植物人間

なんらかの原因で、脳の大部分が機能停止に陥った時、

寝たきりで植物状態になったと言われることがあります。

本当に意思疎通が取れないものなのでしょうか。

実際に患者を見ると、植物状態とはなんなのかわからなくなってきました。

人間が意思疎通ができなくなる状態は、いくつか名前がついています。

意識障害はその一つです。医学用語では、意識が障害された状態で、なんとなくぼんやりしていることも含みます。

よく言われる失神とは、一過性の意識障害のことで、また元に戻るものです。

窒息とかすると、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳が二度と元に戻らなくなります。(失神の場合は元に戻るってことです)

よく心肺停止になったら、心臓マッサージをするのは、心臓を動かすためではなくて、外から心臓を叩くことで、脳への血流を維持するためなんですね。

そのように脳(正確にいうと大脳半球、小脳半球の大部分)に元に戻らない障害を負った患者さんを見ています。

この方は、痛みを感じず、視線はほとんど合いません。上肢は内側にくるんと巻いている(手関節が掌屈している)状態ですが、
ご飯も口の中に入れれば食べられるし、他人の会話を聞いて笑顔を見せる時もあります。

でも、この状態は、専門用語で失外套症候群の状態で、長く続いているので植物状態と言われるようです。

植物状態という名前がつくと、排泄、食事などの介護を行うだけとなり、
残された機能を使って、意思疎通をするなんて試みは諦めがちになります。

もちろん、全く不可能なケースも多いと思いますが、
外界に対する反応がゼロではない以上、Yes,Noでもわかれば、意思疎通が取れないとも限らないのではと思ったりします。

話はそれますが、
動物の場合は、人間の行動を見ることで、意図を読み取ったりする感覚が優れていると言われています。

言語による意思疎通は難しい面もありますが、

オウムがiPadを操作して、自分のみたいYou Tube動画を見るケースがあるなど、
今まではっきり意思疎通できないと思われていても、なんらかの形で取れることがあったりします。

植物状態といわれていたのが実は閉じ込め症候群(意識は保たれているが、意思疎通が難しい状態)で、回復するケースもあるということは、

https://www.bbc.com/japanese/video-44921208

なんらかの技術の発達や、反応を詳細に観察することで、メッセージを受け取れるのかどうか探求しないと、隠されているメッセージを見逃すかもしれません。