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『楽天IR戦記』を“アクティブ・ブック・ダイアログ”で読む

『楽天IR戦記 「株を買ってもらえる会社」のつくり方』(日経BP社)を読みました。とても興味深い本でご紹介したいというのと、その“読み方”についてnoteします。

ということでこのnoteの前半は本の内容。著者は市川祐子さんです。

市川祐子さんのプロフィール
93年 NEC入社。半導体部門の分社・上場を担当
05年 楽天入社、IRおよび財務企画に従事
16年 IR部長
17年 退社。独立しマーケット・リバー代表取締役

市川さんが2005年に楽天に入社して以来のIR(インベスターズ・リレーション=投資家向け広報)の仕事をたどったのがこの『IR戦記』。簡単に2005年から2017年と書いてしまいますが、楽天という成長企業においては、大変に大きな変化の期間でした。シンプルに2005年当時はジャスダック上場企業で、前年にプロ野球球団を買ったこともあり知名度はありましたが、当時の従業員は1200人くらいだったといいます。今はグループ全体で1万8000人規模!

市川さんは前職で一事業部門の分社・上場に関わっていたこともありIRができる人材ということで入社したそうですが、いきなりTBSの買収騒動であるとか、株価の暴落であるとか、それまででは経験しえなかった事態に次々と遭遇することになります。

この本の魅力の一つは、日本では今では珍しい成長企業で働くということ、そのリアルな体験が記されていていることだと感じました。正直ちょっとうらやましい。

そしてもちろんIRの現場のリアル。例えばセルサイドアナリストであるとか機関投資家、外国人投資家とどう向き合うのか。単に良好な関係を築くのではなく、「どうしたら株を買ってもらえるのか?」という切実なミッションに挑む様が描かれます。資金調達、公募増資の現場とか、業績開示予想に対する考え方とか、あるいは資本コストにまつわるあれこれとかとか。。。少々専門的な内容を含みますが、親切な解説用語集も付いていて、それほど苦労なく普通の方が、少なくてもビジネスパースンであれば読めると思います。

さて、このnoteで書くべきもう1つのテーマがその読み方です。知り合いの編集者から「“アクティブ・ブック・ダイアログ”(ABD)という形式の読書会(勉強会?)があるから」と誘われたのです。著者の市川さんも来るというので、ABDのことはよくわからないけれど、出かけて行ったわけです。「読んでなくても参加できる」と言われていました。「そんなわけないだろう」と読むつもりだったのですが、結局時間がなくてほとんど読まない状態で参加しました。最初に説明されたABDの流れはざっとこんな感じです。

アクティブ・ブック・ダイアログ(ABD)の流れ
◇オープニング
簡単な自己紹介とオリエンテーション
◇要約とプレゼン
30分であるパートが割り当てられて必死で要約
メモをつくって壁に貼る
その後プレゼン
気になるところなどフリー議論
◇まとめ

正直よく分からないままに体験してみたわけですが、いやー面白かったですねー。(30分で指定された一部分を読み込んで要約してプレゼンするところは緊張します)。普通の読書会だったら、そこに著者がいるということがもちろんとても大きな魅力になるわけですが、この形式では著者はもちろんですが、色々な人の要約とか疑問、見方を聞くことになります。自分自身では全体は読んでいないわけですが、内容は概ね分かりますし、色々な人の見方が新鮮です。

そんな風に人と話をしながらABDを終えて、うちに帰ってから改めて読んだのですがもちろん早く読めます。自分の気になるところがすっと頭に入ってくる感じもしました。必ずしも著者がいないとしても専門書などを対象に勉強会的に使ったり、ある種の研修などにも使えそうです。編集者や著者は、本のマーケティング的に使ったりするらしいです。多分、本好きの方なら、既にどこかで出会っているか、あるいは何かの機会に出くわす可能性がありそうです。その魅力を的確に伝えられているかちょっと自信がありませんが、もし機会があれば、一度参加してみることをお勧めします。



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