再会
6日目
この日は、一昨日から入院している猫ちゃんが、全身麻酔によるCT検査を受ける予定でした。
何か悪い連絡があったらどうしようと、不安な気持ちでいっぱいで、仕事も集中できず、食欲も湧かない一日でした。
仕事も終わり、夜にお迎えに向かいましたが、
時間が近づくにつれて、外にまで音が聞こえるんじゃないかと思うほど、心臓がバクバク鳴っていました。
正直、早く会いたい気持ちと、状態の悪い猫ちゃんに会うのが怖い気持ちと両方ありました。
病院につき、診察室に呼ばれ、先生から簡単に説明を受けました。
CTの結果は、やはり鼻腔内に何かしらの物があることが確認され、鼻の穴や空気を溜める部分が埋まってしまっているとのことでした。
鼻の組織を生検にも出しており、正確な診断には1週間弱かかるが、
状態を見てもかなり進行が早く、いい結果は期待できないでしょうとも言われました。
さらに、昨日まではなかった胸水も溜まり始めており、鼻腔内の異常が悪性腫瘍である場合は、転移の可能性も否定できないとの見解でした。
ただ一方で、
悪性腫瘍に侵されており、ここまで状態が悪くなってしまう場合、痩せ細るのが普通ですが、
たなさんとこの猫ちゃんは太っているから…何とも言えませんが解せないなあ…とも仰っていました。
5日前までは本当にたくさん食べて、いつも通りだったんです。
ご飯の催促がすごくて、こっちが止めないとダメなほど食欲があったんです。
と必死に伝える父の姿が、現実を受け止めきれず、悪い結果でないことを祈るように見えて辛かったです。
先生とのお話が終わり、
看護師さんが猫ちゃんを連れてきてくれました。
正直かなり酷い状態なのだろうと覚悟はしていましたが、我々の前に運ばれてきた猫ちゃんは、
意外にもしっかり座っていました。
呼吸については変わらず、ぐうっと音を鳴らしながらしんどそうでしたが、
よだれをたらすこともなく、えずく様子も見られませんでした。
無事に猫ちゃんが検査を乗り切ってくれたことへの安堵と、点滴の針がたくさん刺さり少し痩せた背骨を上下させながら必死に息をする猫ちゃんの頑張りに、なぜか涙がこぼれました。
心配していた車での30分間は不安でいっぱいでしたが、
猫ちゃんを安心させるために、また我々も落ち着くために、たくさんおしゃべりをしていました。
昨日はちゃんと寝れた〜?
寂しくなかった〜?たなは寂しかったよ〜?
もうちょっとでお家だからね〜!
そういや先生に太っちょって言われてたよ〜😂
もうちょっとだけ頑張ろうね〜!もう充分頑張ってるよね〜!
いつもありがとうね〜!!!
など、いつも通りの調子を装い、母と後部座席で必死の形相で猫ちゃんに酸素を当てていました。
入院前の車での移動時は口を大きく開き、
いつ最悪の事態が起きてもおかしくないほどの呼吸の速さでしたが、
帰り道は口で息をすることもなく、頑張ってくれました。
何事もなく帰宅でき、もう見慣れた酸素ハウスに、自らのそのそと入っていく猫ちゃんの背中を見て、
ほっとした気持ち半分、これからの大変さを覚悟する気持ち半分でした。