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目からウロコの信用スコアサービス
縁あって、FintechSummit2021のセミナーを受講しました。
すべてのセッションには参加できなかったんですが、登壇したとあるベンチャー企業さんが興味深かったので紹介します。
そうか、日本の信用スコアってこういう活路があるのかも!と目からウロコの情報でした。
Grobal Mobility Service
ワールドビジネスサテライトでも紹介されたことがあるらしいので、有名なのかもしれませんが私初めて知りました。
Grobal Mobility Service(以下GMS)株式会社です。
企業のVISIONは
「真面目に働く人が正しく評価される仕組み」を創造します
自動車ローンのFintechベンチャーなんですが、今までの審査では自動車ローンが組めなかった人に適切な与信力をあたえて購入できるようにするという事業をされてます。
対象は仕事で車を使いたい人(事業用)のみ。
そんなニーズあるの?と思ったのですが、意外にも自動車ローンが組めない人は多いそうです。
例えば…
・高齢者
・転職者
・外国人労働者
・シングルマザー
・非正規労働者
・起業したばかりの人
・数年前に自己破産した人
など、GMSの推計では年間200万人もの人がローンを組めずに自動車購入できてないそうです。
へー!
ちなみに世界では17億人もいるとか。すごい市場ですね。
つまりこういうサービスです。
どうやっているのか?
なるほど素晴らしいサービスですが、肝心な与信をどうやっているのでしょう?
与信データ=信用情報 つまり「その人を信用できるか?」という情報です。
従来の金融機関では審査NGになってしまう人をどうやってOKにしているのか。
どうやって真面目に支払う人とそうでない人を区別しているのか。
実はGMSが提供する与信情報は自動車にのせるIoTデバイスとつながっているのです。
どういうことかといいますと、ローンを滞納すると車のエンジンがつかなくなるんです!!!
めっちゃ面白い!
目からウロコでした。
支払いしたらすぐ、エンジンがつくようになるそうです。
そんな事ができるんだ〜!光熱費払わなければ電気止められるノリでエンジンつかなくなるって。
そりゃー支払いますわ。
支払えなければただの鉄の塊ですもん。
この支払わないと困るシステムの導入により、圧倒的な高回収率を実現しているそうです。
払わない人に払わせる仕組みがあるから、最初の与信はゆるゆるでもいけるんですね。これは従来の審査ではできないわぁ。
さらにはモビリティデータを蓄積することで運転の真面目さも計測しているそう。速度とか一旦停止とか…?週何日定期的に運転しているかなどもポイントかも…?
対象が事業用の車購入のみなので、真面目に働いている人はちゃんと稼いでちゃんと支払うよねってことなんでしょう。
賢いシステムです。
部分最適化された信用スコア
GMSのような「事業用の自動車ローン」だけに注目した信用スコアの測り方はすごく面白いですね。
以前書いたように、日本だけでなく多くの国で、企業同士のデータを簡単に共有することはできません。
データは企業の資産だし、プライバシーの観点からも個人データを勝手に共有できないからです。
でも、中国のように包括した総合的な信用スコアがとれないから全てダメかというとそうじゃないんですね。
事業者向けカーローンという市場に絞って、IoTを駆使しつつデータを活用する、つまりカーローンという閉じた世界の中での信用スコア。
見事なやり方だなと感じました。
しかもモビリティデータを保持しているのであれば、周辺市場として自動車保険の保証率にも絡ませられるでしょう。
保険料の支払い滞納があれば同じくエンジンがつかないとか…
データが蓄積されれば可能性も広がります。
総合的に包括的な信用スコアを実現できないのであれば、部分最適化された信用スコアを必要時応じて利用する。
それが日本(だけでなく多くの国)で実現可能な+価値のあるサービスなのかもしれません。
次回は、日本の信用スコアの変遷をもう少し俯瞰して語ってみます。