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DDO(発達指向型組織)とITベンチャー

ほぼ読書感想文です。
読んだ本はこちら、
「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」
著:ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー

著者は、成人発達理論で有名なロバート・キーガン先生です。
この本では、組織の力を発揮するためには、メンバーが自己の弱さを認め、それを乗り越えることが重要としています。キーガンさんは、自己啓発という視点から、組織の強さについて説明しているので、組織を強くしたい人にとって参考になる本です。

とまぁAIによる説明はこれくらいにして、
ここで提唱されている「DDO(発達指向型組織)」とそんな組織をリアルに感じたお話をしようと思います。


発達指向型組織(DDO)とは?

まずこの発達指向型組織とは何なのか?
発達指向型組織(DDO Deliberately Developmental Organization)とは、組織全体の成長と発展を重視し、社員一人ひとりの能力開発やキャリアアップを積極的に支援する組織形態のことです。これまでのトップダウン型の組織とは異なり、社員の自主性創造性を尊重し、組織全体で学び・成長していくことを目指す組織です。
このVUCAの時代においてはリーダーでさえも正解がわからない中、社員一人ひとりが「成長」することで組織全体も成長する。そして、その社員の成長には、「自分の弱さ」を他者にちゃんと曝け出さないといけない。というものです。

自分の弱さを曝け出す必要

この、「自分の弱さ」を他の組織メンバーに曝け出して、理解してもらうことがなぜ必要なのでしょうか?
それは、自分で自分の弱さを認知しないとそれを克服することができない。そして、自分だけでは自分の弱さを認識しづらく、他者からの助言が必要であるため。
と、私は理解しました。

一方で、現代社会においては自分の弱さを曝け出すどころか、同じチーム内であってもいかに自分を良く見せるか?に力を尽くすことのほうが多いそうです。

「人は組織に入るともう一つの仕事をやる。自分の弱さを隠し、自分をよく見せようとしたり、人を攻撃したりする。」

「なぜ弱さを見せ合える組織が強いのか」より

多くの人はこの、お金にならない「もう一つの仕事」に多大な労力をかけているそうです。
そうなってしまわないように、大切なのは自分の弱さを自他ともに認めて、無駄なことに時間を使わずに、個人が成長するために自分の課題を乗り越えていくこと。そんな組織づくりをすることがこれからの時代を生き抜くには必要だということでした。

高収益と超成長文化の両立

本著でも指摘が記載されていましたが、
「個人の成長ばかり考えられるのは、ある程度余裕がある大企業だけでしょ。うちにはそんな余裕はありません!」
「企業の業績か、個人の成長か…。個人の成長なんてそんな甘いこと言ってられまへんがな。業績業績を追っていかないと、明日も生きられるかわかりまへん!」
という声が聞かれるようです。

ですが、本著では、この発達指向型組織においては「企業の業績か個人の成長か」でも、「どちらかを優先する」でもなく、両者を一体のものとして捉える。と言っているのです。

企業であるから当然、業績を求めつつ、組織としてそこにいる人々の成長も促進する。

ここでいう発達指向型組織っていうのはそういうことのようです。

そんな組織はあるのか?

この本では、事例としてアメリカの3つの企業が取り上げられています。

ブリッジウォーター:世界最大のヘッジファンド。長年驚異的な投資成績をあげ、リーマンショックを予期して危機を回避したことで話題になった。

デキュリオン:ハリウッドでトップクラスの人気を誇る映画館アークライト・シネマズグループを経営するほか、大手不動産開発などを手掛ける。

ネクスト・ジャンプ:Fortune1000企業の70%が利用する、従業員向けの割引特典つきECサイトを運営。また、自社の組織文化の構築ノウハウを伝える人材育成プログラムも行っている。

英治出版HPより(https://eijipress.co.jp/products/2220

「アメリカの会社じゃ、正直イメージつかないっす。
 しかも大企業ばかりじゃないか。こんな事例参考になるのかいな。」

と読んでいるときに感じていました。
業界では有名なのかもしれませんが、勉強不足の私は残念ながら3社とも存じ上げす。ロバート・キーガン先生のおっしゃることがどれほど信憑性があるのかわかりませんでした。

ただ、一方で、私自身「こういう組織って不可能じゃない。」とどこかで信じられる部分がありました。

余談ですが、現所属組織において、職員が自発的にやりたいことをやり、時には互いに励まし合い、時には学び合える場として、(当時)若手職員でグループを作ったことがありました。
そこで組織づくりの参考にしたのが「ティール組織」。
詳述は避けますが、このティール組織とキーガン先生のDDOは似て非なるものだなと薄々感じながら読んでいたのでした。

そんな中、偶然年末にとある有名ITベンチャー企業の社長が我が県にご講演にいらしており、お話を聞きに行ってきました。

その社長というのが、本記事のタイトル画像にもなっている笑
サイボウズ株式会社の青野慶久社長です。

前職から「一流企業のトップのお話は一流である」という持論を持っており、こうした機会があればなるべく聞きに行こうと考えておりました。
今回は組織コンサルを志す私が、独立後に組織開発など何か参考になることがあるかという期待を持って参加をしてまいりました。

実際にお話を伺ってみると、当社がまさにDDOじゃん!と驚嘆した次第です。来場者に質問の機会があったので、マジでこのことについて聞こうと思ったのですが、完全にひよりました🐣
具体的には、

  • 一時期、離職率28%にまでなったが「社員の希望をなるべく聞く」という施策により3年後には10%を切り現在は3%台に。

  • さまざまな施策を用意しつつも、実際に使う判断をするのは社員。自主性を大切にしている。

  • 自由度が高い分、社員が担う責任も大きい。

  • 会社の情報は全て開示。会議の議事録や録画もオープンにしているため情報格差がなく、一方で忖度や根回しもほぼ必要なくなる。

  • オープンだからこそ、何を言っても大丈夫という心理的安全性を担保した組織づくりをしている。

上げればキリがありませんが、DDO日本にあるじゃん!と思いました。

まとめ(まさにタイムリーでした)

今まさに読んでいた本の実例を、社長直々に話す機会に遭遇してお話が聞けるなんて、めちゃめちゃタイムリーで、非常にありがたかったです。

しかも後で調べたら、サイボウズさん=日本版DDOみたいな感じで色々と紹介されているではありませんか。
サイボウズさんのHPにこんな記事までありました。

2024年末に訪れた超タイムリーヒットに感謝しつつも、日本でもこうした組織づくりは可能なのだと非常に勇気をもらえました。

そして、青野社長が我々に最後に語ったメッセージ。
「まずは目の前の従業員さんの声を聞いてください」
非常にシンプルですけど、青野社長が離職率28%と危機せまる時に実行したのがコレだったそうです。

組織開発において、やはり重要なのは人!
働く社員が幸せじゃないと、会社だって関係者だって、家族だって社会だって幸せになれない!
私はそんな思いで、経営支援にあたっていきたいと考えています。

ご精読ありがとうございました!


本当は、2024年中に記事を上げたかったのですが、諸般の事情で2025年一発目の記事となりました!
本年も何卒よろしくお願いたします。


こうして世界はどんどん良くなる!

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