㉘雨なのは体育主任が悪い 〜天気すら自分のせいにした3年目の秋。朝5時の涙の話〜
中堅小学校教員です。
3年目〜6年目まで体育主任をしました。
皆さん、運動会練習やら運動会本番が雨予報なら体育主任をいじっていませんか?
「体育主任が雨男(女)だから〜もう〜」
なんて。
知っていましたか?
天気は一人の人間で操れるものではありませんし、そんなことで体育主任を攻めるなんて最低です! パワハラ…いや!雨ハラスメントです!
アメハラ反対!! 私は戦う!!!
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なんて、もちろん言いません。
相手によるでしょうが、どんどん雨男イジりしてあげましょう。
今日は、そんな話です。
雨男なのですよ、私は。
小学校、中学校、高校。
修学旅行と林間学校はすべて雨でした。すべて、です。
ちなみにバスケの引退試合はいつも雨でした。
高校くらいになると、
雨予報の日に負けるから、たぶん今日は勝つ。でも明日は負ける!なんて家族に言い放っていました。
私は、雨男なのです。
そんな僕が体育主任を任され、ガムシャラに頑張っていた3年目の話です。
○異動してきたガチ勢の先輩Yが、運動会が近づくと
何か知りませんが、毎朝運動場の整地をし始めました。「趣味やねん」とのこと。
僕は体育主任です。
負けるわけにはいきません。彼が7時半から始めるなら7時から。彼がトンボをするなら、僕はトンボ二刀流で行いました。
ガチ勢Yとの朝の整地バトルは連日続きました。
僕は負けません。体育主任ですから。
だから、オレが体育主任やねんって。
○体育主任前任の声の大きい緑色が好きなSパイセンは、全体練習で気合いを入れます。
すぐさま、『その通り!!』とそれ以上の声で僕は吠えます。
「行進、どうせするならキビキビいこうや!」
『その通り!!!』
「団長、ここはダッシュがかっこええで!」
『その通りぃ!!!』
「石拾い、大事やでー!」
『その、とぉおおおり!!!!』
もはや、僕は タケ◯トピアノです。
Sさん、オレが体育主任なんす。
毎週金曜日、いつもの居酒屋で逆説教をした数週でした。
○初任校でレジェンド的生指のNさんは、放課後毎日のように僕の肩を揉みます。
「プリングルッスくんは、よくやってるよ」
「でも、あの提案忘れてるよ〜」
「プリングルッスくん、今日のアレよかったよ〜」
「あの印刷終わった?」
褒めてもバレていますからね!!
そうです。僕が悪いのです。
しかし、負けません。
いつも刺激をくれて、気づかせてくれる方々です。
ちなみに、Yさんは、偉くなられて
毎年のように教育論文の添削をしてくれる心の先輩です。
何となく、また仕事いっしょにすると思います。大好きです。
運動会前日練習、できるのか…?
運動会前日練習。
この日は、最後に詰めをしたりリハーサルをしたり、大切な話をしたり、重要な日なのです。
しかし、前々日から雨が降り続きました。天気予報によると、雨は3時位に止むそうな。
もう絶望です。
異動してきたガチ勢Yは言います。
「体育主任、雨男やなー」
前任のSパイセンは言います。
「明日は、みんなでスポンジして3時間目から20分ずつでもやるか」
段取り始めてるな・・・!
レジェンドN大先生は言います。
「天気予報はみんな知ってる。体育館でしたらいいのよー」
本当は、外でしたかったはずなのに。
夜、一人暮らしのアパートで決めました。
天気が悪いのはオレのせい。絶対に前日練習、できるようにしてやる。
うちの学校は運動場が狭い。
オレならやれる。
朝5時に泣いた話
次の日、僕は朝3時過ぎに学校にいた。予報通り、雨は止んでいた。
決めたのだ。
スポンジで運動場の水を全て吸う、と。
やり始めて5分で気づきました。
「あ、これ、無理だ」と。
スポンジでグラウンドの水を吸い、バケツにいれる。たまったら、側溝に流す。
どんなに勤務校のグラウンドが狭くても、一人の人間でやれることなんて限られているのです。
「一人の人間でできることなんて限られている」
このことに気づけたことは、その後の財産になりました。
1時間半も続けていると、
意味ないし。体育館でやることに全振りで良かった。雨はオレのせいじゃねえし。
泥だらけになりながら愚痴ばっか出てきました。
4時半に、ガラガラと校門があきました。
ガチ勢Y先輩です。
「うわっ! おるし。今日も整地勝負かよ。」
お子さんが生まれたばかりの先輩、何してんねん。
そこから、これまでのように二人で整地勝負でした。彼がスポンジ2個なら僕は3個です。
4時45分に原付きのライトが光りました。
体育主任前任Sパイセンです。
「おると思ったわ!! 大人が青春すな!」
3人でスポンジをします。
Sパイセンは、家が遠方なので実質2時に来たのと同等だと言ってました。
笑いながら、ちょっと泣いてました。
5時にレジェンドNさんがきました。
「昨日体育館でしよう、言うたやーん。」
スマートなレジェンドが泥だらけになりながらスポンジを始めました。
涙が溢れました。
涙なのか、汗なのか、泥水なのか、分からないくらい
顔がデロデロになりながら感謝をずっと言いながら、4人でスポンジをしました。
4人ってすごいです。
だって作業は4倍だし、
前任Sパイセンの恋愛事情の話なんか茶化しながら楽しくできるのです。
異動してきたYさんは、ずっとすべらない話を求めてきます。
レジェンドNさんは、微笑んでます。
仲間はすごい。
運動場の目立つ水たまりは、7時半には全てなくなりました。
雨男は、雨に勝った。
7時半ごろから他の先生が8時前後から子どもたちも手伝いを始め、
校長が言いました。
『前日練習、1時間目から予定通りしよう。』
1時間目から低学年が最後のダンス練習を楽しそうにスタートしていました。泣けました。
運動会本番も成功。
各学年、最高の演技でした。
僕個人も、初6年生で組体操を無事に終えられて、安心しました。
雨男は、雨に勝ったのです。
今の時代、こんな感覚は古いです。
ブラック過ぎます。
今の僕はこんなことはできないし、後輩にもさせたくないです。
ただ、天気すら自分のせいにして、抗おうとした。
そんな若造を盛りたてた先輩方。
それらは、僕の財産になっています。
雨なのは、体育主任が悪い。
覚悟を持って言いましょう。
『君を支えるよ。成功できるように協力するよ。』
そんな思いを秘めながら。
大雨の後のグラウンドを見ると、よく思い出します。
読んでくださり、ありがとうございました。
よければスキやコメント、待ってます。
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