久しぶりに
今日はいつ以来だろう、久しぶりに人混みのある街中に出掛けた。あぁ、コロナ前はこんな事、当たり前にしていたなぁ、なんて思いながら歩いていたけれど、何だか人の多さに疲れてしまった。
あんなに好きだった街並みが、景色が、それほど楽しいと思えなかった。
ちょっと入ってみようかな、と思えるお店があまりなく、自分にとって魅力的な店や物が減っていた。代わりにシャッターに変わっていた店もチラホラあり、明らかに雰囲気が変わっていた。
コロナ禍の影響がそこかしこにあり、確実に時間は流れていた。私の中の思い出と現実とのギャップがそこにはあった。
私だけが取り残されていたかのように感じた・・・
そんな中で私はずっと通っていたイタリアンのお店に入った。懐かしい料理を目の前にしたくてたまらなかったのかもしれない。どうにかして、過去の記憶と現実を一体化させたかったかのだろうか。
私の知ってるこの街並みは何も変わっていない、と無理矢理に思い込ませたかったのかもしれない。
いつものように、そのお店の前には入店待ちをしている人の列があり、『やっぱりね、懐かしいなぁ』とホッとした。
少なくとも、ここは何も変わっていない、そう思えた。
いつものコースを頼み、懐かしい料理が出て来る度に心が何だかほっこりとした。
料理の味と店の雰囲気と、何よりスタッフの間で行き交うイタリア語がとても居心地の良い空間を作り上げていて、私は今日、ここに来て良かったと、お腹も心も満たす事が出来た。
帰りの電車で、そそくさと席を確保し、疲れた身体をどっしりとそこに沈めた。
また行こうかな、今度はもう少し楽しめるかな
少しの期待を胸に、私は家路へと急いだ。
こうして、行けなかった所に行けるようになった、副反応も収まり、行こうと思えるような身体になった、色んな事に感謝しなきゃ、と思えた1日だった。