京都、食べたもの見たもの買ったもの
10月の頭に、3泊4日で京都に行ってきた。まだまだ暑かったけれど、日差しはもう秋のそれで、歩くとだんだんさわやかな汗が出てくるような気候。幸い最終日以外は天気に恵まれた。
1日目
お昼すぎに京都に着き、ホテルに荷物を預けてからすぐに「喫茶マドラグ」へ。私は関西風のたまごサンドーたまご焼きを挟んだものーが大好きなのだけど、その代表格の店たるマドラグは実は初めて。先についてすぐにこの店の名物「コロナサンド」を注文する。
レトロな「コロナサンドの楽しみ方」を見ながら待っていると…
想像の2倍以上のボリュームでたまごサンドが登場!洗面器みたいな大きさのプレートに、どどどーんと4つのたまごサンド。出汁がたっぷりぷわぷわ、ふつうに持つとたまごがパンの間からこぼれ出てくる。なるほどこれは案内が必要なわけだと思いながらいただく。
パンの片側にはケチャップ、片側にはデミグラスソースと味が飽きないように工夫されているためか、見事にぺろり。出てきた時は「どうしよう絶対に食べきれない…」と不安だったのだけれど。たまごが、「たまごの堆積みちみち」なタイプではなく、出汁が多めだったのも功を奏した。
ちなみに、喫茶マドラグのコロナサンドはもともと別のお店のメニューを引き継いだもの。そのいきさつの記事も読み応えがあって面白いのでぜひ(店主さんのお名前が、すごい!)
そのあと、とある器屋さんを目指して聖護院までずんずん歩く。が、まさかの臨時休業!そんなこともあるよねと方針転換して、岡崎の蔦屋書店へ。アイスコーヒーを買ってひと休みする。ここのテラスでのんびりするの、一度やってみたかったので大変うれしい。
ちなみにすでに喫茶マドラグから1時間ほど歩いている。東京駅ー上野駅間よりももっと長い距離をサクサク歩けてしまうから、京都は不思議だ。
夕方の優しい光にゆらぐ鴨川が美しくて、欄干で深呼吸する。
初日の夜ご飯はノープランだった。たまごサンドの影響か(いや、ぜったいそう)お腹が重くて、胃の調子をととのえるものを。
ささいな笹さんが以前教えてくれた韓国料理屋の「ハハハ」さんへ。里芋とえごまのスープが血流を良くしてくれるとのことで注文。とろみと優しいコクがあって美味しい!お腹の底から、じんわりあたたまる。つけあわせの水キムチも箸休めにちょうどいい。
大垣書店に寄って本を物色し、ホテルに戻って就寝。
2日目
6時ごろに自然と目が覚めて、京都で必ず行く場所・六角堂とその横のスタバへ。
お参りをして、スタバで昨日買った本(原田ひ香「三千円の使い方」)を読んだり、今後のことなどをノートで整理した。ここは私のパワースポット的な場所で、来ると頭がすっきり・気持ちがしゃっきりするカンジがする。
そのあと、朝ごはんを食べに「To.」へ。夜ごはんは予約がとれなかったのだが、モーニングもやっているとのことで運良く入れた。
同い年くらいのシェフがワンオペで、見事な手際と段取りで仕上げていくブリオッシュ。ブリオッシュ自体も手作り。
私はいちじくと生ハムをキャラメリゼしたブリオッシュを頼んだけれど、隣のひとのお肉メインのブリオッシュではまた違う生ハムを使っていた。生ハムを使い分け?!うぅ、1種類しか食べられないのが悔しい。とろっとしたいちじく、キャラメルの香ばしさ、生ハムの塩味、ブリオッシュのサクサクした甘さ……最高のあまじょっぱモーニングだった。
幸せなお腹を抱えて、ささいな笹さんと北大路にて合流。ずっとやってみたかった「WIFE & HUSBAND」のピクニックを。
もうね、
生きているって
最高だなと思ったわけですよ
あったかいコーヒーを飲みながら、鴨川を見ながら、ちょうどいい秋風にふかれながら、お気に入りのぬいぐるみを愛でながらいろんな話をするって、もうそれだけで「生きているっていいなあ、よかったなあ」と思うわけ。こういう瞬間があるから、これからも生きていこうね。
ピクニックセットを返却してから、長らく気になっていたたこ焼き屋さん「こはく」へ。お出汁の味がじゅんわり、ふくふくになる味だ〜〜〜!
