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2023年、日経平均28%上昇 来年こそ“予告が実現する年”になるか?

12月29日(金)、東京証券取引所は大納会。今年の日経平均株価は、昨年末に比べて7369円67銭(28.2%)上昇して3万3464円17銭で取引を終えました。上昇率28%はアベノミクス初動の2013年(57%)以来、10年ぶりの大きさ。株式市場にとっては予想以上によい環境のまま終えたと思います。

正直、33年ぶり高値圏まで上昇するとは思わなかったです。。

株価上昇を支えた企業改革、外国人買い、米利下げ期待・・・

力強い上昇の背景は大きく3つくらいでしょうか。
①    昨年再編された東証の市場改革。今年になってPBR1倍割れ企業に対して厳しいプレッシャーをかけるようになり、“当初思っていた以上に効いた”と思います。
② ①に対する評価が高かったこともあるのでしょうけれど、外国人買いが大きかった。現物先物合わせて6兆円以上の買い越しはそれこそアベノミクス以来の規模。特に年前半はバフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイの日本の商社株買い増しもあり、すさまじいほどの外国人買いでした。
③    米国経済は多くの専門家が恐れていたように景気後退に陥らず、かつ年終盤になってインフレも落ち着いてきたことから来年の利下げ期待が高まっています。

年後半、“もどかしい展開”が続いたが・・・

日経平均株価の高値(終値ベース)は7月3日の3万3753円。安値は結局年初1月4日の2万5716円でした。11月から12月にかけては、取引時間中に高値を越えるけれども終値に向けて失速するケースが5回。円高(円安修正)などもあり、米株高についていけないもどかしい展開が続きましたが、でも終わってみれば高値圏のまま1年を終えた印象です。

夏場以降は結局高値もみ合いが続きました。

日本株に独自の“両翼”の強さ


物色動向を振り返ると、日本市場に独自の“両翼の強さ”があったように思います。バリュー(割安株)系の強さとグロース(成長株)系強さの両翼です。エンジンが2つあるとでもいうような……。日経平均採用銘柄で最も上昇したのは神戸製鋼所で、年間で2.8倍になりました。市場改革、資本政策見直しへの期待感からバリュー株、低PBR株を買う動きが強まり、配当性向の引き上げを決めた神戸製鋼所は、この面での象徴的な存在でした。このほか、銀行株、商社株などの大活躍も特に年前半、夏場までは印象的でした。

一方、世界的には年後半の金利低下もあり、グロース株、中でも半導体関連株が強さが目を引きました。米国の半導体関連株指数SOXは年間で7割近く上昇。日本でも半導体製造装置の東京エレクトロンが95%、レーザーテックが71%、シリコンウエハーや塩ビの信越化学工業は82%も上昇しました。

「世界が憧れる存在に」(栗山さん)


大納会ではWBCで日本野球を世界一に導いた栗山英樹前監督が五穀豊穣のカネを鳴らしました。「来年こそは世界が日本の経済に憧れる、そういう存在になってくれる」などと話しました。

十分にあり得る史上最高値突破


来年の予想はなかなか難しいですね。今年の終値から16%あまりの上昇で市場最高値(3万8915円)に届くわけですから、十分に突破はあり得ると思います。10%の利益成長と若干のPERの上昇で届きます。ただ、言い出せばキリがないですが、不透明要因は多い。世界的な政治リスク、地政学リスク、何よりもこの高インフレからの着地が本当にすんなりいくのかどうか、まだまだ分からないと思います。ボラティリティ(変動)の大きな年だと思っていた方がよいのではないでしょうか?

僕自身は今年の終わり近くになって、「2023年は来年の予告のような年だった」と思うに至りました。予告、予兆が実現するかどうかで流れは大きく異なりそうです。例えば米大統領選は11月。すでに不穏な雰囲気が漂っています。日本政治の混乱が続いていますが、結局岸田内閣は持ちこたえたまま、9月には自民党総裁の任期を迎えます。1月早々の台湾総統選も極めて重要なイベントになり得ます。

明るい話では例えばNISAの抜本拡充。市場関係者を中心に随分と盛り上がっていると感じますが、実際に始まるのは来年から。さらに今年相場の主役ともいえる半導体。TSMCの熊本工場は来年12月稼働予定です。どうもいろいろな点で、期待を先に、しかも結構織り込んだしまった感は否めません。

そして何といっても来年も焦点となるのは金利。米国を始めとする利下げ期待は、本当に来年実現するのでしょうか?さらには日銀。マイナス金利修正観測は年後半にかけて高まる一方でしたが、実際には今年はイールド・カーブ・コントロール(YCC)政策の修正が始まっただけです。金利のある世界に向けて不安も期待も高まっていると感じます。

よい変化も悪い変化ももちろん起こりえます。できうるならば、よい変化の方に自分なりに少しは貢献できたらいいなと思います。

東京証券取引所すぐそばの日枝神社にて手を合わせて引き上げました。


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