画像の生成AIのキモさと脳の働き②
生成AIの画像はかなりリアルですが、
よくみるとキモく感じる人もいると思います。
違和感を感じる現象から、人間の脳の働きについて幾つかの疑問が浮かびました。
シリーズで解説しています。専門の方のご意見をお待ちしています。
二つ目は、絵の細部が細かすぎる、です。
細部が細かい絵というものは、人間が描いたものでも多いです。
近世以前の絵には多いです。
例えば、洛中洛外図屏風では、
京都の街全体に細かく人物や人々の営み、建物、自然が描かれています。
美術を美術史から離れて、視覚の表現の歴史と捉えると、これはルネサンスのあたりで変わったらしいですが、
網膜絵画と呼ばれる技法の一つに近いです。
つまり、眼球運動による視線の変化が絵に入っていないのです。
画面の中央部と辺縁部、近景も遠景も同じ細密度をもって描かれています
一つの視点から描かれる対象全てを逐一注視した後に得られる全体の映像になります。
一方フランドルの画家によって始められた技法は、視線を固定した時の見え方を描いたものです。
レンブラントの絵が特徴的ですね。
中心部分は写真のように緻密なのに、辺縁はぼんやりしていますよね。
人間が描いた人物系のイラストは、主人公の中心部分は細かく描かれており、周辺はある程度シンプルになっているように思います。
素人目線ですがおそらく描いた方は、見る人のことを意識しているのでしょう。
見て欲しい像の周りをびっくりするほど緻密に描いてしまうと、そっちに注意が入ってしまいますよね。
例えば、次のような生成AIによる画像はどうでしょう。
中心部の言い合いをしている人をメインに据えたいのに、周りの人たちがあまりにも細かくないでしょうか。
しかもタッチが明らかにイラストなのです。写真なら当然こういうふうに映ることもあるでしょう。
何が言いたいかというと、フォーカスを絞った絵なのに、周りが異様に細かいと、違和感を感じるのではないか、
つまり、人間がどう見えているかがデザインに入っていないために起こるのではないかなと思います。
逆にいうと、視覚の辺縁がぼんやりしていて、中心が細かいという視覚や視覚対象の特性を踏まえていないと、絵って違和感を覚えてしまいます。
(もちろん、現代でも洛中洛外図屏風のように細部に緻密に描かれているのをこだわりとしている絵画もあります。そういう作品は、鑑賞者の眼球の位置を固定していると全体を捉えられないのを前提で、視線をいろいろ動かすことによって楽しめるようになっています)
だからAIの生成画像は、人間には作れないという点で、かなり特殊だと思います。
人間の見え方を念頭に置かない奇怪な絵によって、人は目でどのように見えているのか、改めて浮き彫りになってくるのではないでしょうか。