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母が熱のある子にあてる額は高性能センサー

人間の温度に対する感覚は非常に鋭敏ですが、
環境の危険度からすると過剰とも思えます。
本当は家族や仲間を助けるためにあったのかもと妄想しています。

人間の体温は35ー37度くらいに正確に調整されており、維持されています。

皮膚の温度センサーは、神経の端っこ(自由神経終末)で検知されていて、
実際に測ると、額は1.6度くらい、手背だと1.8度くらいの温度差がわかるらしく、
24~30℃の間では0.5~1℃の区別が可能らしいです。
人は気温の違いを0.9度まで正確に識別でき、体表全体の温度変化ならば0.01℃の差を識別できるとのことです。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhesp/43/0/43_59/_pdf

https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=体性感覚&mobileaction=toggle_view_desktop#温度感覚器

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG128KB0S4A710C2000000/

でも実際には、38度の体温を触った時、「熱い」と感じると思います。
逆に、35度と36度の差はそんなに感じませんよね。

この「熱い」感覚は錯覚だそうです。

確かに、プールの温度が、11度であろうが12度であろうがあんまり変わらないですよね。物理学的には誤差みたいなものです。

なのに、発熱(異常)とされる温度になると、途端にその高さが強く知覚されるという訳です。

先ほど上げた研究からも、額は温度が細かく検知でき、
よく、熱が出て体調が悪い子供のおでこに、自分のおでこを当てるのは理にかなっている訳ですね。

また、医者で、体調不良の患者を見たら、手を触って冷たいかどうかをチェックするようにという救急手順を教わります。(末梢冷感と言います)手が冷たいと、血液がまともに循環していないサインとされていますが、

我々の温度を検知する能力の高さを考えると、いちいち温度計を用意して測るより、手軽で正確なのかもしれません。(体調不良で倒れている人を見たら、「温度計で測ろう」というマニュアルは見たことがありませんね)

ところで先ほど述べましたが、我々が発熱を熱いと感じる時の温度差は誤差みたいなもので、よく考えると、環境の変化も数℃上がったくらいでは直ちに自分が危険になることはありません。

火傷をするくらいの温度なら、もっと急激に上がるでしょうし(その時のためにすぐに手を引っ込める反射回路が神経には備わっている)、この微妙な違いを識別する能力は何のために向上してきたのでしょうか。

もちろん、水を泳いでいて、ちょっとずつ温度が高まると、海底火山の噴火の可能性があるかもしれませんが、そこまで頻度のある出来事ではないですよね。

明らかに正常体温から発熱の間に鋭敏になっているのも、家族や仲間の異常を早く察知するメリットがあったのではないのかなと思ってしまいます。

我々の体の一部は、実は他者を助けるため、他者と生きるのが前提となっている可能性はないでしょうか。

調子の悪くなった人を直ちに介抱して、共同体を維持するというのが、生存戦略で有利に働いたシナリオは進化の文脈では逸脱しているのでしょうか。

実は他者の異常を検知するためと思われる器官は他にもあります。また折に触れて紹介しましょう。