【事業紹介】アスコエのセミナーからUXを考える
2020年8月に執筆した記事の再編集です。
コチラのセミナーに参加しました。
主催のアスコエパートナーズさん、事業内容は行政サービス情報提供事業、関連システム構築、自治体向けコンサルティング。創業10年、30名ほどの会社です。
ずっと行政にフォーカスした事業をしているからか、今どきのGovTech(?)より落ち着いている印象を受けました。
ちなみに登壇者3名とも女性でした。ちょっと珍しい。
セミナーで紹介された事例
千葉市中央区役所における実証実験を事例に、既存の申請をデジタル化するときに押さえるべきポイントを教えます!というセミナーでした。
自治体向けのセミナーですね。
結論言うと、すごく良いサービスで感動しました。
ただデジタル化するだけじゃない
実証実験の内容は、出生後の手続き書類をWeb上で準備できるというもの。
自治体側の都合でオンライン申請まではできないらしいのです(多分印鑑のせい)。
やったことある方なら理解できると思いますが、子供が生まれたときの手続きというのは意外といっぱいあります。
資料から引用するとこんな感じ↓
で、これらの手続きが
それぞれ違う窓口だったり
同じことを何度も書かされたり
どこに何書けばいいいいかわからなかったり
するわけです。
わかります!何故かいつも役所の手続きってそう!まったくもう!
これらの書類作成をWebでできるようにするのがゴールなんですが、ここでアスコエのセンスが光ります。
紙をそのままWebにしても、不満は残る
講演中、何度も繰り返していた言葉がこれでした。
「紙をそのままWebにしてもダメなんです」
なぜなら、対面前提の紙申請とはちがい、Webではわからないことがあっても簡単に質問できません。
だからこそ「わかりやすさ」が重要なんです。
できるだけわかりやすく、簡単に、間違いなく操作できることをゴールにして職員のオペレーションや、手続きのフローを徹底的に洗い出し理解する。
よく質問される内容やわかりにくい点を確認し、改善する。
用語はわかりやすくも誤解が生まれない言葉に置き換える。
などの作業を積み重ねてサービスを実現したのです。
超絶親切UX…!
さて、いよいよサービスのデモです。
まずは必要な手続きの洗い出し。
可愛らしいですね。
チェック内容に応じて必要な質問がされていく感じ。
チェックが出来たら、するべき手続き一覧を出してくれます。
右下の「申請フォームに進む」を押すと
じゃん。 わかりますか?左は紙の書面になっていて、右が入力フォーム。
右側の項目もこんな感じで分かりやすい用語に統一されています。
すごいのはここから。
入力していくと自動的に書類のイメージも作られていきます。
わかりますか?
名前を入力欄に入れると、書類側にリアルタイムで反映されるんです。
で、さらに次のフォームに映ると
もう名前の欄入ってる!!何回も書かなくていいー!
わかりますか?この素敵さ。
ああいう書類って、子供の名前書くだけでも用語がそれぞれ違ってて
「えーーっと扶養している18歳以下の児童…これ上の子も書くのかなー?」とか「被保険者って子供のこと?いや、親?」って混乱しますよね。
何回も書いているうちに腕も疲れるし頭も混乱するし、悟りが開けそうになります。
そのストレスが無くなるんです!
うお〜〜〜!!!!
うちの市も導入してくれ〜〜!!(私情)
アスコエさんはこのあたり徹底してわかりやすさにこだわって、項目名まで変えています。完全に住民目線で興奮気味に見てました。
帳票のリアルタイム作成とは
アスコエのサービスの最も良い点は帳票をリアルタイムで作成できるところでしょう。
実は、Webフォームと帳票を連動させるのはそこまで珍しいものでもないんですが、帳票とWebフォームがうまい具合に連動して誰にでも使いやすいようにカスタマイズされています。
UXへのこだわりが重要な時代がくる
最近たくさんのGovTech関連セミナーにでていますが、共通して言えるのはUXがすごく進化しているということです。
従来も行政の電子申請ってあったはあったんです。たとえば図書館の貸し出し予約とか、粗大ごみの申込みとか。
でも、なんというかとってもレガシーで、感覚としては20年くらい前のHPみたいなんですね。
デザインが古いだけではなく、例えば
・入力がなぜか半角カタカナ(ガ←こういうやつ)
・エラーがわかりにくい
・ファイルアップロードしにくい
・スマホ対応していない
ITリテラシーの問題ではなく、単純に使いづらいんです。親切じゃない。
スマホで直感的な操作に慣れている世代には拒否反応を示すレベルです。
これが、今のDXの流れで変わりつつある。
おそらく2019年のデジタル手続法から流れがはっきりと変わったようです。
ただオンラインにするだけじゃない
システムを導入するだけじゃない
利便性を上げて、住民や自治体に価値を提供することが目的。
これを理解している企業が、続々と参入し導入を決めているように思います。
使えるけど使いにくいレガシーなサービスが淘汰される時代がついにきた感があります。
UXエンジニアは今完全に人手不足ですし、なかなか厳しい時代ではあります。どう戦っていけるのか、考えさせられるセミナーでした。
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