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5mmの病気が人生を破壊


年をとると物覚えが悪くなってくるような感覚がありますが、

物覚えが悪くなっていないのに、生活に一貫性がない(食事食べていないのに、家族には食べていたと言われるなど)感覚がして、不安になってくると、記憶が悪くなっている、言い方を変えると、認知症になっていっている可能性が高くなります。

認知症は、年単位で徐々に悪くなってくるものが多いですが、
脳の全体的な縮こまりが起こってきます。特に海馬と呼ばれる一時的な記憶を溜めておくところとかが悪くなったり、病気によって他の特徴的な部位の機能が低下して、小さくなっていくことも多いです。

脳は全体で巨大で複雑なネットワークをつくっていて、アルツハイマー型認知症などは、そのネットワークが壊れていくメカニズムも提唱されています。

脳の機能は、特徴的な場所が壊されると機能を発揮しない場合がありますが、多いのは手が動かなくなったりすることですね。

意識とか、思考とかといった高次機能は全体のネットワークとして機能している場合が多いです。

ところが、脳の一部分だけやられると、記憶の機能が一撃で壊れることがあります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/45/2/45_2_220/_pdf/-char/ja

脳の深部、内包の膝(ひざとかいて、しつと呼びます)の脳梗塞です。



https://www.rishou.org/quiz/quiz-20230908#/

ここは視床という部分と大脳皮質(もっとも広い脳の領域)を結ぶ種々の神経が通過する(専門的にいうと前視床脚と下視床脚が通る)ところです。

ちなみに、病気の大きさは僕の経験の中で多いのは、5m mとかです。

ラクナ梗塞と言って、脳の深部を貫通する血管が塞がって、そこの細胞が壊れてしまうんですね。

高血圧とか、糖尿病などでなりやすくなると言われています。

下の図で赤い管が動脈(血管)です。

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/lacunar_infarction/


人によっては生活ができなくなってしまうくらい記憶力がなくなってしまいます。

こんな小さな病気で、人生が終わってしまうとはちょっと驚きですよね。

ちなみに、脳梗塞はたくさんできる人が多いですが(なりやすい人は複数起こる)、
このタイプは、1箇所だけという人も結構います。

人生にはつくづくいろんなリスクがあるものだと考えさせられます。

ただ、僕の知る範囲の中では、病気の小ささに対して、破壊力が最強です。