「現世で生まれた衣装を着て」「現世で綴られし曲を歌い」「大切な人やファンの応援を受けて」世界の煌めきを取り戻した。しかしこの一条シンの見た目をしたナニカはレオ君がデザインした服やユウ君が作曲した歌を用いず、誰にも求められてない独り善がりなショーを魅せてきて……あろうことか観客のプリズムの煌めきを奪い取ってきた。かつて天羽ジュネが、人間を愛したプリズムの使者が現世に残りたいからと理由づけて舞っていたのを…彼は心から望んで舞っていた。自分だけが輝けばいい。みんなを愛したい、どれだけ君たちが傷つこうとも。そんな理由で世界の煌めきを失くそうとする罪を自ら進んで犯してきた。
「わかったかい?僕が一番、みんなを愛することができるのを!」
第11話
「一条シン S I N」
招かれざる払暁が、世界全てを朱に染める。
The Sunshine is rising…