咄嗟に人を助ける③
病院から離れると効果のある医療行為はほとんどできないとおもいますが、
飛行機で「お医者さんはいらっしゃいますか?」というアナウンスがある場合があります。ここでは咄嗟の人助けの究極の、飛行機でのドクターコールについて調べました。
僕はまだ体験したことはありませんが、
体験談を読むと、やはり何もできないというコメントが多いですね
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c808a96eccab00558c2aa0e7f777a241afd571b8
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009304.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjreanimatology1983/26/1/26_1_25/_pdf
いずれの体験談でも、「途中の空港で急病人のための緊急着陸をすることができるけどどうするか?」と機長から聞かれたとあり、かなり困ったと書いてあります。
https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=206870
この本にも判断について書かれていましたが、
大学の授業で救急医に教えてもらったことがありました
「飛行機を最寄りの空港に下ろすことだけはしてはならない。すごい損害賠償に発展する可能性がある」
とのことでした。
街中で咄嗟の時に救急対応するのと、飛行機の中で誰の助けもなく(地上のメディカルスタッフと相談はできるとのことだが)、判断をするのは、責任の範囲が変わってくるのですね。
https://www.emalliance.org/education/case/kaisetsu146
「いずれにしても,ひとりで判断するのが憚られる場合は,患者さん本人・地上のスタッフ・客室乗務員・機長ともコミュニケーションをとりながら,shared decision makingをするのが良さそうです」
このコメントは流石に、綺麗事かなと思います。
また、何もできない場合が多いのに救助行為に過失があった(と考えて訴えるも含む)とされてしまうと、どうなるでしょう。 http://www.iryoukago-bengo.jp/article/15648986.html
ちなみに、アメリカやカナダは、事故あるいは緊急では,無償で善意に基づき救助を行ったとき、故意又は重大な過失がない限り民事上の賠償責任を負わないという法があるそうです。
日本には、この法律もないんだそうです。
ただ、いずれにしろ重大な過失があるかどうかで民事訴訟の可能性はあるかもしれないとのこと。
航空会社が、病人/怪我人本人または家族に、応急処置した人の個人情報を渡すかについてははっきり言及されている記事などはなかったです。
また、航空会社の約艦によっては、航空会社の保険を使って払ってもらえるとか書いていますが、重大な過失を除きとあり、重大な過失なんて裁判ごとに割れているので、ここは揉めそうです。
海外の航空会社で、応急処置した人を訴えた場合、本当に賠償金が取れるのか難しいかもしれません(国境を越えると資産の差し押さえが難しくなるそうです)
実際問題に話を戻すと、聴診器はあっても聞こえないし、心電図などのモニター監視装置がないので、病気の診断すらもはかなり難しそうです。治療などほとんどできないのではないでしょうか。
JALでは「JAL DOCTOR登録制度」、ANAでは「ANA Doctor on board」という医師登録制度があるそうで登録することができるそうです。
ちなみに、JALのものでは、
「医師資格証」という電子医師免許証明書が必要になり、発行すると日本医師会に所属しなければ有料で毎年6,000円もかかる上に何ヶ月か待つらしいです。
現実的ではない気がします。
両者とも、年に10人前後しか加入していないことからも、責任問題がどうなるかわからず、普及は進んでいないようです。
ちなみに、現在のところ、飛行機で応急処置して、重大な過失があったなどと訴えた例はないそうで、それもあって責任の所在から躊躇する人も多いのでしょう。
僕は、助けるのか助けないのか、どこまで助けるのか最初に決めています。咄嗟の場合は、自分の中の取り決めに沿って行動してきました。
体験談には、「助けた経験はあるが、一昼夜寄り添って、着陸後の搬送まで手伝い、日程が潰れてしまったから名乗り出ない」というコメントもありました。確かに、具合悪い原因がなんなのかわからずに、放置しておくことは難しいかもしれず、無理をしてしまった経験があったんですね。
よくわからず救助に参加して、よくわからない状況でフリーズして、振り回されて決断するみたいな、迷いの方がまずいのかもしれませんね。
仮にですが、
誰も医師がいない状況で具合が悪くなり、危険な状態になった、あるいは不幸にもなくなってしまった場合と、
医師が名乗り出て応急処置を行ったが、同じ結果になった場合、
人間は、どっちが受け入れられるんでしょうか。
人を救うのは、社会的にも難しいのですね。