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【事例紹介】石川県加賀市の一歩先ゆくDX

2020年8月に書いた記事の再編集です。
GovTech関連で情報収集していると「あれ、またこの自治体だ…」ということが多々あります。

その中の一つが石川県加賀市です。

「LoGoフォーム電子申請」はオンラインの行政申請フォームです。
GovTechで一番良く見るパターンですが、それだけニーズが高く効果がすぐにみえるのでしょう。(市民へのアピールになりますしね)

特長としては、これまでの行政向けシステムよりも自由度が高いこと。

これまでのシステムの多くは、一部の業務(住民票申請とか、融資申請とか)に特化したサービスが展開されていたんですね。
意思決定層が要件を決め、別会社がシステムをつくり現場が利用する。
トップダウン型のシステムです。

このサービスは自治体の職員がノーコーディング(ノープログラミング)でフォーム作成できるので、それぞれの業務の担当者が使いやすいフォームを自分たちで作れる。
ボトムアップ型のシステムとも言われています。

行政の業務というのは、自治体ごとにフォーマットがそれぞれ違う、部署ごとにお作法が違うなど謎ルールが多いので、現場が自分でシステムを作れるというのはかなりのメリットです。今後伸びてくるだろうと期待しています。

もちろんこういったノーコード製品はすでに数多くあり、最も有名なのはサイボウズさんのKintoneでしょうか。サイボウズの青野さん好きなのでコチラも応援しています。

他のノーコード製品と比較した特長は、マイナンバーによる本人認証という点でしょう。行政に特化したポイントです。

ステークホルダー

サービスはトラストバンクとxIDという会社の共同開発によるものです。

トラストバンク
「ふるさとチョイス」というふるさと納税サイトの運営で有名な会社です。
昨年11月に自治体向けビジネスチャット「LoGoチャット」をリリースし、約450の自治体に普及しているそうです。ふるさと納税からGovTechへ進出を図っているようですね。

ノーコードで作れるフォーム作成ツールはこの会社さんの提供。

xID
「信用コストの低いデジタル社会を実現する」をビジョンに掲げたGovTechベンチャーです。旧社名はBlockhive。
CEOがブロックチェーンに知見が深く、エストニアと日本それぞれでブロックチェーン関連のアドバイザを務めています。
DX関連の記事でよく出てきますし、インタビュー読むと面白いです。おすすめ。

こちらの会社がマイナンバーカードによる認証の機能を提供。マイナンバーによるKYCは今後普及が進めば主流になると言われています。

石川県加賀市
もともと石川県は行政サービスの効率化に積極的で、2018年の「ブロックチェーン都市宣言」や、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による市役所業務の一部自動化などデジタル化を推進してきました。
2019年にxIDと連携し行政サービスのデジタル化推進を協業で進めています。
マイナンバーカードの普及率も全国トップで50%に届く勢いになっており、かなり力を入れていますね。(2020年8月当時。今はもっと進んでるハズ)

うーんやっぱり進んでる…加賀市かっこいい…

ノーコードxマイナンバーの先進性

概要でも書きましたが、ノーコードで現場の人がシステムを自作できることは非常に強いメリットになります。
現場の現場による現場のためのシステム!

ノーコード製品は「リテラシーが低くても簡単にできる」が売りなので、ITリテラシーの低さが嘆かれる行政の現場においても受け入れやすいでしょう。

そしてマイナンバー。
始まってからずっと残念な存在ですが、マイナポイント効果で随分普及が進んできました。

今後来る!と言われている2つの要素を取り入れたこの取組自体も素敵ですが、いち早く「やってみよう!」と手を上げた加賀市が本当に先進的でいいなと思うんです。一番ハードル高いところです。
多くの自治体では、前例がないことに取り組むことへの拒否感が相当強いので。。。

組織が一枚岩になって先進的なのか、それとも意思決定層の考え方が先進的でパワフルなのか。前者は簡単にはマネできないでしょうし、後者はラッキー要素が強い気がします。
いずれにせよ、すべての自治体が加賀市のように変わるのは難しくて、相当先になるだろうな…とは感じてしまいますね。

先進的な一部の自治体で成功事例を積み上げて、引っ張ってもらうのが現実的なのでしょう。

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