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歌三線、合奏が奏でる平和

三線を始めて合奏の楽しさを再発見した。
ある時、三線の師匠である山内先生から発表会に参加しませんかと声をかけていただいた。
先生が指導している別の三線教室のレッスン生の方達が8月末に行われる地元の神社の例大祭で三線を奉納する。
今年は2つの三線教室合同チームとして三線を奉納しましょうという先生の発案だった。
発表会なんて高校の合唱コンクール以来、くすぐったい単語だが、人前で三線を弾く機会が皆無だった私にとって新鮮なイベントに思えた。だから返事は即答だった。
演奏時間は20分、曲目はポップスから民謡まで短くまとめて演奏する。1人だけ足を引っ張る訳にはいかない。その年の夏は例大祭に向けて三線猛特訓の夏となった。
当日、参加ができないというレッスン生の女の子も合同練習には参加したいと手をあげ、合同練習には参加出来ないが、ぶっつけ本番で頑張りたいという同世代のレッスン生の男性がいたり、それぞれ皆一様に気合いが入っていた。

本番当日、控え室から片手に三線ケース、片手に譜面台を抱えてステージがある神社まで歩く私は浮き足立っていたに違いない。ステージ裏でのちんだみ(調弦)はすっかり舞い上がってしまい、先生に丸投げしてしまった。
しかし、演奏が始まると緊張はほぐれ、全員が一丸となり無事に三線を奉納するという同じ目的地に向かい思いを合わせ、歩幅を合わせて突き進んでいる。
夏が店じまいを始めたこの日に、空に向かって私たちの三線の音が平和にどこまででも届く気がした。

合奏が出来るという事は平和な証拠なのだ。

私は三線奉納が終わって数日後、先生に小学生のような発言をしてしまった。
「毎月やりたいです!!」
それくらい充実感があったと言いたかったのに、感情が先走った。
そして、さっそく銀座にある沖縄のアンテナショップのステージでの発表会の提案をいただいたのだが、未だ実現してはいない。
私はいつか三線を通して平和な証拠を音に変えて表現したい。

そう思う。

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