医療情報の誤った報道に後々ペナルティを
インフルエンザにかかると、10代の子供に、勝手に飛び出してしまったり、歩き出してしまうなどといった異常行動が見られることがわかっています。
一時期、死亡例があったことから、インフルエンザ薬タミフルの副作用として報道されましたが、実はタミフルを飲んだ人と飲まなかった人との間では発症率はあまり変わらず、
薬剤使用状況と臨床症状との関連性について検討したところ、タミフルと異常言動との関連性はタミフルを未使用での発現頻度は10.6%であったのに対し、タミフル使用では 11.9%と有意差を認めなかった。
インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/dl/tp1020-2.pdf
少なくともタミフルを飲まなくてもなるわけです。
僕が研修医で小児の診療をしている頃には、
10歳以上の未成年の方には原則として使用を差し控えることという文言があり、処方しませんでした。(今では上記の調査などを根拠に因果関係はわからないとして、撤廃されています。)
10歳以上の未成年に使用を控えるとしてしまうと、薬の影響があるかもしれないということになり、タミフルを飲んだ患者は異常行動が起きるかもしれないと注意することになりますが、
タミフルを飲んでいない人はならないといった誤解も生む可能性があります。
死亡例が出た時は、インフルになった人は、こういう現象が起きるかもしれないと報道すべきで、素人が調査もしていないのに記事のウケだけ狙って因果関係があるような書き方をすると誰かが犠牲になってしまうかもしれません。
私の友人のお子さんも咳でタミフルが飲めなかったにもかかわらず、歩き出してしまうといったことがあったそうです。友人もびっくりしていたようです。
副作用の有無はともかく、原因を一つだけにあるかのように報道をしたものにはある種の責任があるのではないでしょうか。医療の報道は、後から遡っていい加減なことを言っていた人は、ペナルティを受けるような仕組みがあると、世の中が良くなるかもしれません。
現在では厚生労働省も、インフルエンザになったら、異常行動に気をつけるように
と注意喚起しています。でも一体どれくらいの人が認識しているでしょうか。