「グルメ」ではなく「食いしん坊」と言われたい
私はとにかくゴハンが大好きだ。
料理も好きだし、外食も好きだ。
両親からは「幼い頃から食べ物への執着だけは人一倍だった」(3歳ごろ、いちご狩りでは最後まで通路に陣取り永遠にいちごを貪っていたという話は耳にタコができるほど聞いた)と称され、
食い意地を迸らせて大学は農学部に進学、食にかかわる会社に就職した。
奮発して美味しいレストランで舌鼓をうつのも、マックでダブルチーズバーガーとしなしなポテトにかぶりつくのも、昔ながらのパン屋さんの焼きそばパンを公園で食べるのも好きだ。
色々なものを食べてみたいから、カンボジアではカイコを食べ(かつて貴重なタンパク源だったという。豆のような味だった。)、タイではサソリを食べた(香ばしくて海老に似ていた)。
卒論は「鹿肉の流通」をテーマに書いたのだけど、ある時猟師さんから鹿の脳味噌をいただいた。下宿先の狭くて寒いキッチンで、鹿の脳味噌を茹でてポン酢で食べた(しゃっきりぽんとして美味しかった)。
料理も好きだ。自分の手で美味しいものが作れたら最高ではないか。でも、毎日のものだから凝ったものはあまり作らない。糖質ゼロ麺にツナとアボカドどキムチとカイワレをぶっかけたヤツが最近の主食だ。
まずいと思うものはほとんどない。大抵なんでもおいしい〜!と食べられる幸せハッピー野郎である。
そんな私であるが、忘れられないことがある。
数年ぶりに会う友人達と食事に行った日。幹事がお店を予約してくれて、私はいつも通りおいしい〜とむしゃむしゃ食べていたのだが。
幹事に「よかったよ〜、〇〇(私)グルメだから、お店選び緊張した」と言われた。
「そんな気を遣わせてしまっていたのか…!!ごめんな…!!」と居た堪れず申し訳ない気持ちになった。
美味しいものは手軽に毎日をハッピーにしてくれるので、気に入ったレシピやお店は積極的にSNSで発信していたのも、そう思わせてしまった一因だと思うのだが。
美味しいものの共有は続けたい。
でも、お店選びにプレッシャーを感じさせるような人にはなりたくない。
海原雄山よりも、寿司をチャーハンにして「うむ!うまいゾッ」とニコニコしているクッキングパパのような食いしん坊でありたい。
海原雄山チックなグルメと思われないためにはどう振る舞うべきか、ささやかな悩みである。