日経電子版の読みこなしコミュニティをつくろうと考えた理由
こんにちは。日経の島田です。日経電子版のコンテンツマーケティングなどを担当しています。久しぶりにnoteの記事を更新してみます。
今回書くのは、日経電子版を読みこなすコミュニティ「iThink!(アイシンク)」について、企画段階から実際に運用するまでのお話です。紆余曲折あって長文になりますが、最後までお読みいただけますと幸いです。
■iThink!とは?
iThink!は日経電子版を読みこなしたい、アウトプットの練習をしたいという20〜30代の有料会員の方向けのオンラインコミュニティです。Slackの専用ワークスペースにご招待し、日々のニュースに対して自分なりの考えをまとめて投稿してもらいます。メンバー限定で文章の書き方などを伝えるオンラインイベントを開催することもあります。
2021年秋以降、これまでにβ版で1回開催。本番のサービスとしても、22年春に時期をずらしながら計3回開催しました。
(※この記事を公開した22年9月時点では募集していません)
■きっかけは池上さんなどのオンラインイベント
企画が生まれたきっかけは21年夏に日経電子版で開催したオンラインイベントです。「Think!」という、日経電子版の記事に専門家が解説の投稿をする機能があり、その解説役としてお世話になっているエキスパートに登壇いただいたイベントです。
イベントの詳細はこちらからご覧いただけます。
登壇したのはニュース解説でおなじみの池上彰さん、名古屋商科大学大学院教授の大槻奈那さん、ベンチャーキャピタリストの蛯原健さんの3人です。
御三方に共通したのが「記事を読むだけじゃなくてアウトプットする、発信することが重要」という考えでした。業界やお仕事の異なる3人に「アウトプット」というキーワードが共通したことが自分の中に残りました。
特に、アウトプットする力を身に付けたいという視聴者からの質問に答えた大槻さんの言葉が印象的でした。
「(会社の同僚など)身の回りの人とニュースへの考えや意見を共有できるサークルのようなものをつくればいいのでは」
日経電子版を読んで頑張っている同世代が集まるコミュニティがあれば、お互いが切磋琢磨できる場になれるのではないか。そして参加者からも面白いと思ってもらえるのではないか……。そんな仮説が頭に浮かびました。これが「iThink!」のスタートでした。
■初めてのコミュニティ施策、β版の反応は…
リモートワークで使っている人も多いだろうと考えコミュニティのベースとなるツールはSlackで決定。2021年秋に運用ルールの整備など準備を重ね、β版として初めてのサービスを提供しました。
約150人をSlackにご招待。ニュースを要約したり感想をまとめたりした内容を投稿できるチャンネルを複数つくり、オンラインセミナーも開催しながら計8週間にわたって参加者の方にチャレンジしてもらいました。
コミュニティ施策が初めてだったこともあり、直前の数日間は「本当に投稿してもらえるのか」と心配が尽きませんでした。
しかしいざ始まってみると、その日の朝刊1面の記事を早速テーマにして、考えや意見をまとめてSlackに投稿してくれた方が何人もいました。他の記事を取り上げた方もいて、無事にスタートが切れたことにほっとしました。
たくさんの投稿にSlackのスタンプでフィードバックしながら、うれしさを感じる半面、コミュニティの運営を頑張らないといけないと気が引き締まりました。
初めての挑戦でしたが、幸いにも大きなアクシデントはなく、「新聞やニュースの読み方が変わった」など概ね好意的なご意見も複数の方から頂けました。日経が発信するニュースをより一層活用してもらえているかもしれない、と感じた瞬間でした。
一方で、運営メンバーとして難しい課題にも気付かされました。
一つは「アウトプットに慣れている人が少ない」ということ。指定されたフォーマットで端的に考えをまとめることを日常生活で経験することは少ないはず。ハードルが高くなってしまったため、徐々にSlackの投稿数が減る方もいらっしゃいました。
もう一つは、コミュニティの参加人数です。日経電子版の有料購読者数は四捨五入して80万人ほど。β版の参加者を募集する際、実は応募開始から3日ほどで1000人以上の応募があったこともあり、もっと多くの人にiThink!を体験してもらえる仕組みが必要だと考えていました。
とはいえ、コミュニティの人数が多すぎると、投稿のハードルが高く感じたり、積極的な参加がしにくくなったりするのではいか、という懸念もあります。「見てるだけ」の人が増えるということです。多様な視点に触れるという意味で、他の人の意見を読むことも非常に勉強になりますが、アウトプットをトレーニングしてもらうという意味では、積極的にアウトプットして、コミュニティに参加してほしいというのが正直な気持ちでした。
初めてのコミュニティ施策の難しさを感じながら、β版を卒業して本番のサービスとして提供できることになりました。note後編では、22年春の正式リリースに向けての内容をご紹介します。
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