たこ焼きの前に、空腹&暑さで塩味を欲した体の本能の赴くまま頼んだお稲荷さんもとってもおいしかった……お稲荷さん、頼んで大正解だよ。
歩いてすぐのアカツキコーヒーさんでアイスコーヒーを飲みながら文フリ京都の作戦会議をしたり、けいぶん社をさささんに案内してもらったり(どうして京都に住んでいた時に行かなかったの、私……?!本だけではなく雑貨のセレクトも最高)
さささんが調べてくれていた珈琲焙煎所「旅の音」さんで休憩したり。朝から珈琲続きだったのでジンジャーエールにしたのだけど、とってもいいお店だったから次回はぜひコーヒーを飲みたい!
たこ焼きを食べたあたりから夜ご飯のお店に移動するまでの間ずっと、「シチューになんの具を入れる?」「おでんの具3つまでしか選べないとしたら何選ぶ?」みたいな話を色々な食べ物でしていたのが楽しかった。食いしん坊クラブ。
夜は四条の「バイタルサイン」へ。お野菜やフルーツたっぷり、スパイスの優しい味付けで、外食でたらふく食べても重たくない!でもしっかり食べ出がある!という、素晴らしいバランス感覚のお店だった。
一日お付き合いくださったさささんと分かれ、就寝。
3日目
今日はとあるお店を予約しているため、バスでむかう。お店近くの「月読珈琲舎 月と金星」さんにてアイスコーヒーをいただきながら、昨日「けいぶん社」で買った本を読んだ。青木由香さんの「台湾の日々」。マスターと台湾の話やお店の話をする。
ほかのお客様がストローの袋を星形に折って残していったようで、マスターがそれを「見てください、こんなにできるなんてすごいですねえ」と”見て見て”してきたのがとってもかわいらしかった。
喫茶店をあとにして、予約していた「kew」へ。平野紗季子さんが紹介していたカスタードクリームドーナツをどうしても食べたくて……数年ごしに実現。登場したドーナツは、もう赤ちゃんのような見た目。食べものにかわいいって言わない主義なのだけれど、これは、かわいい!
あふれるクリームと粉砂糖を口のまわりいっぱいにつけながら頬張った。最後までカスタードがたっぷり詰まっているのに、ドーナツにレモンが入っていて、油もきっといいものだから、爽やか・サクっと軽く揚がっていてくどくない。は~~天国のおやつってきっとkewのカスタードクリームドーナツみたいなものなんだろうな。
そのあとはホテル近くまで戻り、カフェで持参していた積ん読本を何冊か読む。夕方は大好きな中華料理の店・駱駝へ。17時半の開店と同時に入店して、人生で一番食べた麻婆豆腐に再会。こちらは先日書いたので割愛。
バスでホテル近くまで戻りがてら、四条烏丸の大垣書店本店へ。蔦屋書店みたいで面白いよと笹さんに教えていただいて寄ってみた。ディスプレイが面白くて、文庫本も充実していて、楽しい本屋さんだった。岡本太郎の「自分の中に毒を持て」を購入。近所の本屋では目についても買わなかったのに、不思議。(「やっぱり食べに行こう」は持参していた積読本)
こちらの2冊を携えて、ふたたび六角堂スタバへ。夜のライトアップされた六角堂も好きなんだよねえ。
ほの暗い店で本を読むうちに副交感神経が優位になってきて、ホテルに戻って就寝。
最終日
この日は雨。朝からかなり強く降っていたのだけれど、私には絶対に食べたいものがあった。
それは「切通し進々堂」の「ういきゅうトースト」!漫画「舞妓さんちのまかないさん」に幾度となく登場する、ウインナーと塩でもんだきゅうりをトーストで挟んだもの。
