米中対立緩和期待支えに直近高値に迫る――高い不確実性を抱えつつ…
8日(金)の日経平均株価は前日比504円32銭(2.6%)高の2万179円09銭と、この日の高値で取引を終えました。4月30日の直近高値(2万193円69銭)にあと一歩まで迫る展開は、朝方の雰囲気からすると正直言ってやや意外。前日の海外市場、特に米ハイテク株の堅調さを受けて朝方から追い風ムードではありましたが、振り返ってみれば大きな背景は米中対立激化への警戒感の後退でした。
8日午前、中国商務省は貿易交渉を巡る米中の「第一段階の合意」について電話で協議したと発表しました。新型コロナを巡っては対立が先鋭化しつつあっただけに安心感が広がったようです。SMBC日興証券の太田千尋さんは、これに加えて「日本でも経済活動再開への期待感が出てきた」と見ます。緊急事態宣言の延長が始まったばかりではありますが、新規感染者数は足元では減少傾向がみられ、欧米ほどではないかもしれませんが、日本でも地域によって経済活動を少しずつ正常化していく模索が始まっています。
もちろん不確実性は極めて高い。心配事をあげればキリがありませんがとりあえず4つ。①そもそも新型コロナの影響の根深さが見えない中で、経済活動を再開することで「第2波→ロックダウン」みたいなことを繰り返せば、経済へのダメージはますます大きくなりかねません。②とはいえ、ずるずると経済封鎖状態を続ければ、肝心の経済が抱える問題が大きくなり、これはこれで深刻化する懸念があります。③そうこうしているうちに中堅・大企業まで資本毀損の恐れが波及しないか--④あるいは新興国の経済ダメージ、資金流出が加速しないか――。
中央銀行の緩和姿勢だけではとても説明しきれない、極めて微妙な均衡の上に成り立っている株高です。BNPパリバのチーフエコノミスト、河野龍太郎さんは「そもそも先進国株高の背景に、医療体制が不十分で感染の深刻化が長引きそうな新興国からの資金流出がある」と指摘します。「今の株高が間違っている」などと言いたいわけではありません。株式相場が高いには高いなりの理由があります。一方で、滅多にないほど先々の予想が難しい、予測がばらつく時間帯だなぁとは思います。考え過ぎても答えの分からない話。みなさまも考え過ぎずよい週末をお過ごしください!
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