人が仕事している様子をのぞく時間
僕は医師の仕事の時間の何割かは、人の仕事を覗く時間にしています。
大きな企業ではほぼあり得ないですが、この仕事ならではのメリットです。
実体験を解説しましょう。
大きな会社では、新人研修のときでは、いろんな部署に行って、各部署の仕事の現場を見に行ったりする機会がありますが、本職に配属されると、他の部署が何やっているかなんて、飲み会で話さない限りよくわからないという感じだと思います。
僕はフリーターをしていた時、ホテルで仕事をしたことがありましたが、こんな感じでした。それ以来民間企業で勤めたことはありませんが。
医療現場だと、実は見学ができたりします。
僕は医者の仕事をしている時間(とはいえ数時間ですが)の何割かは、他の医師の仕事を見学する時間にしています。
医師の仕事は勉強が前提となっているので、勉強のための書籍代や勉強会の費用も自分でお金を払うことが多いです。(補助をしてくれるところもあります)民間企業だと、仕事のための勉強なのに補助が出ないとか、文句を言っている人がいますが、
数万円の本を買うなど当たり前です。
人によっては、数百万円する自分用の超音波検査機器を買っている人もいます。
この風潮により、勉強したい旨を伝えると、結構見学ができたりします。(もちろん見学先が定める規定を守ったり、迷惑をかけないというのは前提です)
もちろん仕事をしていると、そっちが終わらないのでなかなか厳しい時はあります。
僕は、仕事のない日にそういった他の医師の仕事を見学する時間を作っています。そのために、暇なスケジュールにしています。
他の医者の診察を見学する時もありますし、手術を見学する時もあります。
いずれもめちゃくちゃ勉強になりますし、見学先も、わざわざ自分たちの仕事を見て学びにこようとしてくれているとなって、概ね歓迎で、その後の関係も良くなります。
教えを乞いにいく感じですね。
学ぶことはたくさんありますが、一例を挙げると、研修医のとき(いろんな部署をローテーションして仕事をします、これに近い感じです)もそうでしたが、自分にとっての正解が、別の世界では正解ではないことに気づいたりします。
そのジレンマを理解して行動すると、連携がうまく行ったりします。
手術を見学した際の外科医は、僕によく手術で自分の経験や勘みたいな、普段文書でのやり取りでは決して分からないような、貴重な体験を教えてくれます。
「なるほど、ここで苦労しているんだな」とわかるので、その後の仕事に反映するととても仕事が面白いです。
確かに、一つの部署に人員を固定すれば効率的に仕事を回せるように見えますが、
さまざまな部署とケースバイケースで相互作用する仕事の場合、
相手のことを知っておくというのは、数字上の生産性では見えない何かが生じることをよく経験しています。