創業70周年。絆創膏ひとすじの小さな会社が掲げる新たな決意
日廣薬品にて代表取締役をつとめる金尾です。
私たち日廣薬品は、2022年5月で、創業から70周年となります。
当社は祖父が昭和27年に創業し、父が後を継ぎ、私が3代目に就任しました。いわゆる同族企業、ファミリービジネスの会社です。
「間違いのない品質の製品をつくりましょう」
創業者である祖父も、先代である父も、この言葉を何度も繰り返し社内で伝えてきました。絆創膏としての品質はもちろん、見た目の美しさにまで徹底的にこだわる。少しでも不備がある商品は絶対にお客様のもとへ出さないという意識のもと、半世紀以上、絆創膏をつくり続けてきました。
かつては30年と言われた企業の平均寿命も、グローバル化や多様化するニーズのなかで、近年はより短命化しているようです。そんな変化の激しい時代において、絆創膏ひとすじの私たちのような小さな会社が、創業70周年を迎えることができました。
1972年(昭和47年)に国産初となる伸縮布製の救急絆創膏として発売開始した『ニッコーバン』は、おかげさまで累計販売数は6,000万個にのぼります。
これもひとえに日頃から私たちの商品を愛用いただいているお客様、ご協力をいただいているお取引先をはじめ、多くの方々からの支援の賜物と心より御礼申し上げます。
日廣薬品を取り巻く全ての方にとって「日廣薬品が世の中に存在してくれてよかった」と思って頂ける状態を目指し、一層精進していかなければと身の引き締まる思いです。
絆創膏を通じて、働く人を支える会社へ
実は70周年を迎えるにあたり、改めて、日廣薬品はどうあるべきかという議論を社内で進めてきました。そして、私たちの指針として、ひとつの軸を定めることにしました。
それが「働く人を支える」です。
ニッコーバンは防水構造・強力粘着・丈夫な伸縮布素材で、患部をしっかり保護する特徴ゆえ、水仕事や屋内外でハードな作業をする職業の方々にご愛顧いただくことの多い商品です。
ニッコーバンをご愛顧いただいている方々のことをもっと知りたい。そう思い、2年前に会社史上初となるお客様インタビューを行いました。その際、様々な職業のお客様からお話を伺ったのですが、いただいた言葉に衝撃を受けました。
「ニッコーバンと出会って、世界が変わった」
「ニッコーバンなしだと、仕事にならない」
「ニッコーバンは、お守りのような存在です」
絆創膏ひとすじに長年やってきた私たちですが、自分たちの商品が日々の仕事において、これ程の存在になっているとは全く想像していませんでした。驚きと感動のあまり、私は涙を流してしまいました。
自分たちの商品はお客様の世界を変えることができるんだ。お客様からいただいた言葉は、自分たちの自信になったことはもちろん、大きな励みになりました。そして、自分たちが成すべきことが明確になりました。
ニッコーバンを必要としてくれている方々に、もっと寄り添っていきたい。
絆創膏の会社から、絆創膏を通じて、働く人を支える会社へ。私たち日廣薬品は「働く人を支える」を指針に、ニッコーバンをはじめとした今ある商品の更なる発展と、働く人を支えるための新しい商品づくりなど、様々な挑戦をしていきます。
働く人を支えるため、新しい挑戦を開始
この「働く人を支える」という指針に基づき、日廣薬品では今年6月から新しい取り組みをはじめます。私たちの商品を購入できる「ECサイト」のオープンです。
私たちが「ECサイト」を開設する理由は大きく3つあります。
ひとつ目は、私たちの商品を必要としてくれるお客様に、しっかりと商品をお届けしたいということ。
私たちの商品は絆創膏の市場でいうと、ニッチと呼ばれる商品でもあり、商品が置かれていない地域が多くあります。「どこに行ったら購入できるのか?」といったお問い合わせをいただくことも頻繁にあり、その度に自分たちの力不足を痛感してきました。
わざわざ会社にまでお問い合わせをくださるお客様に、自分たちで商品を届けられる体制をつくりたい。ECサイトを自社で開設することの根底には、この想いがあります。
ふたつ目は、新商品の開発です。
今後、働く人を支えるために、新商品の開発にも意欲的に挑戦していきたいと考えています。例えば、「漁師さん専用」「美容師さん専用」など、職業別に特化した絆創膏の開発など、面白いのではないでしょうか。
ただ、よりニッチな方向に商品開発の舵をとると、多くのお客様を相手にするドラッグストアや薬局ではお取り扱いいただくことが難しくなるかもしれません。そこで、ユニークな商品を取り扱うことのできる場を自社で用意する必要があると考えました。
三つ目は、お客様との対話の機会を増やすこと。
働く人を支えたいと思っていても、お客様のことを私たちが知らないと、一方通行な関係になってしまいます。お客様に寄り添っていくためには、お客様との対話の機会を持つことが何よりも重要だと考えています。
わざわざ日廣薬品のECサイトで私たちの商品を買ってくださる。そんなお客様の声をしっかりと聞き、よりお客様に喜んでいただけるものを届けていきたい。このECサイトを、お客様と私たちを繋ぐ場として育てていきたいと考えています。
次世代の期待を超えていけ
今でこそ絆創膏は身近であたりまえのものですが、昭和40年頃に外国から救急絆創膏がはじめて輸入された当時は「こんなに便利なものがあるのか」と驚かれたそうです。
そのなかで「当社でも救急絆創膏を開発しよう」と研究をはじめ、まだ日本企業が製造をしていなかった伸縮布を素材とした絆創膏の開発に挑戦した結果、誕生したのが『ニッコーバン』です。開発は困難を極めたそうで、祖父の挑戦心には頭が下がる思いです。
私の人生のテーマのひとつに、「次世代の期待を超えていけ」という言葉があります。
次世代の人たちから「こんなことしかできなかったの」「こんなものを残されても困る」といったものしか残せなかったら、とても残念です。
そうではなく、「こんなことまでやったなんて、すごい!」と次世代の人に言ってもらいたい。そして、「私の代ではここまでしかたどり着かなかったけど、後は任せた」と胸を張って次世代へとバトンを渡したいと思っています。
そのためにも、この70年間で育まれてきた日廣薬品の伝統を大切にしながら、「働く人を支える」を指針に、新しい挑戦もしていかないといけない。創業70周年を迎え、改めてそう感じます。
これからの日廣薬品に、どうぞご期待ください。
編集協力:井手桂司
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