画像の生成AIのキモさと脳の働き③
生成AIの画像はかなりリアルですが、
よくみるとキモく感じる人もいると思います。
違和感を感じる現象から、人間の脳の働きについて幾つかの疑問が浮かびました。
シリーズで解説しています。専門の方のご意見をお待ちしています。
三つ目は、人物は魅力的に見えるように無理にデザインされている、です。
これは実写風に出力される画像でよく見られます。
特に女性の画像です。
例えば、次の4人の女性の画像を見てください。
綺麗な女性という印象があると思いますが、4つとも似ていないでしょうか。
僕の第一印象として、顎が小さすぎます。あと、上半身の発育と比べて、顔が幼すぎます。
顔は、20代までかなり急激に変わり、20代以降も変わると言われています。副鼻腔の発達の継続や、ホルモンの変化によって顔が細くなってくる人も多いです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/32/3/32_272/_pdf/-char/ja
このような人物のデザインは、AIでなくても、漫画で描かれた人物でもそうです。
男性から見て、女性の顔が幼く、バストが大きく、ウエストヒップ比が0.7近辺であるという組み合わせが、魅力的に見えることがわかっています。つまり進化という視点からは、生殖に有利です。
顔が幼いとは、漫画やAIの画像のように顎や鼻が小さく、目が大きいという特徴です。
実際の人間には、進化の過程で、いくら生殖に有利であると言っても、ある程度限度があります。
例えば顎であれば、咀嚼の機能が保てなくなるので、めちゃくちゃ小さくなることはありません。鼻も魅力的なようにひたすら小さくなると、気道なので今度は呼吸に影響があるかもしれません。
したがって、パーツの大きさは魅力的に見えつつも、どこかで停止すると考えられています。
なぜ、漫画とかでは、顔の半分に達するくらいの目を持ち、ほとんど痕跡程度の鼻しか描かれていない少女が存在し、
体型もバストが大きく、ウエストヒップ比が理想的に描かれ、体に比べて顔は極端に幼児化しているケースが多いです。
つまり、創作物では、生物的な制約をとっぱらって、生殖と関係ないから、性的な魅力にデザインを全振りできるからですね。
これと同じ現象が、生成AIでも起こっていると思います。
ただ、生成AIでは、漫画と違って実写のような画像が生成できることから、漫画における顔の幼児化、体型の発達がちょっと異常に見えます。(海外の方では、日本の漫画の人物の目が大きく、鼻が小さい描かれ方に違和感を覚えるという人もいました。)
僕のように解剖をよく見ていたりすると、普通の顔貌とは違って、このアンバランスさは、キモく見えてきます。
他にも、年齢に比してあまりにも肌が綺麗すぎたりするのも、かなり違和感を覚えます。
生成AIで使われたデータで、綺麗、可愛いと判定されたものが、このような特徴を備えたデータが多かったので、生成される画像もそれと自然に近くなっているのだろうと思われます。
まとめると、生成AIで出力された画像の特徴を見ることで、人間(男性)が女性に魅力を感じるポイントが浮き彫りになります。
あまりにもリアルに生成されることで、顔貌を細かく観察すると現実にないような違和感を覚えますが、
現実世界や今までの人間の創作物には前例のない全く新しい奇妙な画像であるからなのでしょう。
人間とはこういうものだという脳の中のフレームと、
本来植え付けられている女性としてとても魅力的な特徴が入り混じって、
認知処理が混乱しているのかもしれません。
参考文献