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欧明社に本を買いに行った
フランス語書籍専門店の欧明社が今月(2月)で閉店するのを知って、天気の良い午後に久しぶりに飯田橋まで行ってきた。
昔々、熱心にフランス語を勉強していた事があって、飯田橋の日仏学院に通っていた。3~4年くらい熱心に勉強したので、ひとりでパリに行って必要な会話や軽いおしゃべりくらいは出来るようになって、知らない単語を除けば簡単な文章も読めるようになっていたと記憶している。無理をして買ったフランス語の小説は、まだ手元に残っている。いつかスラスラ読めるようになりたいと思いながら、仕事で英語が必要になると、徐々にフランス語を忘れていってしまった。今は英語も同じ道を辿っている。。。言語は使わないと使えなくなっていくものだな、と実感する。
フランス語の勉強はしなくても、欧明社にはフランス語版のクオバディスの手帳をよく買いに行っていた。そんな長年知っている書店が閉店すると思うと少し寂しくなった。思い出に何か買いたくて、本店に足を運んだけれど、もう売れてしまったのか、リサとガスパールの絵本もプティ・二コラの本も見当たらない。私でも知っている作家の名前の本は分厚くて古典のようだ。
フランス語ばかりで一体何の本なのか分からないので、値段と装丁で何となく選んだ本を手に取って、パラパラと文字を少しだけ目で追って、多分小説だろうと思いレジに持っていった。これ小説ですよね?と聞いてみようと思った。読めないから何でも良かったんだけど。。。結局「この本はいくらになりますか?」と聞いていた。読めないのに買うなんて変かな?と無意識に思ったのかもしれない。レジの側に立っていた年配の男性が、「20パーセント引きになります。」と優しい口調で答えてくれたので、お会計をしながら少しだけ会話をした。日仏学院の店舗は昨年12月に閉店したらしい。
本を一冊手に小さいお店を出て、記念に外観の写真を撮った。
何枚か撮っていたら、なぜか目がうるうるしてきた。どうしたことか。。。
フランス語の勉強以外にも、親しい人達と良く食事に来た時の事などを、駅からの道すがら懐かしく思い出していたからだろうか。思いもよらず感傷的になっている自分に大いに戸惑った。早足で歩き出しながら、さっきのレジでの穏やかな会話の場面を何度か思い返したりした。
その日が終わる時、一体誰の本を買ったのかネットで調べてみた。
マリー・ダリュセックという女性作家の本だった。"White"というタイトルを選んだ。1996年に『めす豚ものがたり』で小説家デビューし、フランス文壇に衝撃を投げかけ、2013年には『待つ女』でメディシス賞を受賞したとWikipediaには書かれている。勘で選んだ割には良い選択だったように思う。いつか、きっといつか読もう。
平日にもかかわらず、小さなお店には次々と人が入って来ていました。
閉店まで、フランス語書籍が20パーセントオフで販売されるそうです。
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