【傷だらけのカルビ物語:2】カルビは詭道なり!
こんにちは。
肉汁マスター イケタカです。
魂を込めたカルビで、
「100人中120人を笑顔にするぞ!」
熱すぎる誓いを胸に
新規開店の日を迎えました。
しかし、フタを開けるや否や、
悲しすぎる残酷な幕開けとなりました。
用意された肉塊...
自分の目を疑いました。
「助けてください!一緒に店をやりましょう」
単身赴任させてまで
僕を呼び寄せた元同僚のRに、
してやられたのです...
僕「おいR、カルビの肉がないぞ!」
R「イケタカさんバカ言わないで下さい
目の前に山ほど積んであるでしょ(苦笑)」
目の前に山と積まれた肉は、
揉み込み用のタレ
お客さんが付けるタレ
幾通りも組み合わせ
研究・試食を重ねやっと決まった、
本来カルビを意味する
『バラ肉』
ではなかったのです!
僕「一体どういうこと?」
R「カルビはコレで行きます。」
僕「聞いてないよ!」
R「初めっから隠してました(笑)」
僕「...」
もうどうにも出来ません
開店直前です。
言葉を失いました。
R「大丈夫ですよ〜
こっちの肉の方が柔らかいから」
僕「分かってる!でもこの肉じゃ
うちのタレが、味が乗らない!」
R「いいんですって、タレなんか。
お客は柔らかきゃ文句言わないって笑」
目の前が、
真っ暗、いえ、
真っ赤になったのを覚えています。
次の瞬間、
身長197センチ体重98キロある
Rの顔面めがけ僕はありったけの力で、
拳を叩きつけていました。
元来お調子者のRです。
かつて一緒に修行した中なので、
よく知っているつもりでした。
「お客はね、肉は柔らかきゃ、
喜んでカネを払うんです」
さらに続けて、
【カルビは詭道なり!】
「知らぬが仏、敵はダマしてなんぼですよ!」
「知ってます?孫子の兵法です」
鼻血を出しながら
ニヒニヒと薄笑いするR。
体が震えるほどの怒りが、
ヒリヒリと僕の拳に伝わる刹那
後にも先にもこの一度だけ、
「許せない殺してやる」
この感覚が殺意なのだな...
忘れがたい記憶です。
もちろん、
殺人事件には発展しませんでしたが
焼肉の旨さは肉の部位、それのみにあらず。
焼けた肉とタレが渾然一体となり
初めて旨さが発揮されます。
「100人中120人を笑顔にするぞ!」
想い熱く、熱く、
研究を重ねに重ねて来たのです。
特別に調合させた
渾身のタレで、
[魂のカルビ]
準備万端スタート!!
を迎えるはずでした。
Rの欺瞞は、
大切なお客さまへの
裏切り行為に他なりません。
悪びれる様子もなく
さらにRは言い放ちます。
「この肉、心配しなくて大丈夫です。
カネの支払いも済ませましたし」
まさか?!
殺意に震える僕の頭は、
急激に冷静を取り戻し始めていたのです。
つづく
厚切りと魂のカルビには
人生を極上にするパワーがある!
肉汁MAX!!!(謎)