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【文章術本】【19位】「は」と「が」を使い分ける

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文章術の本で、文法で大切なこととして頻出しているのは、「助詞の『は』と『が』について」です。助詞は、文を書くときに、必ずといっていいほど使う品詞です。

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「は」と「が」の使い方を間違えると、文章が途端にわかりにくくなります。逆にいえば、「は」と「が」の使い分けをマスターすれば、わかりやすい文章が書けるようになります。
国語学者の大野晋さんも、「日本語の文法のうち、大切と思うところの一つだけを取り上げます。それはハとガということです。(略)ここが分かると、日本語の文章がしっかり自覚的に把握できるようになるでしょう」
(『日本語練習帳』/岩波書店)と述べています。

1 「は」はすでにわかっていること、「が」はわかっていないことに使う

「は」も「が」も、しばしば主語に使われます。

例文
こちら女優のAさんです。
こちら女優のAさんです。

普段、あまりにも何気なく使っています。
ですから、どちらも大差ないように思うかもしれません。何が違うのでしょうか。例を見ながら考えていきましょう。

例文1
昨日、お金持ちそうな紳士、バーのカウンターにいました。
その紳士、マティーニを飲んでいました。

「お金持ちそうな紳士が」の「が」も、「その紳士は」の「は」も主語についている助詞です。これを入れ替えてみます。

例文2
昨日、お金持ちそうな紳士、バーのカウンターにいました。
その紳士、マティーニを飲んでいました。

「は」と「が」の位置を入れ替えることで、文章のニュアンスが変わってきます。

例文2は違和感があります。「昨日、お金持ちそうな紳士は」と言うと、この文章の前に、ほかの説明文があるかのような心地悪さを感じます。
これは、「は」と「が」に、明確な使い分けがあるからです。

例文1の「お金持ちそうな紳士が」の「が」は、未知の情報(まだ明らかになっていない情報)につきます。誰もまだ「お金持ちそうな紳士」について知らないときは「が」を使います。
次の「その紳士は」の「は」は、既知の情報(すでにわかっている情報)につきます。
前の行ですでに「紳士」が出ているから、紳士のことはわかっています。すでに明らかになっているときには「は」がつきます。私たちは、無意識にこの使い分けをしています。

例文1
むかしむかし、おじいさんとおばあさんいました。

例文2
おじいさんは、山に芝刈りに、おばあさん、川に洗濯にいきました。

例文1では、はじめて聞く「おじいさんとおばあさん」だから「が」がくる。例文2では、例文1で、すでに知っている「おじいさんとおばあさん」だから、「は」がつきます。

もうひとつ例を書いてみます。

例文
本日、ぜひ買っていただきたい新商品あります。
その新商品、ご飯がふっくら炊けるこの電気炊飯器です!

違いは明確です。

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順番を間違えると、しっくりこない文章になりますので注意します。ちなみに、「は」と「が」のこの使い分けを発見したのは、前出の国語学者、大野晋さんといわれています。

2「は」がついても、主語になるとは限らない

「は」は、主語ではなく、「主題」を提示する場合があります。主題とは、その話の「テーマ」です。
「は」は、前もって「このテーマについて言いますよ」という役割を果たすことがあります。

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※本記事は『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』【19位】「は」と「が」を使い分ける、からの抜粋です。
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