愛すべきお客様 3
毎週1~2回、焼酎のお湯割りを3杯飲まれ、好きな歌を数曲唄われる70代後半のお客様。いつもニコニコされていつもスマートに飲んで帰られていました。
スタッフにも優しく接してくださいました。
ご病気で奥様を亡くされたそうですが介護の為に仕事を早期退職されたと聞いていました。
若い頃は戦争に行かれたそうで指に傷痕が残っており、その頃の話もよくしてくださいました。
娘さんが離婚して戻られてからはお孫さんの父親代わりとして精神的にも経済的にも頑張っておられました。
いつも背筋が延び美しい姿勢、月に2度散髪に行かれ身なりもきちんとされていました。
愛車の軽トラはいつもピカピカで昼間お見かけした時、サングラで運転する姿は本当にカッコよく私が男性ならこんな歳の取り方をしたいと思っていました。
80歳を過ぎてご自宅で転ばれたのですが回復されて来られた姿は腰がかなり曲がった状態でした。ご自身は「こんな姿みっともない」と来店される回数がぐっと減ってしまいました。
それから暫くしてママから店を引き継がないかと話があり数ヶ月後新装オープンを迎えました。
ママはお祝いに来てくださいましたが「こんなめでたい日に言うのはなんだけど…○さん亡くなったよ」
ショックでした…。
涙が溢れましたがお客様は次々にやってきます。泣いてる暇はありません。何とか笑顔を作り来てくださった皆様に私なりに出来るおもてなしをしました。
できることなら成長してママになった姿を見て欲しかったな…。
大正生まれのモダンな生き方を見せていただいたことは私にとって宝物です。きっと天国で見守ってくださっていたと信じています°・*:.。.☆
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