【シロクマ文芸部(ヒマワリへ)】[ ただ、生まれて来ただけなのに ]
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いろいろ考えてたら、こんなお話ができました。
[ ただ、生まれて来ただけなのに ]
ヒマワリへは特別の思いがある。
第二次世界大戦。
ソ連方面に派兵されたイタリア兵の多くが、異国の地で息絶えた。
多くのイタリア兵が亡くなったとされる場所は、地平線まで広がるヒマワリ畑になっている。
小学生の頃、「あなたの、ひいお祖父ちゃんは、そこに眠っているハズだよ」とイタリア人の母から聞いた。
その日から、ずっと行ってみたいと思っていた。
大学に入ったら、バイトしてお金を貯めて、長い夏休みを利用して行こうと計画していた。
それなのに、必死に大学入試を受けているさなか、それは起きた。
ロシアによるウクライナへの侵略。
はぁ?
ヒマワリ畑は、現在のウクライナにある。
うちの親が生まれた頃に作られた、有名な映画のロケ地にもなっている。
戦死者が眠る地で、また戦争って。
なんなん?
高校の行事は、殆どコロナで潰れた。
テレビ番組の企画に選ばれるような高校じゃなかったから、なんのサプライズもなく、不毛な三年間を過ごした。
やっと卒業して、大学入ってヒマワリへ行けると思っていたのに。
なんだよ、戦争って。
そして今年の、夏も終わる。
二回生になり、バイトで貯めたお金もかなりの額になった。
このままだと、来年の夏休みは、ヨーロッパ旅行だって夢じゃない。
母と一緒に、イタリアに行くことだってできそうだ。
ん? ちょっとした親孝行になるかも。
それも悪くはないか。
だけど………。
うちらの世代は、ホント、世の中に翻弄されすぎだよね。
ただ、生まれて来ただけなのにね。
それとも、
戦争をしていない国に、生まれただけマシと考えるべきか?
あ、こんな時間。
バイトに行かなくちゃ。
来年の夏こそは、ヒマワリへ行けることを願って。
おしまい。
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