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「夢は目が覚めた時に一気に生成される」説?


睡眠の研究者から、「夢は目が覚めた時に形成されて自覚される」という説の存在を聞いたことがあります。

つまり、確かに現実世界で夢を見たと感じるのは、起きた時ですよね。

夢の内容が起きた時に瞬間的に生成されても、目覚めた後夢を見たと体感しているだけではないのか、という仮説ですね。

今回この口頭で聞いた仮説の文献的な裏付けは、、、ちょっと調べたのですが、見当たりませんでした。興味深いので紹介します

ただ、反論はいくつか思い付きます、

まず、起きるのが短ければ、夢の続きを見ることがあります

起きている感覚は忘れてしまっているため、夜中は連続して寝ているような感覚がありますが、
実際にはどんなにちゃんと眠っている人でも、夜中に一瞬だけ起きています。

しかし夢自体には連続しているように見えますよね。(内容は支離滅裂でも)

夢が眠っている間に連続的に生成されていなかったら、これは起きにくいんじゃないかなと思います。

それから、眠っている間に起こった知覚が夢の内容に反映されることがあります。

僕は、尿意を感じると、夢の内容がトイレを探したり、ちょっと危ないですが排尿している(けど、尿意は減らない)といったものに変化していくことがあります。

例えば、最初はどこかの目的地に行くために船に乗ったのに、途中から船の中でトイレを探し始めるとか、船の中にトイレがたくさんあるとかです。

目覚ましの音が夢の中に入ってくる時もあります。どこかで何かがなっているぞ?と感じたりします。でも、一定時間すると音が消える目覚ましであれば、起きた時には消えています。
ということは、眠りと並行して形作られているとも言えます。

最後に、レム睡眠行動障害という病気があります。
寝ている間に大声をあげたり、手を振り回したり、ベッドから落ちたりして、怪我をしてしまうことも多いです。
患者さんに問診すると、「夢の中で強盗と戦っていて、強盗に殴りかかった時に、現実では壁を殴っていて、目が覚めた」などといったエピソードが特徴的です。
夢の内容で、体が動いてしまうということですね。
これも夢がリアルタイムに生成されていないと、説明できないような気がします。

ところが、これらの現象もかなりツッコミどころがあります。

夢の続きを見たとしても、一回起きて夢を思い出し、その後さらに眠りについて、思い出した夢と合わせて、新しい筋の通ったストーリーを覚醒した時に作っているのかもしれませんし、
寝ている途中にイベントがあると、ちょっと一瞬目が覚めている時もあるので、この時に夢が生じていたり、
レム睡眠行動障害も、夢の中の強盗に殴りかかった時と後付けで夢が創られているというだけかもしれません。眠っていて体が動いている時大声を発しますが、それもちょっと不明瞭な時が多いです。

私たちは、起こったことがまさしく今目の前で起こっていると疑いなく思っていますが、
頭の中で現実と認識しているそのものは、実は脳によって生成・処理されています。
夢を見ている(と思っている)間は実際には確認できないので、時間差でイメージが生成されて、それを見たように感じると認識しても、矛盾しないことになるわけです。

この仮説は、現実だと思っている出来事は、本当に現実なのかという深遠な問いが含まれていると思います。