私は京都にいくときにかならず、行きたいお店を全てリストアップして、定休日などをしらべつつ優先度をつけて旅程に組み込んでいくのだけれど、切通し進々堂はその筆頭ー「絶対に行きたい」お店ーだった。なら初日にいきなさいよという感じだが、進々堂が月曜日定休・火曜日は笹さんと1日デート・水曜日は予約や定休日の関係でkewと駱駝を入れると、必然最終日のこの枠に収まった。
念願の「ういきゅうトースト」はもっとカジュアルでストリートな食べものを想像していたのだけれど、舞妓さんも食べられるようにか上品なサイズに切られ、しかもフォークとレースまで添えておいでになって、箱入り娘のよう。
ウインナーときゅうりの塩気がパンにばっちり合っておいしい。具材やパン自体の食べやすいサイズ、トーストの食感など、「350円」という値段から想像できない、計算しつくされ丁寧に作り上げられたういきゅうトーストは、正式名称「上ウィンナートースト」というのも納得だった。
店を出て好きな雑貨屋さんを見たりお散歩をして、
お昼は「ぎをん森幸」へ。私は京都に行くと1食は「京都中華」を食べる。にんにくなどを使っておらず、出汁で仕上げた京都中華はかなり独自の進化をとげている。春巻きの生地に卵が練りこまれていて関東のそれとは別の食べ物だし、酢豚は「お肉だけ」とか「お肉と具材あと1つ」くらいのシンプルさだったりする。
京都中華が食べたいとき、私はだいたいいつも「鳳飛」に行くのだけどいかんせん遠いのと営業時間が短く、今回ははじめて「森幸」へ。
お昼のお弁当を注文すると、二段のお重が。やきぶた、春巻き、えびの天ぷら、酢豚、かに玉…二段目のごはんのお重には、ごはんとちりめん山椒。たけのこたっぷりの春巻きも、甘辛いタレが絡んだ酢豚もとにかくおいしくて。あっという間に食べきってしまった。
京都中華好きの夢がつまった玉手箱のようなお弁当、なんと1,200円。プライスレスすぎやしませんか。
余談なのだけれど、私は予約せずに行ったら予約で満席だったようで、それでも「○時までに食べ終えていただけたら、予約までまだ少し時間のあるお席にお通ししますよ」」と言ってくださってありつけたのだ。繁盛店だから、無理をせず1人のお客を返したところで影響ないだろうに、とってもありがたかった。
それと、飛沫防止シートに壁とおそろいの孔雀の絵が描かれているのも素敵だった。コロナ流行前からあるものかは分からないが、京都のまちや人たちの清潔な美学のようなものが私はとても好きだったなあと思いだした。
▽以前書いた京都の好きなところ
雨がひどかったので、予定より2時間早く京都を出た。地元以外にも「帰りたい」と思える街や、「あれを食べるだけで元気が出る」と思える店があることが心の一つの支えになっている。ありがとう京都。また来るね。
買ったもの
・最終日に藤井大丸で買ったマリメッコのマグカップ
ひとつに絞れず、両方買った。クレジットカードを切るときに「買わない後悔より買う後悔」という言葉が浮かんだ。
・初日に「うつわmonotsuki」で買った高田谷将宏さんの7寸皿
大地に揺れる麦のような力強さに一目ぼれ。黒系のお皿が一枚もなかったのも後押しして。
目論見通り、中華には抜群にあうし、
食卓に並べると秋らしさもあり、きりっと締めてくれる感じがする。
・けいぶん社で買った「オリーブの器」
イヤリングなどのアクセサリー入れに使っている。
・本とノート
・青木由香「台湾の日々」
・岡本太郎「自分の中に毒を持て」
・原田ひ香「三千円の使い道」
・人生でしたいこと100を書くノート
余談
私は雨の京都でみられる、山から霧が立ちのぼる景色が好き。最終日に見られてよかった。地元も山に囲まれているけれど、山はもっと大きくてもっと険しくて遠いもので、山霧が見えないのだ。京都のなだからな稜線の山を立ちのぼる霧は艶があって好き。